無料でAndroid搭載スマートフォンからPCをリモート操作

外出先で自宅PCや仕事用PCにあるファイルが急遽必要になる時がある。ほんの小さな内容修正だが、スマートフォンにインストールしたアプリからではうまく対応できないということもある。また、日報などちょっとした書き込みを行うだけのことだが、社内にあるシステムがスマートフォンから利用できないということもあるだろう。そうした時に、いちいちそのためだけにオフィスに戻ったりするのは大変だ。

しかし、ファイルをなんでもDropboxに入れておけばよいというものでもないし、スマートフォンのアプリだけで全てを完結させることは難しい。PCさえあればほんの少しの手間で終わるのに、という作業がある時に活用したいのが、スマートフォンからのPCをリモート操作する手法だ。

リモートデスクトップを実現するシステムはいろいろあるが、企業側で利用が禁止されていない限り最も簡単に使い始められるのが「Chrome Remote Desktop」だろう。元々はChromeがインストールされたPC同士で利用できるリモートデスクトップ機能だったが、新たにAndroid向けアプリが登場。スマートフォンからも利用できるようになった。

Chrome Remote Desktop

操作される側のPCで事前準備

リモート操作を受け入れる側のPCで、まずはChromeをインストールする必要がある。さらにChromeの機能を拡張するアプリとして「Chromeリモートデスクトップ」を導入する。これはChromeウェブストアから無料で入手可能だ。

ダウンロードし、インストールした後、PC側でアクセス許可を出すための設定を行う。これは初回1度だけ行えばよい設定だ。承認設定を行った後「マイパソコン」の「利用を開始」ボタンをクリックする。任意の6桁以上の数字をPINとして指定しよう。途中、Googleアカウントの設定や選択が必要になった時には、スマートフォンで利用しているのと同じアカウントを設定、選択すればよい。

設定した上で、リモート操作を受け入れたい時にはあらかじめPCを起動し、Chromeを起動しておかなければならない。また、一定時間が経過した時にスリープ状態にならないように設定をしておくことも必要だ。

Chromeウェブストアから「Chromeリモートデスクトップ」を入手

アクセスを受け入れる承認設定を行う

「マイパソコン」の「利用を開始」をクリック

任意の6桁以上のPINを設定

PINを再度入力すれば設定は完了だ

スマートフォンはアプリインストールだけですぐに利用可能

スマートフォン側では「Chrome Remote Desktop」をインストールするだけで、すぐに利用開始できる。起動すると同じGoogleアカウントでリモート操作を受け入れているPCがリスト表示されるから、アクセスしたいものをタップで選択しよう。

PC側で指定したPINを入力すると、すこし読み込みの間を置いてPCのデスクトップが表示される。デュアルディスプレイ環境等でもOKだ。アクセスされている側のPCには「デスクトップは現在[アカウント名]と共有されています」と表示される。

アプリを起動すると、同アカウントで利用されているPCのリストが表示される

利用開始時にPINを入力

リモートアクセスが開始されるとPC側にも情報が表示される

カーソルを引きずって動かすような独特な動作で操作

デスクトップ画像はピンチで拡大できる。よく見ると少々解像度の低い画像になっているのがわかるが、PC側にインストールされているMicrosoft OfficeやAdobe Photoshopといったアプリケーション類も普通に起動、操作が可能だ。動画の再生なども行える。リモート操作しているPCが目の前にある状態でも操作のタイムラグはほんの少しでしかなく、リモート利用時にはほとんど気にならない。

1つ注意しなければならないのは、見えている場所をタップするのではなく、カーソルを誘導して合わせて使うということだ。カーソルはタップした後、上下左右にひっぱるように指を動かすと移動させることができる。同じ動きで、拡大表示中等で画面外になった部分へも自動スクロール表示で移動可能だ。タップ等の動作は必ずしもカーソルの上で行う必要はなく、カーソルさえ移動させたら広い場所を適当にタップするとカーソルがクリックされたことになる。

クリックはタップ、右クリックは2本指タップだ。アイコン等の移動はロングタップしてからスワイプするとひっぱって移動させられる。範囲指定はロングタップして認識されてから、斜め方向に範囲をつくればよい。ただしアプリケーションによっては文字範囲の選択などがうまく行えないこともあるようだ。

上のキーボードボタンをタップすると、キーパッドが表示される。テキストエディタ等を起動しておけば文字入力も普通に行えるが、入力途中の文字が表示されないなど少し癖のある使い心地だ。本番で使う前に少し練習しておくとよいだろう。

終了時には右上のメニューボタンから「切断」を選択する。ホームボタン等で戻って終わりにせず、きちんと切断しておきたい。また細かな操作は「ヘルプとフィードバック」から参照可能だ。

スマートフォンからWordやExcelがそのまま利用できるから、スマートフォンのアプリではレイアウトが崩れてしまう、思うように編集できない、という時にも頼りになる存在だ。ファイルをウィンドウを超えて移動させたりすることはできないので、Dropbox等と組合わせて利用するとよい。

画面は拡大表示もできる

PC側に入っているアプリケーションを起動、普通に利用可能だ

テキスト入力も行える

「Chrome Remote Desktop」
利用料金:無料
制作者:Google Inc.