前回の唐揚げに続き、これまた中華の定番おかずである春巻き。専門店で食べるとパリパリッとした皮がおいしいのに、自宅でつくるとしなっとした皮になってしまう。そんなお悩みを解決するべく、今回も東京・青山の中華料理店「Essence」のオーナーシェフ・薮崎友宏さんがおいしい春巻きをつくるコツを教えてくれる。

薮崎シェフの大人気チャーハン連載更新中!

【連載】チャーハンを極めよう! - 身近な素材でつくる絶品レシピ


残り物の食材で、パパッとカンタンにつくることができるチャーハン。主婦にとっても1人暮らしの人々にとっても、なんともうれしい料理なのだが、"上手くつくる"となると、少々難しいのがこのメニュー。専門店のように仕上げるには、それなりのテクニックが必要なのだ。そこで、調理指導とレシピ考案をお願いしたのが東京・青山の中華料理店「Essence」のオーナーシェフ・薮崎友宏さん。
まず第1回目と第2回目では、基本中の基本である玉子チャーハンについて紹介。玉子を"先混ぜ"にするか、"後混ぜ"にするかの2通りを教えていただいた。

「きのこたっぷり! パリパリ春巻き」

皮の巻き方と揚げ油の温度管理に注意すれば、パリパリ春巻きは意外と簡単。今回は、キノコをたっぷりと使い、秋らしい春巻きに仕上げている。

材料(4本分)
シメジ 1/2パック / エノキ茸 1/2袋 / 干しエビ 10g / 紹興酒(なければ日本酒) 5cc / 水(干しエビ戻し用) 大さじ1 / 春雨 10g(乾燥状態) / 豚挽き肉 50g / ニンニクみじん切り 1片分 / 生姜みじん切り 5g / 水 300cc / 砂糖 小さじ1 / 醤油 小さじ1 / オイスターソース 大さじ1 / ゴマ油小さじ1/ 春雨の皮 4枚/ 水溶き小麦粉 適量 / 揚げ油 適量

つくり方

1.シメジは石づきを取り除き、手で適当な大きさに裂く。エノキ茸も、石づきを取り除き、半分の長さにカット。干しエビは、紹興酒(もしくは日本酒)と水を合わせたものに10分ほど漬け、戻しておく。春雨は水につけて戻す。
2.鍋を火にかけ、サラダ油をひく。豚挽き肉を炒め、完全に火が入ったら、みじん切りのニンニクと生姜を加えてさらに炒める。
3.ニンニクの香りが出てきたら、1の干しエビとキノコ類、水を加えて煮込んでいく。砂糖、醤油、オイスターソースで味付けし、1で戻した春雨を加えて煮詰めていく。次第に春雨が水分を吸い、とろみが出てくるので焦がさないようにかき混ぜながら加熱を続け、汁気がなくなったら、香り付けのゴマ油をかける。平皿等に移して冷ましておこう。
4.春雨の皮で3の餡を包む。その際、最初は餡がはみ出ないようにギュッと押さえて巻いていく。
5.両端を折りたたんだ後はふわっとやさしく巻き、水溶き小麦粉で端を止める。
6.160℃の油で春巻きを揚げる。160℃の目安は、春巻きを入れてもすぐに泡が出てこないで、少し遅れて泡がぶくぶくと出てくる感じ。その後中火で170℃程度に上げる。色が付き始めるまでそのままにし、色が付いてきたら何度か返しながらまんべんなく色付けする。5~6分ほど揚げてきつね色になってきたら、さらに火力を強めて温度を上げる。30秒ほど経ったら取り出し、油を切って盛り付け。

きつね色に揚がった春巻きは、皮がパリパリ。春雨のプルプル食感が楽しい餡は、しっかりと味がついているのでそのまま食べられる。餡をつくる際は、しっかり火を通して水分を飛ばしておくのがコツ。水分が残っていると、揚げたときに破裂する場合がある。

そして、今回のコツはなんといっても揚げる際の温度。いきなり高い温度で揚げると皮の表面にぶつぶつと水泡のようなものができて見た目が悪くなる。今回のように、160℃程度の低温で揚げ始めると、ツルリとキレイな表面に仕上がるのだ。これが食感のよさにもつながる。さらに最後に温度を上げることで、油切れをよくしてカリッと揚がる。また、皮を巻く際は、はじめはきつめに、後半はふんわりやさしく巻いていくことで、皮の間に空気が入り、よりカラッと揚がる。

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教えていただいた料理人

「Essence」オーナーシェフ兼ソムリエ
薮崎友宏さん


横浜中華街の老舗「菜香新館」にて修業を開始。26歳で立川店の料理長に抜擢される。その後、広東省で家庭料理を学び、北京の大学で薬膳の研修を受ける。中国政府認定の国際薬膳調理師の資格も有する。2007年3月に東京・青山「Essence」料理長、2008年に同店オーナーシェフに。同店では薬膳も取り入れ、広東料理をベースにした料理を提供。チャーハンは4種類を用意し、近隣へのデリバリーも行っている。

「Essence」
住所: 東京都港区南青山3-8-2 サンブリッジ青山1F
TEL: 03-6805-3905

撮影: 中村浩二