【連載】
「家庭内のAV機器やパソコンで音楽を楽しむように、クルマの中でもまったく同じようにできないものだろうか」。最近、家庭内のAV機器やパソコン、携帯電話においてDLNA(Digital Living Network Alliance)と呼ばれる認定規格を持った製品が増えてきた。DLNA認定の機器は、相互に保存しているコンテンツを検索して再生したり、アップロードしたり、コンテンツをレンダリングしたりすることができる。
機器同士は、Wi-FiやBluetoothなどのワイヤレス通信規格、あるいはイーサネットなどの有線通信規格などで接続するが、それぞれの機器に入っているコンテンツをアクセスすることは接続することとは別問題であった。DLNAはつながった機器内にあるコンテンツの検索、送信、保存、取得、再生を行う認定規格である。このためWi-FiなどでつながったパソコンやDVD/HDDプレーヤの中のコンテンツをお互いに探し、読みだすことができる。
最近では、音楽アーティストの属性をメタデータとして音楽ソフトの中に埋め込むことができるようになっている。例えば、Amazon.comからDVDを購入すると、そのDVDにはアーティストの属性などのメタデータが埋め込まれている、と米Rovi(旧Macrovision)バイスプレジデントオブセールスの出口雄一郎氏はいう。DLNA認定の機器同士なら、こういったテレビやパソコンと携帯電話の音楽コンテンツだけではなくアーティストの属性までも共有できる。「3年前にNokiaのN95がDLNA認定を最初に受けた携帯電話だが、現在は100機種以上の携帯電話にDLNAが搭載されている。Nokiaの他にもSony EricssonやMotorolaなどの機種にも搭載されている」(出口氏)。
このDLNA認定機器をクルマにも搭載しようという試みが今回のRoviが発表した戦略である。家庭内で楽しんでいるコンテンツをクルマ内でもまったく同じように楽しむことができる。クルマ内のカーステレオやカーナビゲーションシステムと、家庭内のAV機器やパソコンと接続し、共にDLNA認定機器ならまったく同じコンテンツをクルマの中でも楽しめることができる。
いろいろな環境で音楽や映画、写真を楽しめるようなソフトウェアプラットフォームを開発しているのがRoviである。同社のDLNA対応の「Connected Platform」は、最近発売されたの「Windows 7」のリモート再生機能をサポートしているため、ユーザーはDLNA認定機器とコンピュータとの間でコンテンツを共有することができる。さらにクルマ内のDLNA認定機器を使えば自宅のホームネットワークにつながったAV機器からデジタルコンテンツを受け取ることができる。
Roviは、これまで家庭内のAV機器やパソコン、デジタルフォトフレームなどに同社のDLNA準拠の共通基盤であるConnected Platformの搭載を支援していたが、このほどクルマ内の機器にもConnected Platformを導入することをOEMメーカーに勧め始めた。その最初の導入例がケンウッドのカーナビシステム。この機器にRoviのメディア認識技術である「Lasso」が導入された。Lassoとは、牛を管理するのに使うカウボーイの縄のことで、「曲を捕まえるという意味だ」と同社標準およびエマージング技術担当ディレクタのAdam Powers氏は言う。
音楽CDからHDDに録音すると、Lassoの中のアーティストに関するデータ(メタデータ)を付与してくれる。それによってカーナビのディスプレイに音楽曲名やアーティスト名、などを表示してくれる。それだけではない。例えばMariah Careyの歌なら彼女が影響を受けたとされるJanet JacksonとMadonnaの属性も知ることができるようになっている。
家庭内の機器がWi-Fiなどの無線LANでつながっていて、クルマを家のガレージに近づけると、家庭内のDLNA準拠のテレビやステレオ、パソコン、DVDレコーダなどとつながり、家庭内でこれまで楽しんできた音楽やビデオのコンテンツをダウンロードし、聞きたい曲を探し、再生してくれるようになると出口氏は語る。クルマに乗っても家庭内と同じ音楽を同じように楽しむことができる。カーナビには音楽の曲名だけではなく、アーティスト名や属性情報が表示される。
カーエンターテインメント機器メーカーやさまざまなデジタルメディア機器開発者に向け、RoviはConnected Platformのソフトウェア開発ツールも用意している。半導体メーカーにとっても差別化できるメディアプロセッサを開発できる。実際、NXP Semiconductorsのメディアプロセッサ「PNX9520」にRoviのConnected Platformが実装されている。
Roviが進めるConnected Platformの基本は、ホームエンタテインメントの環境をクルマの中に持ってこようという発想である。Roviが持つこれまでの音楽データはアルバム170万タイトル、1,600万曲以上を収録しており、アーティストの画像、バイオグラフィ、作曲者、楽曲の詳細情報、ジャケット画像などアルバムにまつわるさまざまな情報を蓄積来ている。これらの資産を今後、カーナビやカーステレオなどのカーエンタテインメントに生かしていく。
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