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遠くにいる友人の近況を知ることができたり、おいしそうな写真に「いいね!」を押したり……。フェイスブック(FB)は今や、我々の日常で普通に使われるツールの一つにまでなった。だが、気軽に使えることによる思わぬ"弊害"も海外では報告されている。

自分よりもリア充な相手に気分がめいる

FB使用による問題点は最近、複数の研究機関によって報告されている。

まずはFBと幸福感についてまとめたミシガン大学の研究だ。研究チームがまとめた論文は、アメリカのオンライン科学誌「PLOS ONE」に掲載されている。

研究チームはスマートフォンを使用し、FBのアカウントを持っている若者82人を対象に、2週間の追跡調査を行った。参加者にFBを使っている理由をたずねたところ、「友達と連絡を取るため」(98%)、「いいことを友人とシェアするため」(78%)、「新しい情報を得るため」(62%)が回答として多かったという。

研究チームは毎日、参加者に「今、どんな気持ちか」「今、どれぐらい寂しさを感じているか」「前回、質問をしてからどれぐらいFBを使用したか」などの5つの質問を、不定期にテキストメッセージで送った。それぞれの質問の回答から、回答者の幸福感を導き出した。

その結果、多くの参加者がFBを利用すると気分が沈みがちになることが明らかになった。また、FBの利用頻度が増えるほど、生活における満足感は下がっていることも判明した。研究チームはその理由として、参加者が「他人の生活の方が自分よりも楽しそうだ」と感じてしまうことが、落ち込みや満足感の低下につながるのではないかと推測している。一方で、実際に人とコミュニケーションをとった人は、気分がよくなっていたという。

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細い女性の写真が「やせ型志向」を後押し

FBによる摂食障害の可能性を指摘した記事も、アメリカのサイトmai onlineに掲載されている。

アメリカ大学の研究チームは、FBを使用している10代の女性103人に、自分たちの体型への満足度に関する質問を行い、その回答を分析した。その結果、FBの写真を眺めている時間と体型問題に相関関係が見られたという。すなわち、FB上の他の美しい女性の写真を眺めることで、彼女らがふくよかな体よりも、極度に細い体の方が「自分にとって理想的な体型だ」と考え始めることにつながるという。

そしてFBで写真を眺めていればいるほど、10代の女性は自分自身を「太りすぎだ」「良くない体型だ」と考えるようになる。そして、体型に関する悩みが拒食症や摂食障害につながることが指摘されている。研究者のEvelyn MeierとJames Grayは「FBやインターネットにつながっている時間が問題ではなくて、FBで写真を眺めている時間の量が体重への不満や極度のやせに関連してくるのだ」と話している。

ツールに操られてはいけない

近年はFBやTwitter、mixiと手軽で便利なコミュニケーションツールが増えてきた。これらをうまく活用すれば、いつでもどこでも友人や家族、恋人とコンタクトを取れるようになる。だがユーザーが増えてくれば、それだけトラブルや今回のFBの事例のような弊害も増えてくる。最近では、既読機能があるために、相手に対して「何らかのレスポンスをしなければ」という観念が働くことからくる「LINE疲れ」という言葉を耳にする人も多いだろう。

いくら便利なツールとはいえ、上手に使いこなすことができず、逆に重荷になってしまっては何の意味もない。我々はツールを操る立場にあるのであって、ツールに操られてはいけないのだ。