新たな住まいで生活を始める人、家は変わらなくても周囲が変わった人、様々な人がいるだろう。この休みのうちに、一度住まいの防災を見直してみてはどうだろうか?

無印良品を展開する良品計画では、"「いつも」の品で「もしも」の備え"として、普段使いできる品で災害に備えることを提唱している。今回は、担当者である企画デザイン室 高橋さんにお話を伺った。

「いつも」の品で「もしも」の備え。

無印良品の備えとは?

――"「いつも」の品で「もしも」の備え"という取り組みについて教えて下さい

高橋さんが作成したリスト

無印良品の商品を使って災害への備え方を伝えています。弊社が日常のものを扱っていることから、「普段使っている製品だからこそ、いざというときにも安心して使える」という考え方をひとつ大きな柱としています。

防災用品って、特殊なジャンルになってしまっているとは思うんですよね。危機感が元にあるので、ネガティブなイメージはどうしても拭えませんが、少しでも前向きに取り組めるような仕掛けができれば……というのが我々の願いです。といっても、無印良品だけではかなわないことなので、他社さんの製品も紹介させてもらっています。我々の役割が、防災というテーマの中ではっきりしてくるのではないかと思っています。

――中のセレクトは高橋さんが行っているのですか?

そうですね、チームで動いています。最新のリストがこちらですが、自分のなかで4年間やってきて一番腑に落ちています。震災が発生する前から常に持っていてほしいものと、発生後に時間軸で必要になるものを、まとめたリストなんですよ。

――担当されるうちにセレクトが変わっていったんですね

例えば阪神・淡路大震災のときは早朝でみんな家にほとんどいましたよね。東日本大震災のときは昼間だったので、外出している人が多かった。まさにどこで被災するかがわからないことをつきつけられたわけですが、今までの防災用品は”持ち出し袋”といって、揺れたときに家から持ち出すイメージだったんですね。実際の地震はそうとは限らないことがわかって、しっかりリサーチした結果をまとめました。

場所よりも時間で考えることが大切

――オフィス、自宅などでそれぞれのポイントはありますか?

結局、オフィスだけ備えても完結しないのではないかと。営業中で外出しているかもしれない。一時避難などはオフィスのイメージですが、場合によってはオフィスで数日ということもありますし、やはり備える際には"場所"よりも"時間"が最初に存在するのではないかと思っています。場所は多種多様なので。

――一番いいのは、自宅にもオフィスにも同じセットを……

それがベストだと思いますね。自分がよくいる場所に、24時間や72時間を生き抜くセットがあるのが一番いい。本当はいつでも持ち歩ければいいですが、物理的に難しいので(笑)。持ち運び用としては、「スマートフォン用充電式電池(※無印良品での取り扱いあり)」「懐中電灯(※無印良品での取り扱いあり)」「ホイッスル」などをおすすめしています。懐中電灯もペンライトみたいなもので良いですし、充電器があればスマートフォンの明かりを使うこともできます。エマ―—ジェンシーブランケットなどもいまは小さいものがあるので、私はいつも持ち歩いています。

スマートフォン用充電式電池・3100mAh

LEDポリカーボネート懐中電灯・小(防沫形)

――重要ですね

スマホ充電機なんかはふつうに持ち歩くと便利ですね。軸足を"普段のちょっとしたアクシデント"において、その延長線上に大災害があると考えるのが、いいのではないかと思います。例えば急な雨に備えて折りたたみ傘を持ち歩くとか、急な来客にそなえてお菓子を多めに買っておこうとか、私たちは「くらしの備え」と呼んでいますが、そうした気持ちの延長線上にあるのがしっくりきます。

――そう考えるとわかりやすいです

最近では口腔ケアといって、歯磨き用のウェットシートもおすすめです。阪神・淡路大震災のときに、肺炎になってしまった方が多かったらしいのですが、その原因が歯のケアにあったそうです。「歯みがきシート」は、口から菌が入らないよう節水しながら歯みがきをするのに適しているグッズです。

歯みがきシート 12枚入・60x200mm

こういうのも実は旅の延長線上になるんじゃないかなと思うのは、出張などの際、旅先ですぐに人に会う時のスマ―トなケアとしても成立するから。実際に弊社が空港で展開している店舗でも好評です。そういった、ふだんから備えているものを、もしものときにも使えるのが良いと思いますね。

――歯ブラシセットよりも気軽に持ち歩けそうですね

ノンアルコールなので、体も拭けます。食器拭きにもよくて、万能なんですよ。

※次回は5月5日(火)更新予定です