【連載】

大学デビューの落とし穴

1 4月:新入生ファッションとサークル勧誘の関係性

 
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大学1年生のみなさん! 「大学デビューのホントのところ」、知りたくないですか? 本連載は、かつて大学デビューに半分成功・半分失敗したトミヤマユキコ(ライター・大学講師)と清田隆之(恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表)が、過去の失敗を踏まえ、時に己の黒歴史を披露しながら、辛く苦しい学生生活を送らないためのちょっとした知恵をお授けする。そんな連載です。

使えるノウハウを蓄積しまくって「勝ち組学生になれ!」なんてことは言いません。地味で普通で、でも密かに充実した毎日を過ごせたら……という小さな願いを叶える秘訣をお伝えしたいと思います(そういうことって案外誰も教えてくれないですからね)。
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誰も教えてくれない大学デビューの方法

大学1年生の4月は、人生で最も不安な4月ではないでしょうか? 幼稚園に入ったときは、先生がトイレの場所から前ならえの仕方にいたるまで手取り足取り教えてくれましたし、社会人になったときだって、仕事の基本を教えてくれる人というのがいるものです。

それなのに、大学生になった時だけはなぜか「周囲をよく見てとりあえずがんばって~!」みたいな、非常にざっくりとしたことしか教えてもらえない。授業やサークルやバイトのことなど、知りたいことは山ほどあるのに、なぜか情報が供給されない(学生数が多い大学ほどこの傾向が強い)。理不尽極まりないですよね。

高校までとは違って、いろんな制約から自由になって、なんでも自分で決められるのは最高だけれど、その決め方がいまいち分からない。さまざまなトライ&エラーを繰り返し、人間としての経験値を上げるのが学生生活の醍醐味とは言っても、あまりに指針がなさすぎるのでは……。

みなさんの不安はごもっともです。

自己紹介がてらわたしの話をしますと、わたしは大学から大学院へと進み、そこからさらに大学の助手になって、今は大学講師をやっています。つまり15年くらい大学空間にいるのですが(長っ!)、いまだに「4月の1年生って不安そうだなー」と思います。その点については、15年経っても全然変化がないんですよ。

それではあまりにも可哀想ですので、みなさんにできるだけ後悔の少ない大学デビューを果たしていただくべく、出来る限りの知恵を授けたい。そう思う次第です(老婆心)。

ひと目でわかる"新入生ファッション"とは

さて、大学デビューにおけるかなり切実な悩みとして「何を着るべきか?」というものがあります。もう制服はない。名札もない。そうなると、あなたのことは、あなたの「見た目」が物語るしかないワケです。

1年生というのは、たいてい買ったばかりの服を着ているし、オシャレをはりきりすぎているので、ハッキリ言ってすぐに分かります。男子はよくわからないネックレスをぶら下げていたり、ズボンの裾をロールアップするとチェック柄になっていたりと、細部にこだわりがちです。が、残念ながらそこは誰も見てないんだな……。

その手のこだわり服を買うお金があったら、まずはシンプルで長く着られる服を入手しましょう。オシャレが全然分からない諸君は、とりあえず無印良品のコーディネートを丸パクりしなさい。自分でなんとかしようとすると余計ダサくなるから、とにかくはじめは何も考えずパクる方向で!

女子の場合は、どうしてもメイクが濃くなりがちです。いわゆる「ケバい」のとは違って、子どもの絵のような、非常にダイナミックかつプリミティブな顔面になっている女子も多い。とくにチークが鬼門です。あれは塗る位置と量を間違えると一気にブサイクになるので気をつけてください(経験者は語る)。合い言葉は「塗りすぎてはいけない」です。

ちなみに、大学入学当時のわたしは「1年生っぽい=ダサい」と考える、大変ひねくれた女でした。そのためわざと色味の少ないメイクをし、ズタボロのジーンズを履き、男物のぶかぶかコートを着て大学に行っていました。その結果、ただの野暮ったい1年生に……。行ったこともないのに高円寺や下北沢にいる女の人に憧れていて、でも東京は怖いので横浜で服を買っていました。サブカルをこじらせるとはまさにこのことです。

そんな調子ですから、1年生だというのにサークルにぜんぜん勧誘されませんでした。初々しさがない上に小汚いのだから、当然です。

2年生になって分かったのですが、いかにも大学デビューだと分かる見た目は、新入生を勧誘しようとしている先輩たちにとってはすごくありがたい目印なんです。お互いをよく知らない状態では、相手の「見た目」だけが判断材料なので。

そういう意味で、ぶかぶかのコートを着ている女というのは、新入生としてあまりにもマニアックすぎました。しかし、逆に言えばマニアックな人間を求め、目を光らせているサークルもあります。実際、華やかなテニサーには無視されまくったけど、少人数で楽しくやってるバンドサークルには誘ってもらえたよ! 命拾い!

つまり、バンバン勧誘されたい!という人はオシャレをはりきればいいですし、勧誘とかウザい! と思うならやる気のない格好をすればいいのです。派手にしていれば派手なサークルの、地味にしていれば地味なサークルの勧誘が見込めるでしょう。とりあえず、CanCamみたいな格好をして「名画座友の会」みたいなシブいサークルに勧誘されようとするのは至難の業だと心に刻んでください。

ギャルサーやイベサーも見ておけばよかった!

サークルと言えば、新入生歓迎コンパも気になりますよね。1年生は参加費無料!なんていうところもあるでしょう。しかし「しつこく勧誘されるのでは?」という不安もあります。わたしもそうでした。気になるサークルはいくつかあったのですが、勧誘のしつこさを恐れて本当に見たかったサークル数の半分も顔を出せなかった。そして実際に勧誘はマジでしつこかった(泣)。

しかし、どれだけしつこいと言っても、ゴールデンウィークを過ぎてしばらくすれば先輩たちは諦めてくれます。新規獲得よりも、すでに入部している新メンバーとの親睦に時間を使いたくなるのがGW過ぎだからです。

ですから、気になるサークルがあるのなら、とりあえず覗いてみれば?と言いたい。色々な人間を見ることも、大学時代の貴重な経験。わたしが後悔しているのは、自分が全く興味のないサークルもちょっとは見ておけば良かったということ。人間観察ができるチャンスをみすみす逃しました。ギャルが一杯いるサークルとか、マスコミ志望の意識高い系学生がイベントやりまくるサークルとか、見ておけばよかったな……。

なお、サークル勧誘を断る時は「のらりくらり」でいいと思います。「すんませーんあんま興味持てなくて(ヘラヘラ)」ぐらいのテンションでまずは様子見しましょう。宗教がらみの変なサークルでない限り、そのうち「もう脈がないのだ」と諦めてくれますから(あまりにしつこかったらひとりで悩まず学生課に相談しよう)。

メールも電話もブロックして学内で会ってもガン無視!みたいな厳しい態度で臨んでも別にいいのですが、その後、授業やゼミでばったり再会しちゃったりしたらお互い気まずい、ということもあるかも知れません。「あ、あの時はどうも」くらい言える感じの方が、後々自分がラクです。

1年生の4月は、自分の選択のひとつひとつに「ホントにこれでいいのか?」と不安になる時期ですが、どうせ不安になるなら、あっちこっちに首を突っ込み、なるべく多くの選択肢を手にした状態で不安になりましょう。新入生だから見られるものがたくさんあって、新入生ゆえに許されることがあるのだから、利用しない手はない。その後の学生生活で嫌でも選択肢は狭まっていくのですから、4月の1年生は多少とっ散らかっていても構わない。むしろ全力でとっ散らかるべきです。

<著者プロフィール>
トミヤマユキコ
ライター・大学講師。「週刊朝日」「文學界」でブックレビュー、「ESSE」「タバブックス」でコミックレビューの連載を持つライター。早稲田大学などでサブカルチャー関連講義を担当する研究者としての顔も持っている。「パンケーキは肉だ」を合い言葉に、年間200食を食べ歩き『パンケーキ・ノート』(リトルモア)にまとめた。
Twitter @tomicatomica
<著者プロフィール>
清田隆之/桃山商事
1980年、東京生まれ。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆など、何でも手がける"恋バナ収集ユニット"「桃山商事」代表。男女のすれ違いを考えるPodcast番組『二軍ラジオ』を更新中。雑誌『精神看護』やウェブメディア「日経ウーマンオンライン」「messy」などでコラムを連載。著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』 (原書房)がある。
Twitter @momoyama_radio

(イラスト:谷口菜津子)

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インデックス

連載目次
第24回 3月:大学の包容力をナメるな!
第23回 3月:失敗上等、何度でも仕切り直そう!
第22回 2月:自分なりの先輩像を模索するためのブックガイド
第21回 2月:さまざまな先輩/後輩関係を知るためのブックガイド
第20回 原因は「欲張り」と「自信のなさ」!? 計画性のない我々がすべきこととは
第19回 1月:計画性がない人のための計画術
第18回 12月:コスパ重視な大学生が陥る"クリぼっち恐怖症"の正体とは?
第17回 12月:偏ることを恐れると何もできない学生になる?
第16回 11月:ハロウィンにクソリプする自意識を捨て、"期間限定の自由"を謳歌しよう!
第15回 11月:学祭での「プチ社会人」経験をどう活かすか?
第14回 10月:雑多な自分を認め、"比較思考"から脱却しよう
第13回 10月:デキる学生への嫉妬心をどうするべきか
第12回 9月:女子を「人として」見られない男たち……その改善策とは?
第11回 9月:大学内恋愛に意味はあるのか?
第10回 8月:実用至上主義に飲み込まれないため、「探索能力」を身につけよう!
第9回 8月:自由すぎる夏休みの理想的な過ごし方とは?
第8回 7月:「自他の区別をつける」これがコミュ障を克服する唯一の方法だ!
第7回 7月:教員がモヤモヤする学生からのメールとは?
第6回 6月:"受験型モデル"を脱却し、モヤモヤ耐性を身につけよう
第5回 6月:「入学マジック」が消滅し、ここから本当の学生生活がはじまる!
第4回 5月:開けば海路の日和あり! 苦しいときの"自己開示"のススメ
第3回 5月:閉じるなキケン! 自分の居場所を複数化しよう
第2回 4月:「大学のシステムがわからない病」と「まわりがみんなスゴイ人に見える病」
第1回 4月:新入生ファッションとサークル勧誘の関係性

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