各店舗の売上状況を地図から簡単にチェック

前回の記事では、「Google Maps Engine Pro」に関する基本機能などを紹介した。そこで今回は、企業の業種や業務内容に応じた具体的な活用方法について考えてみたい。

まず、複数の販売店舗を持つ企業のケースを見てみよう。

最近は多くの企業が売上などの各種データについて、日頃から各種グループウェアやGoogleドキュメントのスプレッドシートで本社との共有・管理を行っている。もちろん、数値データとして見るならこの方法だけで問題ないのだが、経営者層としては各エリア内における売上の差異や特徴を素早く把握したいところ。脳内地図にデータを結び付けようとしても、数十店舗あるとさすがに補完しきれなくなってしまう。

こうした状況において、Google Maps Engine Proを使うと店舗名はもちろん、売上などのデータまで地図上に表示することが可能だ。売上状況に応じて地図上に表示するアイコンを変えられるため、一目で状況を判断できる。経営者層専用の社内ポータルページに貼り付けておけば、日々の確認にも便利だ。

販売戦略立案の支援やルート経路管理にも実力を発揮

企業や一般消費者へ製品を直接届ける、サービスを提供するような形態の企業では、顧客情報を地図上に表示することで、販売戦略立案の支援が可能となる。

単純に顧客情報をプロットするだけでなく、顧客の嗜好や購入頻度などによってレイヤーを使い分けたり、顧客の検索や情報変更が簡単に行えるのは大きなメリットだ。こちらは店舗情報を表示する先ほどのケースよりプロット数がかなり多くなるが、CSV形式のファイルやGoogleドキュメントのスプレッドシートから一括でインポートできるため入力の手間やコストを抑えられる。

集配や配送がある物流系、さらには保守やメンテナンス業務を手がけるような企業では、ルート経路情報を管理するのに役立ってくれる。ルート表示に加えて距離計測や範囲オブジェクトの作成機能があるため、最も効率良く回れるルートを導き出すのに最適だ。また、契約変更が生じた際や突然のトラブル発生時など、ルートを見直すのにも役立つだろう。

用途や目的に応じたレイヤーの使い方がポイント

Google Maps Engine Proでの地図作成においてポイントとなるのは、やはりレイヤーの使い方だろう。複数のレイヤーに対してそれぞれ的確な情報を追加しておけば、数多くのデータがあってもレイヤーを表示・非表示にするだけで簡単に目的の情報が得られるようになる。

そのためには、まず「地図上でなにを表示したいのか」を事前に明確にし、各レイヤーに追加する情報を切り分けておく必要がある。もちろん、レイヤーに追加する情報は後からでも変更できるが、最初から方針を練っておいた方が当然ながら作り込みもしやすい。文字だけでなく写真なども追加できるが、情報過多で見づらくならないよう、各レイヤーに対する最適な情報配分を見つけ出してもらいたい。

このようにGoogle Maps Engine Proは、企業の地図活用を強力にサポートしてくれるツールといえる。非常に汎用性が高いため、今回紹介した内容以外にもさまざまな活用方法が考えられるだろう。また、従来の「Google Maps Engine」と違い、専門知識なしで簡単に作成できる使い勝手の良さもポイントとなっている。

30日間の試用期間も用意されているので、気になる方はぜひ一度使ってみていただきたい。