【連載】

機械の目が見たセカイ -コンピュータビジョンがつくるミライ

21 行動認識(2) - 動きの特徴量(HOF、MBH)

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前回の記事では、Dense Trajectoriesをご紹介しました。今回は、そのDense Trajectoriesでも採用されているHistogram of Optical Flow(HOF)、Motion Boundary Histograms(MBH)を説明したいと思います。

HOF

HOF(参考文献:Ivan Laptev, Marcin Marszałek, Cordelia Schmid, and Benjamin Rozenfeld, “Learning realistic human actions from movies,” in CVPR2008)は、まず時刻tと時刻t+1の画像からOptical Flow(画素の動き)を求めます。そして、画像をグリッド状に分割し、各グリッド内のOptical Flowの方向をヒストグラム化します。図1の例は、左手を含むグリッド内の動きをヒストグラム化した例です。

図1 HOF特徴の概要

このHOF特徴量とnon-linear SVM等の機械学習を組み合わせることで、図2のように映像中の動作(Kiss, Stand up, Sit down等)を自動で推定することができます。

MBH

MBH(参考文献:N. Dalal, B. Triggs, and C. Schmid, “Human detection using oriented histograms of flow and appearance,” in ECCV 2006)はHOFと異なり、Optical Flowを微分し、ヒストグラム化します(図3)。動画像中のOptical Flowは、人や車などの動き以外に、カメラの動きも含みます。人の動きによるOptical Flowは、体の部位毎に異なるのに対し、カメラの動きによって生じるOptical Flowは、画面全体で均一になります。MBH特徴では、Optical Flowを微分することで、Optical Flowが変化する境界部のみが抽出されるため、このカメラモーションによる均一なOptical Flowの影響を軽減することができます。

図3 MBH特徴の概要

HOF、MBHを用いても、十分な動作認識の精度を得ることは難しく、まだまだ改良が必要ですが、動画像中の動作・行動認識の基礎技術ですので覚えておくとよいでしょう。

著者プロフィール

樋口未来(ひぐち・みらい)
日立製作所 日立研究所に入社後、自動車向けステレオカメラ、監視カメラの研究開発に従事。2011年から1年間、米国カーネギーメロン大学にて客員研究員としてカメラキャリブレーション技術の研究に携わる。

現在は、日立製作所を退職し、東京大学大学院博士課程に在学中。一人称視点映像(First-person vision, Egocentric vision)の解析に関する研究を行っている。具体的には、頭部に装着したカメラで撮影した一人称視点映像を用いて、人と人のインタラクション時の非言語コミュニケーション(うなずき等)を観測し、機械学習の枠組みでカメラ装着者がどのような人物かを推定する技術の研究に取り組んでいる。また、大学院での研究の傍ら、フリーランスとしてコンピュータビジョン技術の研究開発に従事している。

専門:コンピュータビジョン、機械学習

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インデックス

連載目次
第44回 ディープラーニングの基礎(3) - 回帰・2クラス分類・多クラス分類の出力層
第43回 ディープラーニングの基礎(2) - 活性化関数
第42回 ディープラーニングの基礎(1) - ニューラルネットワークとは
第41回 領域分割(4) – CNNによるSemantic Image Segmentation
第40回 ハードウェアの基礎知識(4) - GPGPU
第39回 ハードウェアの基礎知識(3) - レンズ
第38回 ハードウェアの基礎知識 (2) - 電子シャッター
第37回 コンピュータビジョン分野で活躍する企業・フリーランサー インタビュー(3)
第36回 領域分割(3) - CRFを用いたSemantic Image Segmentation
第35回 領域分割(2) - Mean Shift法を用いたImage Segmentation
第34回 領域分割(1) - 概要編
第33回 見えないものを観る(3) - 目に見えない光「赤外線」を観る
第32回 見えないものを観る(2) - 絵画の下書きを観る
第31回 見えないものを観る(1) - 映像から音を復元する
第30回 動く人・物を追跡する(4) - OpenCVのトラッキング手法(後編)
第29回 動く人・物を追跡する(3) - OpenCVのトラッキング手法(中編)
第28回 動く人・物を追跡する(2) - OpenCVのトラッキング手法(前編)
第27回 動く人・物を追跡する(1) - OpenCVによるトラッキング
第26回 インターネット上の画像群からTime-lapse映像を自動生成する手法の概要
第25回 一人称視点(3) - Social Saliency
第24回 一人称視点(2) - Social Interaction
第23回 一人称視点(1) - 概要
第22回 行動認識(3) - Two-stream ConvNets
第21回 行動認識(2) - 動きの特徴量(HOF、MBH)
第20回 行動認識(1) - Dense Trajectories
第19回 視線計測(3) - カメラのみを用いた視線計測
第18回 視線計測(2) - 近赤外の点光源を用いた視線計測
第17回 視線計測(1) - 導入編
第16回 コンピュータビジョン分野における機械学習(4) - Deep Learning
第15回 コンピュータビジョン分野における機械学習(3) - 識別器
第14回 コンピュータビジョン分野における機械学習(2) - 顔検出・人検出
第13回 コンピュータビジョン分野における機械学習(1) - 導入編
第12回 コンピュータビジョン分野の市場分析(1) - 自動車編
第11回 コンピュータビジョン分野で活躍する企業・フリーランサー インタビュー(2)
第10回 カメラを用いた3次元計測(4) - Structure from Motion
第9回 カメラを用いた3次元計測(3) - サブピクセル推定
第8回 カメラを用いた3次元計測(2) - ステレオカメラ
第7回 コンピュータビジョン分野で活躍する企業・フリーランサー インタビュー(1)
第6回 カメラを用いた3次元計測(1)
第5回 意外と知らないカメラキャリブレーション
第4回 ハードウェアの基礎知識
第3回 コンピュータビジョンの要素技術と応用範囲(後編)
第2回 コンピュータビジョンの要素技術と応用範囲(前編)
第1回 普及期に入ったコンピュータビジョン

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