牛丼チェーンの「すき家」といえば、いろんな種類のトッピングで人気の店。と、それは日本の話で海外はどうなのだろうか。今回はタイのすき家を訪問。海外のすき家の様子をレポートしよう。

タイの「すき家」、牛丼は4サイズ展開

今回訪れたのは、チャオプラヤー川沿いにできたおしゃれなナイトマーケット「アジアティーク」にあるウォーターフロント店だ。タイ人も観光客も訪れるスポットだが、在タイでも特に男性駐在員はあまり行かないのではないか。つまりターゲット層はタイ人か日本人観光客とみられる。

メニューを見てもその思惑が感じられる。牛丼はミニサイズからあり、並では85バーツ(約266円)と他店に比べ最も安いうえにサイズも大盛り、特盛と4サイズで展開している。一度にたくさん食べない傾向にあるタイ人には、ミニサイズで価格もタイ料理とさほど変わらないのはポイントが高いのではないだろうか。さらに、プーパッポン牛丼、パク玉牛丼とご当地メニューがあり、こちらはむしろ日本人観光客に受けているそうだ。

タイカレーのトッピング、おいしくないわけがない!!

こちらは牛丼の並で85バーツ(約266円)

牛丼は味付けは、ちょっと醤油がきいているがあっさり。甘みが少ないのが好きな人にはよさそうだ。肉が大きく、かなり肉々しい丼である。そして、いよいよ楽しみにしていたご当地限定メニュー! プーパッポンとはタイ料理の1つで、「渡りガニの卵炒めカレー」と日本語訳される。カレーといってもマイルドで、カニの甘みとスパイスがじんわりと溶け合うその味は、日本人旅行者にもファンが多い。どちらかというと高級料理かと思うが、それを牛丼にトッピングしようというのである。

今回は、変化球で照り焼きチキン丼にトッピング。その味は……確かにおいしい! ターメリックがかなりきいているが、だからこそ鶏肉に合う、という感じだ。日本のカレーライスを思わせる味だが、甘みのあるマイルドさはまさにプーパッポンのそれである。とはいえ、プーパッポンとはまったく別物として食すべきだ。

これがウワサの「プーパッポン丼」。プーパッポンは別添で、35バーツ(約105円)追加でプラスできる

パクチーのトッピングも魅力的

そしてもう1つのご当地メニュー、パク玉丼へ。「パク」。それは、言わずと知れたパクチーのことである。念のため説明すると、パクチーは香草の一種で欧米ではコリアンダーと呼ばれる。タイ料理では薬味的なトッピングとして多く使われており、苦手な人と好きな人にパッキリと分かれる、独特な風味を持つ。これを牛丼の上にたっぷりとトッピングし、さらに温玉をのせるとパク玉牛丼になり、日本の「ねぎ玉牛丼」に似た見た目。温玉との相性も良く、さわやかにさっぱりといただくことができ、牛丼の新境地を開拓したといっても過言ではないくらい。パクチー好きにはたまらない一品である。

こちらは「照り焼きチキン丼」(85バーツ・約255円)に「パク」(30バーツ・約90円)をオン

サイズ展開の多さ、価格、メニューともにナイスなすき家だったが、残念なことに注文をとってから出てくるまでが異様に長かった。店内の雰囲気はファストフードそのものだが、急いでいる人には向かない。

このウォーターフロント店は別として、もともとタイにおけるすき家は観光客や日本人駐在員の集まるところに出店していないところを見ると、日本人はターゲットではなかったのかもしれない。つまりタイ人の舌に合わせて開発されたであろうメニューが結果的に日本人に大受けだった、ということか。いずれにせよ、日本においても新メニュー開発に余念のない企業理念はきっちりとタイでも受け継がれている。

連載1回目から今回の4回目まで、タイの牛丼店4店をレポートしてきたが、どの店も食券制ではなく、すべて店員に直接注文するシステム。メニューにある日本語はもちろん、「つゆだく」「つゆぬき」程度なら日本語でオーダーも可能だ。「いらっしゃいませ」など日本語による接客があり、従業員教育は徹底されているし、日本人には居心地のいい店なのではないだろうか。

では牛丼を食べたいとき、どの店を選んで出かけるか。メニューのおもしろさではやはりご当地メニューの「すき家」に軍配が上がるが、日本の牛丼が恋しくなって足を向けるなら断然「牛野屋」だろう。有料ではあるがおいしい玄米茶が飲める「吉野家」は、野菜を使ったメニューが多いので健康志向に、とにかくお腹が空いているなら「筋肉牛丼」へ、といったところか。

牛丼はタイの屋台ごはんよりも高いとはいえ、学生でも手の届く価格帯。特段おしゃれな食べ物とされているわけではないものの、和食自体がちょっとしたブームである今、牛丼はタイにファストフードとして定着することができるのではないだろうか。