塾選びのポイントを西村則康氏に聞いた

中学受験に臨むにあたり、いざ塾を選ぶとなると選択肢が多過ぎて迷ってしまう。通いだしてからミスマッチに気づくと、子どもが伸び悩み、受験そのものを諦めてしまうことにもつながりかねないからだ。そこで、「塾ソムリエ」として塾の活用方法等を指南しているカリスマ家庭教師の西村則康氏に失敗しない塾選びのポイントを聞いた。

大手塾のカリキュラムは完成度が高い

中学受験向けの塾には、中小個人塾から大手の進学塾まで様々な形態がありますが、目的は入試突破なのですから、合格までの学習カリキュラム(授業進行表、テキスト、テスト)がきちんと組まれている塾がよいでしょう。関東ではSAPIX、早稲田アカデミー、四谷大塚、日能研がいわゆる4大塾といわれていて、これら大手進学塾は過去の受験生の膨大なデータを元に独自のカリキュラムを作っています。

変化する中学入試の傾向も踏まえて、毎年カリキュラムに修正も加えており、かなり完成度の高いものになっているといえます。情報量、組織としてのマンパワー、盤石なカリキュラム。総合的に考えて、4大塾を検討されるご家庭が多いと思います。

大手4大塾を比べてみると

知名度やブランド力、合格実績だけが注目されがちな4大塾ですが、実はそれぞれにはっきりとしたカラーがあります。これら4つの塾の特徴をあげていきましょう。

(1)SAPIX
御三家をはじめとする難関校に強い塾です。5年生の終わりには6年生までの指導内容を基礎レベルで終えてしまうほど算数のカリキュラム進度が速く、テキストも上位層向けに作られているので、上の学年の内容まで先取り学習してから入塾をさせたほうがよいでしょう。進度が速いので途中からの入塾は難しいかもしれません。入塾を考えるのでしたら、3年生の終わりにはSAPIXに入るための対策をしておくべきです。

(2)早稲田アカデミー
志望校別対策講座に定評があります。早稲田アカデミーの「NN」という志望校別特訓は、志望校に近い教室で開かれるなどのしかけもあって人気があり、他塾の子もかけ持ちで通うほどです。教室数が多いので、教室による違いはあるかもしれませんが、総じて宿題が多く、きちんとやったかどうかのチェックも厳しい塾です。反復学習で力をつけさせるのが狙いですが、宿題がどんどんたまって消化不良を起こさないよう注意が必要です。

(3)四谷大塚
「予習シリーズ」というテキストがよくできているため、各地に四谷大塚の教材を使う準拠塾がたくさんあります。準拠塾ではテストも四谷大塚と同じものを受けるため、母集団が大きくなるとともに、学力分布が正規分布に近くなり、模試の判定の精度も高いといえます。特に中堅校の合否判定に定評があります。「予習シリーズ」が改訂されて問題のレベルが上がったので、お父さん、お母さんが通ったころの四谷大塚のイメージとは異なることにも注意してください。

(4)日能研
上位校のみならず、中堅校にも強い塾です。4~5年生のうちは比較的ゆっくり進めてくれるので、その間に勉強のペースをつかみ、基礎力を高めていくことができます。ただし6年生になると急にカリキュラムの進行が早くなりテストも増えるので要注意です。5年生の2月から6年生の4月の間に、1週間の学習ペースを見直して勉強のやり方を変えていく必要があります。

このような違いのある4塾ですが、難関校への合格者はどの塾からも出ています。これらの特徴を踏まえ、子どもに向く塾、向かない塾を選んでいただきたいと思います。

次回はさらに踏み込んで、子どものタイプ別の塾の選び方を西村氏に解説していただく。

※記事の内容は、あくまで西村則康氏の個人的な見解によるものです
※写真と本文は関係ありません

著者プロフィール

西村則康
首都圏・関西圏の難関校に2500人以上を合格させてきた実績を持つ、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。中学受験情報サイト『かしこい塾の使い方』は16万人の読者が参考にしている。