いよいよアナログ停波の7月24日が迫ってきた。古いアナログテレビはどうやって捨てたらいいのか。前回は、訪問回収業者の話をした。良心的な回収業者もたくさんいるが、中には悪徳業者もいるので、注意したいポイントを紹介した。今回は、自分で持ちこむタイプの回収業者を紹介しよう。

よく「世の中にうまい話はなし」といういい方がある。この情報社会では、もうひとつの格言を覚えておいてほしい。それは、「うまい話は、寝て待っていてもやってこない」ということだ。ただ、自分の家でゴロゴロしているだけで、「普通は5000円から1万円かかるテレビの回収が無料になります」という話が舞いこんでくると考えるのは、あまりにも都合がよすぎる。

このような「向こうからやってくる話」はプッシュ情報という。企業や業者が、消費者にプッシュする情報だからだ。このようなプッシュ情報の多くは、企業側になんらかのメリットがあるからこそ、わざわざ教えてくれるのだ。ダイレクトメールが典型例だろう。もちろん、良心的なダイレクトメールには、優れた商品が格安で買えるという内容が紹介されていて、消費者にもメリットが大きいものもが多く、これはまっとうなビジネスだ。しかし、あまりにも消費者側だけが得をするような話は危ない。「わざわざ手間ひまをかけて紹介してくれるぐらいなのだから、企業側にはどういうメリットがあるのだろうか?」と考えるべきで、そう考えると、その取引が公平なものであるかどうかが見えてくるだろう。

一方で、ネットなどを駆使して、自分で探し求めた情報はプル情報という。消費者が引っ張ってくる情報だからだ。このような情報は、すべてではないものの、ある程度信頼をしていいだろう。なぜなら、ネットで企業情報を検索すると、その企業の広告と同時に消費者の口コミ情報も検索されてくるからだ。もしネットサイトを運営していたり、広告をだしている企業が悪徳業者だった場合、あっという間にネットに悪評が広まってしまう。しかも、この悪評は、ネットでその業者の名前を検索するついでに検索されてしまうのだ。意外にネットで探した業者というのは安心できるのだ。

といっても、「ネットにサイトをだしている業者だから安全」とはもちろんいいきれない。そこで、ネットを利用して、テレビを無料回収してくれる良心的な業者を探しだすポイントを今回はご紹介しよう。

まずは、「テレビ 無料回収 地域名」などで検索をするところから始めなければならない。そうすると、いくつかの業者が見つかるだろう。そこで、次のポイントをチェックしてみていただきたい。

  1. 業者の住所、電話番号などが明記されているか
    まず重要なのは、トップページあるいはわかりやすい場所(「弊社について」などのページ)に、リアルな住所と電話番号(回収受付番号の他に本社の代表番号)が明記されているかどうかが重要だ。まっとうなビジネスをやっている業者が、このような基本情報を隠す必要はまったくない。この記載がなく、メールアドレスなどしかない場合は、苦情を受けつけない意図が見え、いかにも怪しい。

  2. 受け入れができない製品についての記載があるか
    どの業者でも、すべてのテレビを受け入れられるわけではない。リサイクルがまったくできず、採算があわないテレビもあるのだ。一般的には、製造年があまりにも古いもの。このようなテレビを受け入れてしまうと、今度はその業者が費用を支払って、産業廃棄物として処理しなくてはならなくなる。このような受け入れができないテレビについての詳しい説明があるかどうかをチェックする。あるいは、有料で受け入れている場合もあるので、その場合は費用が明示されているかどうか。

  3. なぜ無料回収できるのかの詳しい説明があるか
    一般的なリサイクルでは、リサイクル費用を支払って、リサイクルしてもらうのが原則。それがなぜ無料ですむのかは、だれもが疑問に思うところだろう。その消費者の疑問にどれだけの誠意をもって答えているかはかなり重要。リサイクル業は、利益だけを考えていたら、とても経営しているものではない。利益も薄いし、ちょっとした法律の改定、経済環境の変化の影響を受けやすいからだ。良心的なリサイクル業者は、利益の確保の他に、社会的な意義を感じて経営していることが多い。こういう業者は、消費者の疑問を解決して、双方が納得のいく取引をしたいと考えているはずなのだ。

  4. 搬入方法についてのわかりやすい説明と料金明示があるか
    リサイクル業者にテレビを持ちこむには、自分の車で持ちこむ他、宅配便を利用する、訪問回収をしてもらうなどの方法がある。自分で持ちこむ場合は多くの場合無料だが、宅配便、訪問回収の場合は、当然ながら費用が発生する。このような費用についての説明がきちんとされているか。

  5. 「社名 評判」で検索をしてみて、口コミを検索してみる
    もちろん、悪徳業者は自分でいい評判をネットの掲示板に投稿したり、ブログを書いたりして偽装しているかもしれない。しかし、ひどい目にあった経験がある人が、それに対する反論を投稿したりするものだ。一方で、良心的な業者であっても、嫌がらせ的に悪口が書かれていたりすることもある。しかし、ある程度内容を読んでいけば、どちらの話が信じられるかはなんとなくわかってくるものだ。それだけで判断するのは危険にしても、多いに参考できる情報であることは間違いない。

テレビだけでなく、パソコンや家電製品、エアコン、冷蔵庫、洗濯機なども無料で回収している。ただし、それぞれに回収可能な製品、不可能な製品があるので、まずはサイトでよく確認しておこう

このような観点から、関東地区で筆者がお薦めするリサイクル業者は、「パソコンファーム」だ。

1.の業者の連絡先は、トップページの最下段に住所と代表番号が記載されており、会社概要のページには社名、代表者名、資本金、古物商許可証番号などの基本情報が記載されている。2.の受け入れできな製品についても細かい記載がある。テレビについては「木枠テレビ」「製造年が97年以前のもの」「画面サイズが14インチから21インチ以外のもの」のテレビは残念ながら受け入れ不可だ。3.の無料回収できる理由についても詳しい説明がある。ブラウン管テレビは、検査、修理されリユースされる。ブラウン管テレビは丈夫で長持ちするために、製造が終わっている現在、逆に需要が伸びているという説明まである。さらに、液晶パネルについてはリユース、損傷がある液晶パネルからはインジウムを回収するという。4.の搬入方法については、4種類用意されている。5.の口コミは、検索すればすぐに見つかる。その多くの人が、自分で直接持ちこみをした人のようだ。

パソコンファームは、テレビだけでなく、不用パソコンの回収もおこなっている。さらに、ほとんどの家電製品、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などもOK。ただし、それぞれに受け入れ可能な条件があるので、事前にサイトをチェックするか、メールか電話で確認をしておく必要がある。いちばん簡単なのは、製品の年式が書かれているラベルを携帯電話で撮影して、それを添付してメールで問い合わせすることだ。

私が個人的にパソコンファームをお薦めする理由は、同社がリユースを基本としていることだ。まだ使えるテレビであっても、メーカーの指定工場に運んだ場合は分解されてしまう。しかし、パソコンファームは使えるテレビや修理して使えるようになるテレビは再商品化して、国内、海外で中古テレビとして販売する。まだ使えるテレビなのだから、必要としているだれかに使ってもらった方が気持ちがいいと思うのだ。アナログ停波をして、日本は地デジ時代に入る。それはテレビの進化で、いいことなのだろうが、その実、使えるテレビを大量に廃棄することになってしまう。ここがどうも気になる人は、パソコンファームを利用してみたらいかがだろうか。

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