UCC上島珈琲(以下、UCC)が兵庫・神戸で開催しているコーヒー教室が人気で、なかなか予約が取れないとの情報を耳にした。日本を代表する"コーヒーカンパニー"のコーヒー教室とは一体どのような内容なのだろうか。

コーヒー教室の紹介に入る前に、この連載の読者の皆さんに1つ、お知らせしたいことがある。約1年にわたって続けてきた連載「自宅でおいしいコーヒーを楽しむために」が21日、毎日コミュニケーションズより単行本『自宅でコーヒー~プロ並みにおいしいコーヒーを淹れる~』となって発売された。連載の内容はもちろんのこと、同書のために新規取材も行い、新企画をたっぷり収録している。これから始まるUCCのコーヒー教室紹介もバッチリ盛り込まれている。コーヒーに関する様々な内容が入っている盛りだくさんな1冊となっているので、ぜひ読んでみてもらいたい。

『自宅でコーヒー~プロ並みにおいしいコーヒーを淹れる~』。購入はこちら

初心者向けの「ベーシックコース」

話がそれてしまったが、本題に入るとしよう。UCCが本社ビル隣の「UCCコーヒー博物館」内に「UCCコーヒーアカデミー」を開校したのは2007年のこと。抽出記述に加え、歴史や栽培・加工法なども解説し、「コーヒーを学問的に掘り下げていこう」というテーマのもと、授業は進んでいく。受講者は業界関係者だけではなく一般の方も多い。なんと今では予約待ちのコースもあるという。今回は4つあるコースの中から、初心者向けの「ベーシックコース」の様子をレポートする。

ベーシックコースは1回2時間30分で全4回。受講料は4回で15,000円(テキスト代・材料費込)。取材で伺ったのは1回目の授業で、教室内には約20人の生徒さんが。まずはオリエンテーションの後、UCCコーヒー博物館見学を行う。博物館ではコーヒーの起源や精製工程、焙煎方法などが詳しく紹介されており、ここを見るだけでもかなりの知識を身につけることができる。

「UCCコーヒー博物館」内の様子

「UCCコーヒーアカデミー」学長の楠正暢さん

教室に戻ると、UCCコーヒーアカデミー学長の楠正暢さんから焙煎する前のコーヒー豆で"生豆(なままめ)"と呼ばれるものをスープ状にしたものが配られる。この黄土色っぽい液体こそがコーヒーの元祖とされているそうだ。次はトルココーヒーの試飲。イブリックと呼ばれる小鍋にコーヒーや砂糖、塩、香辛料を入れて煮ていき、これを漉さずに飲む。コーヒーの苦味や香りがストレートに伝わるワイルドな味だ。

そしていよいよカッピングと呼ばれるテイスティング作業に。コーヒー粉に湯を注ぎ、香りをかいだり、すくった上澄み液をすするカッピングの方法をコーヒー鑑定士の資格も持つ専任講師・中平尚己さんから教わる。中平さんがカッピングをすると「ヒュッ」という笛を鳴らしたような音が。それを見て私もチャレンジしてみるが、非常に難しい。

各テーブルにコーヒー豆を挽いたものがスタンバイ。まずは、コーヒー鑑定士の資格も持つ専任講師・中平尚己さんがカッピングをしてくれる

味を言葉で表す難しさ

しかし、カッピングの目的は音を鳴らすことではなく、味をみること。集中して香りや味わいを確かめていくと、「お煎餅みたいに香ばしさがある」「フルーティーな香り」といったように違いがわかってくる。ファーストインプレッションをメモしながら、次はセオリー解説を聞く。カッピングしてきた豆が「一般的にはこのような味、香りとされています」といった紹介を聞くのだ。慣れていないと、味や香りを言葉で表現するのは予想以上に難しい。そんな時に、このセオリーが役立つのである。

一生懸命香りをかごうとして鼻を近付けすぎ、この後、コーヒーが鼻に付いてしまった……

1回目から大変要素が盛り込まれていて、あっという間の2時間半だった。2回目は手鍋で生豆を煎りって焙煎体験を。3回目はオーソドックスなペーパードリップ実習をし、サイフォンを使った抽出も体験する。最終回となる4回目は失敗しないフードとの組み合わせを教えてもらい、加えて「コーヒーカップの持ち手は右側と左側、どちらにくるように置けばいいか」といった"コーヒーマナー"を学ぶ。

聞くところによると、ベーシックコース履修者の約6割は1ランク上の「プロフェッショナルコース」に進むのだとか。しかも、同コース受講者の半数以上は一般の方。皆さん、コーヒーの魅力の虜になっているのだろう。

さて最後になったが、冒頭で紹介した『自宅でコーヒー~プロ並みにおいしいコーヒーを淹れる~』が3名に当たる読者プレゼントも行っている。コーヒーが好き! という方は応募してみてはいかがだろうか。