市販の「八宝菜の素」

たっぷりの野菜と肉や魚貝類を使った「八宝菜」。ご飯の上にかけて中華丼にしたり、麺にかけてもおいしくいただける。市販の「八宝菜の素」では、鶏ガラスープなどをベースに、塩味メインでさっぱりと味付けしたものが一般的。オイスターソースや肉・魚系のエキスで旨みをプラスしているものも多く、元々とろみを付けてあったり、とろみ用のでんぷんが添えられているのも特徴だ。

東京・代々木上原の人気中華料理店「老四川 飄香(ピャオシャン)」オーナーシェフ・井桁良樹さんによると、「八宝菜」とは漢字の通り八つの"宝"が入っているという意味で、中国では肉と魚貝類、野菜類、ウズラの卵など様々な食材が使われているそう。中国での修行経験がある井桁さんは、「塩味と醤油味のところがあり、食材の組み合わせも店によって違った」と語る。

今回は、「ユズポン酢鍋をイメージしてつくりました」とのこと。ボイル野菜を使った和風の八宝菜で、ふわっと香るユズの香りが決め手。冬らしさのある八宝菜になっている。

今回も、卓上コンロと1,000円フライパンで調理していただきます

「柚香冬天八宝菜」

材料(3~4人分)
野菜類(カブ・カリフラワー・ブロッコリー・レンコン・白菜・エノキ茸)計280g / イカ(アオリイカ)50g / エビ50g / 片栗粉小さじ1 / 豚肩ロース肉(スライス)100g / 水50cc / 「八宝菜の素」3~4人分 / 「八宝菜の素」に添えられているとろみ用でんぷん / 水(でんぷん溶き用)50cc / ユズ皮みじん切り小さじ1 / サラダ油少々

つくり方

1.カブは、皮をむいて4等分する。カリフラワーとブロッコリーはひと口大にカット。レンコンは皮をむいて薄くスライスし、水にさらしておく。白菜もひと口大にカット。エノキ茸は石づきを切り落とす。イカは、ひと口大にし、表面に切り目を入れておく。イカとエビに片栗粉をまぶす。
2.フライパンに水(分量外)を入れて強火で沸かし、火の通りにくいものから順に1の野菜類を入れ、茹でる。ここでは八分目程度に火を通すことをが目的。茹でた野菜は湯から引き上げ、湯はそのまま残す。
3.2のフライパンに1のイカとエビを入れ、さっと湯通ししたら湯を捨てる。
4.フライパンにサラダ油をひいて熱し、ひと口大にカットした豚肉を強火で炒める。ある程度火が通ったら、2の野菜類を戻し入れ、水を加える。
5.「八宝菜の素」を加え、炒め合わせる。適度に煮詰まってきたら、水で溶いたとろみ用でんぷんをまわし入れる。3のイカとエビを戻し入れる。
6.仕上げにユズ皮のみじん切りを加え、つや出し用のサラダ油をかけ、皿に盛り付ける。

絶妙の歯ごたえが残る野菜と、プリプリ食感のエビとイカ。ソースはユズの風味がやさしい和風味。まさに鍋のように、様々な具材から出た旨みが溶け出したソースと共にたっぷりの野菜がいただける。ご飯の上にのせて丼にしてもおいしそうだ。

今回の調理のポイントは、ちょうどよい食感に仕上げた野菜類にある。そのためには、した湯での段階では完全に火を通さず、八分目程度でとめておくこと。一方、イカとエビは片栗粉をまぶして下茹ですることで、プリッとした食感に。すぐに火が通って固くなのるので、仕上げに炒めるときには最後に入れて、軽く火を通す程度に仕上げよう。

また、今回は冬野菜を使っているが、季節ごとに旬の野菜を使ってみるのもオススメだとか。合計の野菜量さえ守れば、味が薄くなったりはせず、ちょうどよい味わいに仕上がる。「八宝菜の素」はやさしい味わいなので、クセのある野菜より、今回のようにカブや白菜といった淡白な野菜のほうが合うようだ。仕上げのユズも、青ユズや中国セロリなど、季節に合わせて変化させても面白い。ぜひ食卓の定番メニューに!

教えていただいた料理人

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん
2005年4月に東京・代々木上原に「老四川 飄香」を出店。中国での修業経験を生かしつつ、独自のアレンジを加えた本格四川料理が評判となり、連日予約で席が埋まる人気店に。店名は、"OLD四川が漂い香る"という店のコンセプトから付けた。日本人向けに、直接的ではなく香りで辛さを感じるような独自の工夫を行なっている。

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん。店舗は代々木上原駅から徒歩3,4分の場所にある

住所: 東京都渋谷区上原1-29-5 BIT代々木上原001
電話: 03-3468-3486
※店舗データは取材時のもの