【連載】

機械の目が見たセカイ -コンピュータビジョンがつくるミライ

18 視線計測(2) - 近赤外の点光源を用いた視線計測

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視線推定手法は、近赤外の点光源(LED)を用いた手法と、カメラのみを用いて通常の画像から視線を推定する手法の2つに大別できます。今回は、前者の近赤外を用いた手法について紹介したいと思います。

視線計測の基本原理

視線計測ではまず、目の動かない部分(基準点)と、動く部分(動点)を検出します。そして、基準点に対する動点の位置に基づいて、視線を求めます。たとえば、基準点よりも動点が上側に移動すれば上を見た、下側に移動すれば下を見たと推定できます。この位置関係を定式化することで、5度上を見たということも求められるわけです。

図1 視線計測の基本原理

近赤外の点光源を用いた手法

近赤外の点光源を用いた手法では、近赤外の点光源により目を照明し、角膜で反射された光(プルキニエ像)と瞳孔の位置から視線方向を求めます(図2)。この手法では、プルキニエ像が基準点に、瞳孔が動点になります。たとえば、左目の画像を例に説明すると、角膜反射(プルキニエ像)よりも瞳孔が外側(目じり側)であれば、左側を見ていると推定できます。また、プルキニエ像よりも瞳孔が内側(目頭側)にあれば、右側を見ていることになります。この手法では、誤差1度程度で視線を計測することができると言われています。

図2 近赤外の点光源を用いた視線計測の概要

近赤外の点光源を用いた手法のメリット・デメリット

メリットは、精度が良いことです。プルキニエ像を画像処理で安定、かつ高精度に検出できるためです。

デメリットとしては、赤外光源によって目領域を照明する必要があるため、視線の検出可能範囲が光の届く距離に限られます。また、赤外照明が必要なため、装置が複雑になり、値段が高くなってしまいます。


この近赤外の点光源を用いた手法は、前回紹介したTobii社の製品にも採用されています。興味のある方は、詳しく調べてみてください。

著者プロフィール

樋口未来(ひぐち・みらい)
日立製作所 日立研究所に入社後、自動車向けステレオカメラ、監視カメラの研究開発に従事。2011年から1年間、米国カーネギーメロン大学にて客員研究員としてカメラキャリブレーション技術の研究に携わる。

現在は、日立製作所を退職し、東京大学大学院博士課程に在学中。一人称視点映像(First-person vision, Egocentric vision)の解析に関する研究を行っている。具体的には、頭部に装着したカメラで撮影した一人称視点映像を用いて、人と人のインタラクション時の非言語コミュニケーション(うなずき等)を観測し、機械学習の枠組みでカメラ装着者がどのような人物かを推定する技術の研究に取り組んでいる。また、大学院での研究の傍ら、フリーランスとしてコンピュータビジョン技術の研究開発に従事している。

専門:コンピュータビジョン、機械学習

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インデックス

連載目次
第40回 ハードウェアの基礎知識(4) - GPGPU
第39回 ハードウェアの基礎知識(3) - レンズ
第38回 ハードウェアの基礎知識 (2) - 電子シャッター
第37回 コンピュータビジョン分野で活躍する企業・フリーランサー インタビュー(3)
第36回 領域分割(3) - CRFを用いたSemantic Image Segmentation
第35回 領域分割(2) - Mean Shift法を用いたImage Segmentation
第34回 領域分割(1) - 概要編
第33回 見えないものを観る(3) - 目に見えない光「赤外線」を観る
第32回 見えないものを観る(2) - 絵画の下書きを観る
第31回 見えないものを観る(1) - 映像から音を復元する
第30回 動く人・物を追跡する(4) - OpenCVのトラッキング手法(後編)
第29回 動く人・物を追跡する(3) - OpenCVのトラッキング手法(中編)
第28回 動く人・物を追跡する(2) - OpenCVのトラッキング手法(前編)
第27回 動く人・物を追跡する(1) - OpenCVによるトラッキング
第26回 インターネット上の画像群からTime-lapse映像を自動生成する手法の概要
第25回 一人称視点(3) - Social Saliency
第24回 一人称視点(2) - Social Interaction
第23回 一人称視点(1) - 概要
第22回 行動認識(3) - Two-stream ConvNets
第21回 行動認識(2) - 動きの特徴量(HOF、MBH)
第20回 行動認識(1) - Dense Trajectories
第19回 視線計測(3) - カメラのみを用いた視線計測
第18回 視線計測(2) - 近赤外の点光源を用いた視線計測
第17回 視線計測(1) - 導入編
第16回 コンピュータビジョン分野における機械学習(4) - Deep Learning
第15回 コンピュータビジョン分野における機械学習(3) - 識別器
第14回 コンピュータビジョン分野における機械学習(2) - 顔検出・人検出
第13回 コンピュータビジョン分野における機械学習(1) - 導入編
第12回 コンピュータビジョン分野の市場分析(1) - 自動車編
第11回 コンピュータビジョン分野で活躍する企業・フリーランサー インタビュー(2)
第10回 カメラを用いた3次元計測(4) - Structure from Motion
第9回 カメラを用いた3次元計測(3) - サブピクセル推定
第8回 カメラを用いた3次元計測(2) - ステレオカメラ
第7回 コンピュータビジョン分野で活躍する企業・フリーランサー インタビュー(1)
第6回 カメラを用いた3次元計測(1)
第5回 意外と知らないカメラキャリブレーション
第4回 ハードウェアの基礎知識
第3回 コンピュータビジョンの要素技術と応用範囲(後編)
第2回 コンピュータビジョンの要素技術と応用範囲(前編)
第1回 普及期に入ったコンピュータビジョン

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