とても複雑な予防接種スケジュール。風邪や熱で予定通り受けられないことも多々ある

出産して少し落ち着いてくると始まるのが予防接種。B型肝炎やロタウイルス、ヒブ、小児用肺炎球菌……。複雑なスケジュールに困惑するママも多いことだろう。そこで気になってくるのが同時接種の危険性。単独接種よりスケジュールは組みやすいけれど……。今回は同時接種の副反応リスクについて、小児科医の田村幸子先生に聞いた。

お母さんの不安

予防接種、3種類も4種類も一緒に受ける同時接種だと、副反応が出やすいの!?

田村先生の回答

以前、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを含むワクチンを同時接種した赤ちゃんが死亡したという報道があったので、同時接種の安全性を心配する方もいらっしゃるでしょう。でも、この事例についてはその後の調査により、ワクチン接種と死亡との直接的な因果関係は認められなかったと報告されています。これまでの臨床試験でも、同時接種の場合に単独接種に比べて重い副反応が増える傾向はみられないとのデータが得られています。

同時接種のメリットは、必要なワクチンの接種が早く終わること。単独接種だと、すべての接種を完了するまでに相当な時間がかかり、その間に病気に感染するリスクのほうが高くなってしまい、心配です。同時接種は、感染症にかかると重症化しやすい赤ちゃんに早く免疫をつけてあげて、重い病気から守るために必要な手段と言えるのです。ですが、もちろん単独で接種することもできるので、かかりつけの小児科医と相談しながらスケジュールを決めましょう。

予防接種は、命に関わる重大な病気やその重症化から守るほか、流行の拡大をおさえる意味もあってすすめられているものです。予防接種の必要性と副反応のリスクについてきちんと知り、お子さんの体調もみながら受けさせてあげてくださいね。

予防接種について知るには、自治体の保健所などでもらえる厚生労働省発行の冊子「予防接種と子どもの健康」の他、NPO法人「ワクチンで防げる病気(VPD)を知って、子どもを守ろう会」のサイト「KNOW★VPD! 」も参考になります。

回答者プロフィール

田村幸子(ゆきこ)先生

小児科学会専門医、医学博士。
1992年群馬大学医学部卒業。東京大学病院分院小児科、都立府中病院(現都立小児総合医療センター)、国立感染症研究所などを経て、現在、東京都練馬区の田村内科小児科医院で小児科を担当。二児の母。