子どもの中学受験を考える親世代にも中学受験経験者はいるかもしれない。だが30年前の受験と今の受験は大きく異なる。最新の中学入試の傾向を日本初の「塾ソムリエ」という西村則康氏にうかがった。

2020年の大学入試改革を見据えた内容が中学入試のトレンド

最新の中学入試の傾向を西村則康氏に聞いた

2020年に大学入試制度が変わるため、それに伴い中学入試も変わりつつあります。今年の入試問題でその傾向が最も顕著だったのが理科です。すでにある知識で解けるという類いの問題ではなく、過去に習ったこともないような内容が書かれている長い説明文の中からヒントを探し、答えを導くというような問題が増えたと感じます。

例えば男子御三家のひとつ、武蔵中学校ではクモの糸の張り方の問題が出ました。「橋糸」や「こしき」「枠糸」など初めて聞く言葉が並んでいる文章の中から、糸の張り方の規則性を導き出し、クモの巣の形を描かせるものでした。これは以前から公立中高一貫校の適性検査にあったような問題で、今後もこの流れは続いていくでしょう。未知の事柄についての探求心がある子、長い文章を一読して理解するだけの処理能力の高い子がほしいというのが、学校側の狙いだと思います。

国語の長文読解は7~8年ほど前から急に難しくなりました。物語文ではなく、大学入試にも出るような論説文が多く出題されるようになり、もはや6年生が読んで理解する文章のレベルを超えています。これ以上難しくすることはないでしょう。でも算数はまだまだ難しい問題を作ることができる。難問と難問を組み合わせることで新たな難問を作れてしまうのです。ご両親が小学生だった30年前と比べて、今の中学入試の問題は格段に難しくなっています。

塾でも「考える力」を伸ばす傾向に

塾で教えるのは解法のパターンですが、中にはそれを丸々覚えようとする子もいます。習った最初のテストはそれで解けますが、次にひとひねりしてあると、もうわからない。そういう時に真面目なお母さんは「この問題が苦手だから繰り返しやらせよう」となりがちですが、それは間違った勉強方法です。理解すること、納得することなく繰り返すと、ただの暗記になってしまうからです。

今年も難関校の算数に●●算という名称で分類できないような問題があったのですが、こういう問題にあたった時、解き始めてこの方法じゃうまくいかないな、じゃあ見方を変えてみようという工夫ができるかできないか、そこが合否の分かれ目になります。暗記型の学習のみでは太刀打ちできません。今後ますますこのような傾向が強くなるでしょう。

ただここで誤解してはいけないのは、ある程度の知識を蓄えるまでは暗記も必要だということです。覚えた知識をどう使うかが「考える力」だとすれば、知識がなければ考えることすらできません。このどちらも伸ばしていけるように、カリキュラムが組まれている塾を選ぶことをオススメします。

西村則康

首都圏・関西圏の難関校に2500人以上を合格させてきた実績を持つ、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。中学受験情報サイト『かしこい塾の使い方』は16万人の読者が参考にしている。