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「いつまでも若く健康でいたい」という思いは、おそらく万人に共通する思いだろう。そんな願いに応えるべく、医学界を中心に世界各国で美容と健康に関するさまざまな研究が行われており、日々、学会や電子ジャーナルなどで、その研究が発表されている。その中から、えりすぐりの最新情報をお届けする。第1回目のテーマは「美容整形と外見的魅力の関係」についてだ。

美容整形による外見的魅力の増加を、客観的に評価しよう

アメリカの研究班はこのほど、「美容整形手術を行うことが、対象者の外見的魅力に必ずしも影響を与えない」とする趣旨の論文を発表した。調査結果は、8月1日付けの米国の医学雑誌「JAMA Facial Plastic Surgery」に掲載されている。

同誌は国際的な査読雑誌(同分野の専門家による評価や検証が、雑誌掲載前に行われる)であり、掲載されるには、研究の水準や結果の信頼性など、一定の担保が必要となる。

研究は、米国のレノックス・ヒル病院に勤めるドクター、ジョシュア氏を中心に行われた。同氏は、美容整形外科前後の外見的魅力を点数化して比較することで、手術によってどれだけの魅力が増加したかを、客観的に検証しようとしたという。

美容整形手術経験者の魅力と推定年齢を、写真で判断

研究班は、近隣地域から集めた参加者に、42~73歳の美容整形手術経験者49人の写真(手術前と手術後)を評価させた。参加者は、写真に写っている人の年齢を推測し、その人の魅力を1から10までの10段階で評価するように言われた。研究は、参加者が同一人物の手術前と手術後の写真を見比べることができないように、操作されていた。

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美容整形手術によって平均でマイナス3歳若く見られたが……

年齢の推測結果をまとめたところ、参加者は美容整形手術前の写真を、実年齢よりも平均で2・1歳若いと推測した。すなわち、写真の人物の実年齢が40歳ならば、参加者は「38歳ほどだろう」と見積もったということだ。

一方で、美容整形手術後の写真については、参加者は平均で5・2歳若いと推測した。これは手術によって、平均でマイナス3歳ほど若く、周囲から認知されていることを意味している。

だが、10段階による外見的魅力スコアは、多くの写真で平均4~6の評定をされており、美容整形手術前と後で、魅力スコアに全く違いがなかった。すなわち、「整形手術によって周囲は見た目を若く認知してくれるようになったが、その『見た目年齢』が、当事者の魅力アップにはつながらない」ということが明らかになった。

プチ整形しかしていなかった点が、結果に影響した?

これまでの研究では、顔のリフトアップなどの美容整形手術は、平均で7歳ほど若く見られるという結果が得られている。今回の研究では、術前と術後の見た目年齢がの差が3歳ほどにとどまった。このことについて同氏は「今回の研究では、まぶたの手術のみなどといった、狭い部分での美容整形手術を行った人が含まれているからではないか」としている。

今回の研究からは、美容整形をすれば必ずしも魅力が増し、モテるようになる――ということにはつながらないことがわかった。とはいえ、美容整形は、コンプレックスを解消することで当事者に自信を付けさせてくれたり、「あこがれの人の顔に近づきたい」という願望をかなえてくれたりするという側面もある。いずれにせよ、整形をする際にはよく考えて、きちんと自己責任で行うべきだろう。