レコーダー環境をどうするべきか。BD+大容量HDDレコーダーを買いそろえるというのが最強の方法ではあるが、1TBクラス以上のBD+HDDレコーダーはまだまだ価格が高い。そこで、外付けHDD接続に対応している500GBクラスのBD+HDDレコーダーを購入するのが、安上がりにするひとつの方法。そして、もうひとつは外付けHDD録画に対応しているテレビを購入し、WOWOWやスカパー!などに加入してしまうのがもうひとつの方法だというお話をした。

WOWOWやスカパー!は、コンテンツのラインナップをよく考えていて、レンタル店にいって新作、準新作の棚しか見ないという人であれば、満足できる内容になっている。しかし、放送は放送。突然「○○という映画が見たい」と思っても、放送されるまではがまんしなくてはならないのだ。

そこで、もうひとつの道がAppleTVだ。AppleTVは8800円という低価格で、iTunesStoreから映画をレンタルあるいは購入し、大画面テレビで楽しめるというもの。簡単にいえば、自宅にレンタル店がやってきたようなものだ。ただし、まだまだサービスが始まったばかりなので、注意点がいくつかある。

映画の購入、レンタルは、AppleTVを接続したテレビ画面で、リモコンを使っておこなえる。ただし、購入した映画、レンタルした映画のデータは、AppleTV内に保存されるのではなく、パソコンに保存される。映画を購入する場合は、パソコンのHDDの容量がそれなりに必要になるし、映画を購入するとき、視聴するときは、パソコンを起動しておく必要がある。つまり、AppleTVは、パソコンに保存されている映画データをテレビに転送する機器なのだ。もちろん、自宅内にWiFiを飛ばしておく必要がある。

という仕組みなので、パソコンもない、WiFiってなあに?という人にはAppleTVという選択肢はあり得ない。しかし、パソコンもあり、WiFiもすでにあるという人にとっては、AppleTVをテレビに接続するだけで、好きなときに好きな映画をその場でレンタルして、すぐに見られるという最高の環境が整うことになる。

もうひとつ考えておかなければならないのが、ラインアップの問題だ。確かに映画に関しては、洋画、邦画とも充実しているといっていい。話題作と呼ばれるものに関しては、ほぼそろっている感じだ。また、インディーズ系の映画もかなり充実している。しかし、いわゆる海外ドラマに関してはゼロ。日本では人気の韓流ドラマに関してもゼロ。お笑い系のバラエティ番組がDVD化されたものもほぼゼロだ。そういう偏りはある。

しかし、AppleTVはまだ始まったばかりで、今後どのようなラインナップがされていくかはまだまだ未知数だ。リリースされていないコンテンツというのは、技術的な理由ではなく、権利関係の交渉が済んでないという問題なので、交渉が成立するやいなやある日突然ラインナップが増えるということもじゅうぶんにありえる。特に、米国製作の海外ドラマについては、米国iTunesStoreでは人気コンテンツとなっているので、日本のiTunesStoreに登場することは大いに期待していいだろう。

録画機能つきテレビをお使いの方にとって、もうひとつの選択肢が「BDプレイヤー」を購入するというものだ。これであれば、レンタル店やTSUTAYA DISCASなどでレンタルしたBDやDVDをテレビで楽しむことができる。BDプレイヤーもまだまだ高価だが、ようやく実売価格1万円を切るクラスのものが登場してきている。LGエレクトロニクスのBD550だ。もちろん、プレイヤーなので録画はできないが、レンタルBDを見るにはじゅうぶんだろう。画質的な面を心配する人もいるかもしれないが、現在のテレビ画質は、テレビの画質補正回路で決まる部分が大きい。もちろん、保証をすることはできないが、外部のプレイヤーなどの画質をそう気にすることはなくなっている。

前回からのテレビ環境をまとめてみると、

テレビ+BD・HDDレコーダー+外付けHDD → 現時点で最強の環境
録画テレビ+WOWOW/スカパー! → 多くの人は満足できるはず
録画テレビ+AppleTV → 人によっては大満足
録画テレビ+BDプレイヤー → まずまず無難な環境

ということになる。

ところで、感じ方は人それぞれなのだろうが、個人的にDVDやBDで気になっていることがある。それはレンタルした場合の、冒頭の強制CMだ。DVDやBDをレンタルしてくると、強制的に別の映画やドラマのCMが始まり、ひどいものだと20分近くもCMが続く。しかも、その間は、メニュー操作禁止となっており、ひたすら早送りをすることしか対処法がない。販売元にとっては、CMのつもりなのだろうが、むしろ逆効果になっていると思うのだ。

AppleTVを使わせていただいたが、感動的なのは、見たい映画をレンタルしたら、すぐにその映画のタイトルバックが始まることだった。見たいときに、見たいものが、タイムラグなしに、すぐに見られる。この快感は大きい。レンタルDVDは、この快感を台無しにして、ユーザー体験を破壊しているのだ。これは消費者にボディーブローのように利いて、「レンタルDVDってなんだかうざい」というイメージを定着させてしまう。数年前までは、週末ともなればレンタル店に散歩がてらに出かけて、レンタルした映画を楽しむというのが、定番ではあったが、今では明らかにディスクからストリーミングという流れができつつある。それは、レンタルDVD、レンタルBDが、のっけからユーザー体験を損なうというおかしなことをしていることと無関係ではないと思う。

一方で、海外ドラマのレンタルDVDには、別ドラマが1話無料で収録されているというプロモーションも行われていて、これは素晴らしいアイディアだと思う。消費者は得をした気分になれるし、そのドラマが気に入れば、結局全巻借りてしまうのだ。このような消費者目線のプロモーションが増えてくれば、DVDやBDは「ただ映画が記録されているメディア」ではなく、「わくわくできるメディア」となり、コンテンツ供給メディアの王様の地位を他に譲ることはないだろう。

テレビを地デジに対応させたら、今度は映画や海外ドラマの環境を整えてみよう。選択肢は増えている。