クリックテックは、同社が提供するBIツール「QlikView」を購入前に体験できる無料体験セミナーを開催している。同セミナーは参加人数の上限10名としており、サンプルデータを用いて実際に作業を行いながらデータの分析についてしっかりと学べるのが特徴だ。今回、筆者はこのセミナーに参加したので、その様子をお届けしよう。

「QlikView」無料体験セミナーの様子。参加人数が少人数なので、質問も遠慮なく行える

「QlikView」を基礎から理解できるセミナー

クリックテックの無料セミナーでは、QlikViewの使い方だけでなく、その特徴である「連想技術」仕組みについてもじっくりと教えてくれる。よって、予備知識なしで参加しても、QlikViewについて全体的な理解ができる内容となっている。

実際にQlikViewを使って作業を行う時間は、3時間のセミナー中で約1時間半にわたる。QlikViewの起動から始まり、ステップごとに質問を受け付けながら丁寧に進められるハンズオンセミナーだ。使用するPCはクリックテックが用意してくれる。今回実際に使ったのは、Core i3-380Mを採用し、3GBのメモリを搭載したごく一般的なノートPCだった。

セミナーでは52万件の売上データを格納したCSVファイルが用意されていた。Windowsを起動しているだけの状態のメモリ使用量は1.1~1.2GB程度だったが、43.4MBのソースファイルをメモリに読み込んで作業を続けた結果、最終的なメモリ使用量は1.3GB強程度となった。これより、数百万件規模のデータでも、手頃なノートPCで十分扱えそうなことがわかる。

丁寧な解説に従って一とおりの作業を体験

QlikViewを起動した時の感覚はExcelによく似ている。ツールバーなどの構成もMicrosoft Office製品と似ており、大抵のビジネスパーソンは自然にQlikViewを使えてしまうだろう。それでも、セミナーはQlikViewの起動と新規ファイルの作成、保存から丁寧に始められた。

最初の作業はデータの読み込みだ。「スクリプト編集」という言葉に若干警戒心を覚えるものの、実際にはボタンをクリックしてCSVファイルを指定するだけという簡単さだった。営業担当マスタ、顧客マスタ、製品マスタ、地域マスタ、販売伝票という5つのCSVファイルを指定し、52万件超のデータをロードするのだが、待ち時間はわずか4秒程度と非常に短い。

「スクリプト編集」の画面。用語は難しそうだが、マスタを読み込むだけで作業が完了する

営業担当マスタを指定したら、支店コード・営業所コード、従業員コードなどが自動的に追加された

表示する項目を指定しての読み込みや、読み込んだデータを使ったさまざまな形のグラフ作成は基本的にマウスで項目を選択するだけでできる。キーボードで入力するのは、画面に表示される項目名の調整程度だ。

セミナーでは年、月、支店名、顧客名、製品種別、販売価格と6つの項目を読み込んだ。各フィールドはこの時点できちんと連結されており、例えば、支店名から1つを選択するとその支店に所属する顧客名だけがハイライトされ、その顧客名に紐づいている製品種別や販売価格も同時にハイライトされる。これだけで簡単な分析ができてしまうのだ。

読み込んだ項目は自動的に連結が行われる

各項目はドラッグ&ドロップするだけで簡単に配置を変更できる

データの連結具合を確認できるビューアもある。現場でありがちなトラブルとしては、同じ内容を示しているのに項目名が違っているせいでうまく連結されない例も挙げられた。その場合の対処法は、「[元項目名] as [修正後項目名]」とスクリプト編集画面で入力するだけという簡単なもの。参加者からは「よくあることだけれど、どうしたらいいのかと思っていた」という声も聞かれた。

復習や社内ドキュメント作成に役立つ資料もたっぷり

グラフの作成も非常に簡単に行えるが、同じ画面に表示されている各項目欄で何かを選択すると、選択内容に合わせたグラフへと自動的に変化する。ドリルダウンやピボットテーブルの作成も、ウィザードなどを利用しながら手軽に行うことができる。作成したグラフはマウスでドラッグするだけで表示サイズを変更し、位置を整えることが可能だ。検索ボックスなどを表示し、表示位置を整えるだけで分析用のアプリケーション画面開発が終了する。

QlikViewではさまざまなグラフを作成することが可能

ウィザードに従って、軸や表示項目を設定していくだけでグラフが出来上がる

セミナーで作成したグラフ

リソースとなるデータを取り込んでから、ユーザーが使うための画面を作り終えるまでの一とおりの作業は1時間20分程度で終わった。最後の10分では、各自が気になる項目をやり直してみたり、いろいろな動作を試してみたりする時間になった。

作業工程を丁寧に追ったドキュメントも配布されており、末尾にはセミナーでは触れなかった項目に関する追加演習も添えられている。オフィスに戻ってからの復習や、自分なりのアプリケーション開発を行う時にも十分役立つはずだ。

また、作成したグラフやチャートは印刷やPowerPointへのコピー&ペーストにも対応しているので、報告書として上司に提出したり、会議に持っていったりすることもできる。QlikViewクライアントのフル機能を無期限で使える「パーソナルエディション」は無償でダウンロードできるため、試しに使ってみてデータ分析において同僚と差をつけてみてもよいだろう。

ハンズオンセッション終了後は、iPadなどのモバイルデバイスによる利用の紹介やライセンスに関する解説、各種業界での導入事例紹介などが行われた。これらに関してもドキュメントが用意されている。本格的な導入に向けたドキュメント作りなどをしたい担当者には大きな助けになるはずだ。

定期開催されるセミナーはWebから申し込み可能

セミナーに参加し、実際に多彩な機能を体験してみると、QlikViewが従来のBIツールのイメージとは異なり、軽快で使いやすいツールであることを強く実感した。難しいのは、データからどの項目を選んで組み合わせて分析すべきかを判断することだ。

セミナーでは架空のデータを扱ったため戸惑ったが、これが実際に自分のよく知る業務に基づくデータならば切り取りたい部分は見えてくるだろう。QlikViewでは操作が簡便であることから、ユーザーは本来取り組むべき分析内容の検討に注力できると言える。

クリックテックは今後も定期的に無料体験セミナーを開催する。直近の開催予定は7月25日、8月4日、8月23日、8月30日。受講資格はWindowsの基本操作ができることのみ、かつ、受講料は無料と敷居の低いセミナーだ。申し込みは同社のWebサイトから行える。QlikViewに興味のある人はもちろん、新たにBIに取り組みたい人、今使っているBIツールに不満がある人は同社のセミナーをぜひ1度体験してほしい。