前回から、"お風呂テレビ"の紹介をしている。従来のお風呂テレビには、工事をして設置する本格的なものと、浴室に持ち込めるポータブルなワンセグタイプのものがあることを紹介した。しかし、どちらにも欠点がある。本格的なお風呂テレビは安定的な視聴が可能という点で優れているが、何といっても工事費が高く付く、後から浴室に設置するには大掛かりな工事が必要という2点が大きな欠点だ。また、ワンセグタイプのものは、浴室という密閉空間では地上デジタル放送波を拾いづらいという欠点がある。

そこでオススメしたいのが、防水機能のついたタブレット端末だ。前回、防水機能はIPX5以上が浴室テレビに適しているという話をした。このような話を前提として、どのようなタブレット端末がお風呂テレビに適しているかを考えていこう。

まずは映像ソースだ。お風呂テレビの映像ソースにできるのは、地上デジタル放送波、レコーダーに録画した映像、ネット配信の3つがある。このうち、地上デジタル放送波はあきらめたほうが良い。浴室の環境にもよるが、ワンセグを含む地上デジタル放送波の電波は、密閉された浴室では非常に受信しづらいのだ。拡張アンテナが付属している製品も多いが、浴室の窓からアンテナを出す必要があるなど、あまり実用的ではない。ワンセグ方式の浴室テレビを買うのであれば、事前にワンセグ受信可能な携帯電話などを使って、浴室の中でもクリアに受信できるかどうかを確かめておこう。

また、入浴中に地上デジタル放送を観ようと思っても、観たい番組が放送されているとは限らない。もちろん、中にはワンセグ録画機能が搭載されているものもあるが、浴室で観るためだけにわざわざ録画予約をするというのも、ひどく面倒であまり現実的ではない。

現在のところ、防水タブレットは富士通の「ARROWS」のみ。スマートフォンにも防水機能が搭載されている。お風呂でじっくりとテレビを楽しみたい人は、ARROWSを選択肢に入れるといいだろう

もうひとつのソースは、あらかじめレコーダーに録画しておいた映像だ。これを利用するのが、おそらくベストだろう。15分や30分程度の録画番組であれば、入浴時間で観るのに適当であるし、1時間番組や映画でもお風呂で観賞を始め、続きはリビングや寝室でという楽しみ方ができる。ところが、こういう楽しみ方をするには、レコーダーとタブレット端末を同じメーカーのもので揃えなければならない。もっとも積極的にレコーダーとタブレットのリンクをやっているのは東芝で、「レグザブルーレイ」と「レグザタブレット」を使えば、簡単にレコーダーの映像をタブレット端末で楽しむことができる。しかし、問題なのは、防水のレグザタブレットは発売されていないことだ。

ただし、いくつか解決法はある。方法のひとつは、タブレット端末ではなく携帯電話を使うというものだ。レコーダーと同じメーカーが販売しているスマートフォンであれば、リンク機能が使えるためレコーダーの映像を楽しむことができる。しかも、携帯電話やスマートフォンでは防水機能の実装が進んでいる。「レグザフォン IS04FV」の場合はIPX5/IPX7等級なので、浴室でも使うことができる。ただし前回紹介したように、あくまでも「あらゆる方向からの直接噴流」に対する防護なので、浴槽に落としてしまった場合は故障する可能性はある。また、石けん水やシャンプーが付着した場合には、すぐに拭くか洗い流すかといった対処をしないと、外装が汚れたり場合によっては故障の原因にもなったりする。浴槽の縁ではなく、洗い場の棚などに置いて、なるべく触らないようにすれば、そう問題は起きないだろう。

このようなレコーダーとのリンクは、無線LANを使うのが一般的だ。一般的な広さ・構造の家庭内であれば無線LANの電波が届かないということは少ないので、浴室でもほぼ問題なく受信できる。もちろん、無線LANルーターの設置位置や浴室の構造によっては受信できないこともあるので、事前に浴室で無線LANの電波を受信できるかどうかを確認しておくと良いだろう。

前々回も紹介した「Slingbox」。自宅のレコーダーに取り付けると、iPadやiPhone、Android搭載のタブレットやスマートフォンAndroidでレコーダーの映像が見られる画期的な製品だ

もうひとつは、防水機能つきのタブレットを購入することだ。現在日本のメーカーから発売されている防水タブレットは、富士通の「ARROWS Tab LTE」だ。ただし、レコーダーの映像を見る機能は備わっていないので、利用するのはネットの映像配信ということになる。ARROWSはAndroidタブレットなので、「GyaO!」や「Hulu」といった映像配信サービスが利用できるのだ。GyaO!は、日本や韓国などの映画・テレビドラマが無料で観られるもので、Huluは米国や日本、韓国などの映画・テレビドラマが月額1,480円で見放題になるサービスだ。

また、前々回紹介した「Slingbox」を購入すれば、自宅のレコーダーに録画した番組も観られるようになる。

他のタブレットでも、GyaO!やHuluなどのネットサービスは利用できるし、Slingboxを使って自宅のレコーダーに録画した番組を見ることができる。ただし、まだ一般のタブレットは防水に対応していないのが現実だ。

タブレット端末やスマートフォン用の防水ケースも各社から発売されている。この「DiCAPacα」はIPX8(水没に対する保護)準拠なので、お風呂での使用ならまったく問題ない。もちろん、ケースの上からタッチ操作もできる

中には、「ジップロック」に代表されるジッパー付きのビニール袋にスマートフォンやタブレット端末を入れて、お風呂で観るという強者もいる。実際、これがなかなか上手くいくのだ。ビニール袋は電波も遮断しないし、多少感度が悪くなる感じはあるが指でのタッチ操作も行える。ただし言うまでもないが、お風呂で扱っている時に誤ってジッパーを開封してしまったら、かなりの確率で故障してしまうことだろう。防水をまったく考えていないスマートフォンやタブレットでは、お風呂の湿気だけでも故障する可能性がある。

今では、スマートフォンやタブレット用のお風呂ケースというものが各社から市販されている。中にはタッチ操作がきっちりと行えるように配慮されているものさえある。このような防水ケースでも完璧とはいえないだろうが、ビニール袋を使うよりははるかに安心できる。

以上をまとめてみると、お風呂テレビを実現する手段は次の3つが代表的なものといえるのではないだろうか。

  1. テレビメーカーが発売しているタブレット端末やスマートフォンを防水ケースに入れて、レコーダーの映像を観る。
  2. 防水タブレット端末や防水スマートフォン(IPX5以上)を使用して、ネット映像配信サービスの映像を観る。
  3. 防水タブレットや防水スマートフォンをSlingboxと合わせて使用して、レコーダーの映像を観る。

寒い冬の間は、お風呂に入っていると心も身体も休まる。お風呂は身体を洗うだけの場所ではない。第2の書斎、第2のリビングとしても利用できるのだ。

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