テレビの売り上げが明らかに回復基調だ。社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の出荷統計によると、金融危機が発覚した昨年10月には前年比102.2%まで落ち込んだが、今年に入って回復基調、7月には前年比142.7%までになった。昨年までは地デジ普及率も思うように上向きにならず、「テレビが壊れたから買い替える」という買い替え需要が主体だったといわれているから、今年は明らかに「テレビは壊れていないけど、地デジ対応のものに買い替える」という地デジ需要が生まれていると考えて差し支えないだろう。

その追い風となっているのは間違いなくエコポイントだ。来年3月末までに購入した地デジ対応テレビでは、サイズによって7000点から3万6000点までのポイントが付加される。このエコポイントは、本来「環境に優しい製品」に付加されるので、地デジ対応ということもあるが、エコの観点からテレビを買い替えようと考えている人もいるだろう。しかし、エコの観点で買い替えるのであれば、注意しないと、かえって電力消費量を増やしてしまうこともありえるのだ。

液晶テレビが非常に省電力な製品であることは間違いないが、それでも大きなサイズになるとそれなりの電力を必要とする。つまり、今ブラウン管テレビを使っていて、同じサイズの液晶テレビに買い替えるのであれば、確実に消費電力は少なくなる。しかし、現実にはより大きなサイズの液晶テレビに買い替えることが多いはずだ。こうなると、消費電力が少なくなるかは微妙だ。

下の表は、財団法人省エネルギーセンターが公表している省エネ性能を参考に、ジャンルごとに平均値をとってみたものだ。年間消費電力は1日に4.5時間視聴、19.5時間待機ということを1年間続けた場合の消費電力だ。

年間消費電力(kWh/年) 年間電気代
25型ブラウン管テレビ 128 2816円
28型BS内蔵ブラウン管テレビ 156 3432円
37型液晶テレビ 177 3894円
42型プラズマテレビ 328 7216円

一般的には、アナログ時代は25型程度のテレビが多く、薄型テレビに買い替えるときは37型以上に人気が集中している。そのため、25型ブラウン管から37型液晶に買い替える場合は、40%近くも消費電力が増えてしまうことになる。

ただし、液晶テレビ、プラズマテレビの省エネ技術はまだまだ発展途上。ブラウン管テレビの場合、技術が枯れているので、25型では最小のもので122kWh、最大のもので137kWhとほとんど差がないが、37型液晶テレビの場合は104kWhから279kWh、42型プラズマテレビの場合は180kWhから597kWhと大きく差がある。つまり、薄型テレビを選ぶときに気をつけさえすれば、ブラウン管テレビよりも消費電力の少ない薄型テレビを選ぶことも可能なのだ。

省エネテレビを買うときに役立つのが、販売店の陳列商品に貼ってある統一省エネ性能ラベル。省エネ性能を5つ星で評価したものだ。ただし、読み方にちょっと注意が必要。このラベルが考慮している省エネ性能とは、同じジャンルの過去の製品と比べてどのくらい省エネになっているかだ。液晶テレビの場合、過去の液晶テレビと比べてどのくらい省エネになっているかを評価している。決して、ブラウン管テレビと比べているわけではないことに注意したい。

また、省エネ基準達成率も、同じように同じジャンルの過去の製品と比べているので、達成率が高くても、ブラウン管テレビの買い替えをすると、消費電力が増えてしまうこともあるので注意したい。

では、どこを見て、省エネテレビを探せばいいのか。それはずばり、いちばん大きく書かれている「この製品を1年間使用した場合の目安電気料金」だ。これは年間消費電力量に1kWh22円として計算したもの。25型ブラウン管テレビは2800円程度、28型BS内蔵ブラウン管テレビで3400円程度だから、「3000円前後」をひとつの目安にして、薄型テレビを探すといいだろう。大型プラズマテレビの場合は、そこまで低電力の製品は存在しないが、液晶テレビの場合はけっこう見つかる。どうせ、買い替えるのであれば、地球にも優しいテレビを選ぼう。

このコラムでは、地デジにまつわるみなさまの疑問を解決していきます。深刻な疑問からくだらない疑問まで、ぜひお寄せください。(なお、いただいた疑問に個々にお答えすることはできませんので、ご了承ください)。

薄型テレビの売り上げは着実に回復してきている。昨年秋には落ち込んだが、今年に入ってエコポイント効果で浮上し、夏以降、あきらかに単なる買い替え需要以上の需要がでてきている。今年3月時点で、地デジの世帯普及率は60%を超え、いよいよ普及の最終段階に入ってきた

販売店ではこのような省エネ性能ラベルを商品に貼って陳列している。液晶テレビを買う場合、目安は「電気料金3000円以下」。これであればブラウン管テレビ以下あるいはブラウン管テレビ並の消費電力だと考えて差し支えない

統一省エネラベルの添付陳列は、販売店の義務ではないので、お店によっては貼ってない場合もある。その場合は、省エネルギーセンターから、製品別に省エネ性能を検索できるようになっている