前回に引き続き、2013年開校の「駿台・浜学園」をご紹介。「算数の実力差が受験を制す」と、4教科の一般コース以外に算数のみの特訓コースもあり、テストの回数が多いのが特徴だ。今回はさらに詳しい塾の体制と、関西トップ塾が関東に進出した理由をご紹介する。

家庭学習しやすい仕組みが充実

復習テストの出題範囲が書かれた学習計画表。ポイントとテキストのページ数が書かれている。テストは復習8割、応用2割で出題

中学受験において、親の関わりが難しいと感じることの1つに、「家庭学習」があるのではないか。その点頼りになるのが、授業のポイントやアドバイスを示した同塾の「学習計画表」だ。ポイントを記した箇所には、テキストのページ数も書かれているため、復習しやすい。

インターネットも活用しており、欠席時の講義や公開学力テストの解説、テキスト全問題の講義などがオンライン上で視聴可能。塾がないときでも子どもたちが自ら勉強できる環境を作るためのサポートがしっかりしている。テスト結果も随時見られるので、保護者も安心。

また、学力に即した講義と少人数指導を徹底させているのも特徴だ。一般コースでは学力に応じたクラスが3種類あり、復習テストと公開学力テストの総合成績で2カ月ごとにクラス分けされる。クラスが上がれば頑張りの評価に、クラスが落ちても、次回への目標につながるとともに、学力に即した講義が受けられる。1クラスの人数は10名程度と少ないので、一人一人に先生の目が行き届く。講師については現在、関東だけでなく実績のある関西からも3分の1以上呼び寄せているという。

オリジナル教材は1教科3~4種類。講義用テキストには単元ごとに要点が書かれており、宿題用テキストに解答解説があることで、家庭学習もつまずかず進められる

さらに、オリジナル教材も学習内容を深く理解させるための工夫が満載だ。教材には、繰り返し学習した単元を、学年をまたがって内容を高度にしつつも再度学習する「スパイラル方式」という仕組みを採用している。この教材を使うことによって、ただ問題をこなすのではなく、意味の理解に導いて定着をはかり、効率的に勉強を進めていくことができるとのことだ。  

合言葉は”満足していただける受験”

関東と関西の指導体制に大きな違いはない。しかし、関西では入学試験が3教科(国語・算数・理科)でも受験できる学校が多数であるのに対し、関東は社会を含めた4教科が多いので、小4から社会の授業を実施するなどの対策をとって対応している。また、記述式の問題が多い都立の中高一貫校対策も抜かりない。2016年は見事、小石川中等教育学校(都立の中高一貫校)に合格者を輩出した。第1期生は21名と少ないが、開成中や渋谷教育学園幕張中、お茶の水女子大学附属中、女子学院中など超難関有名校の合格者も多数輩出している。

同塾では、合言葉を”満足していただける受験”とし、利用者が満足感を持って受験に取り組める環境づくりを心がけているという。中学受験は親子の受験。親のサポートなしでは勝ち得ないのが実情だ。そのため、講師と子ども、もしくは講師と保護者、あるいは3者面談というかたちで、希望があれば面談を実施してくれる。申し込めば期間や回数に関係なく、相談に応じるサポート体制が整っている。子どもと親の主張が一方通行になり、コミュニケーションを円滑に取ることが難しくなったときに、間を埋めてくれる役割も担ってもらえそうだ。  

少子化などの影響で関東進出

現在のビルの案内

少子化や受験率の低下を実感し、2003年には東海地方、そして関東進出を果たした同塾母体の「浜学園」。関東でのブランド力を高めようと、実績がありながらも中学受験部門の強化を検討していた「駿台」とタッグを組んでの開校となった。「算数指導」を看板に掲げる浜学園と理数系に強い駿台の方向性が似ていたというのもある。

 今回の取材先、お茶の水教室が入ったビルは「駿台」がメイン看板を掲げている。「駿台・浜学園」は3Fの全フロア。取材に応じてくれた同塾の竹森勝俊 代表取締役は、「ゆくゆくは、2歳半から入れる幼児教室(はまキッズ)から「駿台・浜学園」、大学受験で「駿台」へと1つのビルで完結する形を取りたい」と抱負を語ってくれた。

今後も1年に1~2校のペースで開校していくという同塾。既存の教室の地固めも必要なので、無理な広げ方はしないそうだ。今後の展開が楽しみである。