【連載】

独占スクープ「映画『デスノート』の最終ページ」 5時間4万字の記録

20 「これですべてを終わらせる」の真意とは? "最終ページ"のラストメッセージ

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『デスノート』『デスノート the Last name』(06年)、スピンオフ作『L change the WorLd』(08年)で大成功を収めた実写『デスノート』シリーズ。誕生から10年の時を経て、映画『デスノート Light up the NEW world』(10月29日公開)で、まさかの続編として復活を遂げる。果たして、その"最終ページ"には一体何が書き込まれたのか。

マイナビニュースでは「独占スクープ 映画『デスノート』の最終ページ」と銘打ち、すべての作品を企画・プロデュースしてきた日本テレビ・佐藤貴博プロデューサーの「今だから語れる」証言を中心に、全20回にわたってその歴史を掘り下げていく。インタビューは合計約5時間、4万字近くにも及んだ。最終回となる第20回は、10年間シリーズと共に歩んできた佐藤プロデューサーからのラストメッセージ。

今だから"語れない"こと

ポスターには「あの事件から10年――これで、すべてを終わらせる。」と記されている (C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

――今回、長時間お話しをうかがって、プロデューサーの仕事内容が多岐にわたることがよく分かりました。精神的な負担も相当なのでは?

そうですね。映画事業部から今年6月にインターネット事業部へ異動になり、正直、ちょっとホッとしてしまった部分もあります。映画を作り続けることのプレッシャーって、こんなに大きかったんだと気付きました。映画を完成させるまでに、何度も心を折られそうになりますし、完成させても、そこからはビジネスとして成功に導かねばならないので、そのプレッシャーは日々重くなり、のしかかってくるんです。

――そのプレッシャーはやはり、不安?

うーん、そうですね、ずっと不安でいっぱいです。ほとんど自分の企画した映画を引っ張ってきているので、自分が諦めたら止まってしまうという恐怖。原作を預かり、多くのスタッフ・キャストに対して、絶対成立させなければならないというプレッシャーを抱えていつも走っています。本当にギリギリのところを渡っていることもあり、周りのスタッフに言えない心配事も山ほどあります。

でも麻薬的というか、成功した時の喜びはその分大きくもあります。それこそ、『デスノート』後編の初日の大爆発は本当に幸せで、超満員の観客の拍手に何度も涙を流しました。

一方で、『桐島、部活やめるってよ』(12年・以下桐島)のように興行的には大成功とは至らないけれど、評価される喜びというのも大きくあります。『桐島』は本当に沢山の映画賞をいただきましたが、それ以上に、いろんな人が『桐島』のことを熱く語ってくれること。あんなに自分の人生と重ね合わせて語ったり、映画が愛されていることを実感出来たことは、それまでは無かったので、本当に感動しました。

メガヒット作品と反対の方向にある作品かもしれませんが、だからこそ、僕にとっての大きな看板となった作品でもあります。そして、神木隆之介、橋本愛、東出昌大、松岡茉優、大後寿々花、落合モトキ、太賀、清水くるみ、山本美月、藤井武美、浅香航大、鈴木伸之……あの作品で出逢った若き才能を本当に愛していますし、今でもつながっている大事な役者たちです。

『デスノート』は……(藤原)竜也くん、松ケン(松山ケンイチ)、(戸田)恵梨香ちゃんについても話せること、まだまだありますよ。もちろん、話せないこともたくさんあります(笑)。

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2006「DEATH NOTE」FILM PARTNERS 監督:金子修介

「映画事業部に戻りたいとは思わない」

――1994年に入社されて、2003年に映画事業部に。映画と関わった13年を振り返っていかがですか。

このタイミングというのも不思議ですね。本格的な映画プロデューサーデビュー作である『デスノート』に始まって、『デスノート』で一旦の区切りとなる。僕にとって大事な作品であり、縁深い作品なんでしょうね。今回の本ポスターのコピー「これですべてを終わらせる」は僕がつけたものですが、終わりというよりも、ケジメをつけることを意識したものです。昨今の日本で問題となっている事件や不祥事は、みなケジメをつけられない大人たちの問題のような気がして。ちゃんとケジメというか決着をつけようぜ! という宣言のつもりです。それだけの作品になったと自負しています。

映画事業部で13年間。20本を越える映画を作ることができました。2年前に管理職になっていたので、一度は異動しなければならないことは感じていました。ただ、インターネット事業部というコンテンツに近い場所で、映画作りとは密接に関係している部署なので、相変わらず運がいいなあと思っています(笑)。テレビ局として放送と通信の垣根はどんどん無くなっていますし、コンテンツを楽しむ方法も動画配信だけでなく、いろんな進化が日々起こっています。「映画」というものは無くならないと思いますが、どうやって観られるのか? 楽しまれるのか? は大きく変わっていくでしょう。だから、この部署でしっかりと「未来」を見据えて、走っていきたいなあと思っています。

「映画事業部に戻りたい」とは思っていません。「映画」自体の楽しみ方もドンドン変わっていくでしょうから、どこの部署ということではなく、自分で「映画」を引き寄せられるような仕事をしていきたいなあと考えています。いろいろと新しい仕掛けを狙っていきたいので、お楽しみに(笑)。

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2006「DEATH NOTE」FILM PARTNERS 監督:金子修介

デスノートに人生を捧げた男の選択

――さて、長時間のインタビューもそろそろ締めくくりたいと思います。公開前の心境としては? ※2016年10月に取材

僕はこういう展開を妄想しています。『君の名は。』が週末ランキング9週連続でトップになる。そして、10週目に『デスノートLNW』が公開となりますので、我々が『君の名は。』の10週連続トップを阻止します!! 東宝の川村元気プロデューサーを止めるのはこの僕、佐藤貴博プロデューサーだ! まぁ、「10週目に勝っても……」というツッコミは入ると思いますが(笑)。

―― そうなることを願っています(笑)。最後に1つだけ。一人で部屋にいて、デスノートが降ってきたら。佐藤さんは、どうしますか?

……書いてみると思います。たぶん、自分の名前を。

――試しに?

はい(笑)。

――あんな映画を作っていて、使っちゃうんですか?

いやあ10年間も「デスノート」のことを考え続けてきたので、いわば「デスノート」のトリコですよ(笑)。絶対、「デスノートを使う」という魅力に勝てないと思います。でも、誰かを犠牲にするわけにはいかないので、まあ自分の名前を書くかなと。「デスノート」の凄いところは、自分で死ぬタイミングを決められることでもあると思うんです。なかなか好きには死ねないですから。なので、自分で死ねることを決められるのであれば、それは使うでしょ。あっさり死ねる幸せというか。……なんか自殺志望者みたいですが、違いますよ(笑)。でも、こんなことを考えてしまう魔力が「デスノート」にはあるんです。デスノートって、本当に面白いですね。

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2006「DEATH NOTE」FILM PARTNERS 監督:金子修介

■プロフィール
佐藤貴博(さとう・たかひろ)
1970年4月26日生まれ。山梨県出身。1994年、日本テレビに入社。営業職を経て、2003年に念願の映画事業部に異動する。映画プロデューサーとして、『デスノート』シリーズ、『GANTZ』シリーズ、『桐島、部活やめるってよ』などヒット作話題作を数多く手がける。今年公開作品は、『デスノート Light up the NEW world』(10月29日公開)、『海賊とよばれた男』(12月10日公開)。
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インデックス

連載目次
第20回 「これですべてを終わらせる」の真意とは? "最終ページ"のラストメッセージ
第19回 東出昌大を救った"陰の恩人"がいた! 愛されキャラの意外な桐島デビュー秘話
第18回 佐藤Pがまさかの異動! Huluオリジナル3作裏話と"デスノの真髄"
第17回 『聖の青春』で体形変化!? 松山ケンイチ8年ぶりL再演は「声だけではない」
第16回 藤原竜也、10年ぶりキラもCG修整なし!「夜神月もう1回やりたい」撮影秘話
第15回 松坂桃李、死神・ベポ抜てきの"40分"とは? 原作コミック13巻から現実世界へ
第14回 菅田将暉が映画界で愛される理由とは? 松山ケンイチと池松壮亮の共通点
第13回 デスノ続編、なぜ東出・池松・菅田を起用? 役者としての進化と魅力
第12回 川栄李奈の愉快犯役、なぜ『デスノ』に必要だったのか? 池松も驚く女優魂
第11回 戸田恵梨香のミサミサ誕生秘話、10年後の"女優・弥海砂"を演じる葛藤
第10回 集英社との再交渉、日テレドラマ班が先手!? 6冊ルール真相と死神大王の思惑
第9回 デスノ、10年後復活には裏テーマがあった!「GANTZのその先へ」「桐島の真逆」
第8回 映画業界の掟破り!? "反則技"の地上波放送で視聴率24%
第7回 レッチリにクラヴィッツ、海外大物アーティストが主題歌を提供した真相
第6回 Lの"終活"、ポテチトリックに気づいていた可能性 - スピンオフ『L change the WorLd』
第5回 死神・リューク役、なぜ中村獅童? 実物大人形が「ボロボロ」になった理由
第4回 デスノートルール解釈法とは? 夜神月の正義感と結末の真相
第3回 松山ケンイチ、『デスノート』抜てき秘話とLが憑依するまで
第2回 天才型俳優・藤原竜也が生み出した、夜神月と聖地・新宿ジョイシネマ
第1回 10年前にも連ドラを企画!? 映像化権取得と2部作連続公開が決まるまで

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