仕事に使うならそれなりの日本語変換が必要

Androidには標準で「Google 日本語入力」が入っている。ネットから語彙を収集しているために時事的な言葉や芸能人などの人名にも強く、Twitterや携帯メールでの使い勝手はかなりよい。しかし、仕事に使うとなると少々困ることもあるだろう。

決まり切った言葉ばかりを使うコミュニケーションならば予測変換を駆使して手軽に文章を作ることもできるが、PCで入力するように毎回違った内容をある程度しっかりした文章で書こうと思うと不自由を感じることもある。単語ごとに変換するのではなく、一文を入力して適切な変換をして欲しいと考えるならば「ATOK for Android」がお勧めだ。

「ATOK for Android」

文脈に合わせた適切な変換

ATOKはPC向けの日本語入力ソフトとして長く好評を得てきたものだ。その機能を「ATOK for Android」も受け継ぎ、日本語入力でやっかいな同音異義語の変換の適切な変換などを得意としている。

たとえば「せんせいにたずねた」と「せんせいをたずねた」という言葉は間にはさまる助詞1文字が違うだけの文章だ。「ATOK for Android」はこれをそれぞれ「先生に尋ねた」、「先生を訪ねた」と1度の変換で適切な漢字表記にしてくれる。

日本語として不適切な言葉や間違った表記なども表示されなくなっているため、うっかりおかしな言葉を使ってしまうということも少なくなる。もちろん、スマートフォンでは必須でもある予測変換機能も搭載しているから、軽いやりとりをする時にも便利だ。

助詞の違いを見分けて適切に変換

キーボードのサイズや色も自由自在

標準ではひらがなが表示されたパッドを優先表示するモードになっているが、ボタン1つでQWERTYキーボードに切り替えられる。もちろん、縦画面だけでなく横画面にも対応。パッドのサイズを変更したり、フローティングにして画面上の違う位置に表示することもできる。タブレット用表示も持っているから、大画面端末でも使いやすい。

縦画面でのQWERTYキーボード

横画面でのQWERTYキーボード

横画面でのひらがなキーボード

キーボードの高さは変更可能だ

フローティングキーボードにして表示位置を変えることもできる

大画面端末で使いたいタッチパッド用表示

キーボードの背景は色を変更したり、画像を表示することができる。設定画面で色や画像の入ったテーマを選択した後「編集」ボタンをタップすると、縦表示・横表示時の画像や前景色の設定などが行える。

用意されているテーマから選択するだけで簡単にイメージチェンジ

自分の好きな画像を表示したり色を変更することもできる

ジェスチャー、フリック、ケータイ、2タッチ入力に対応

入力方法がいろいろあるのもおもしろい。標準で採用されているジェスチャー入力では「あ」のボタンを押したままにしておくとフラワーと呼ばれる円形のパッドが表示される。「あいうえお小」と表示されるフラワーの希望文字へと指をスライドさせれば、その文字が入力できるという方式だ。このフラワーを表示させずにジェスチャーを使うこともできる。

一般的なフリック入力にももちろん対応しており、この時もガイドパッドを表示することが可能だ。フリック入力を使いたいがまだ不慣れだという人には便利だろう。フリックやジェスチャーの感度を設定することもできる。

また、フィーチャーフォンと同じように「あ」を4回押したら「え」になるというような「ケータイ入力」や、「あ」を押すと「あいうえおABCDE」と2段階目のパッドが表示される「2タッチ入力」も用意されている。慣れた方式の方が速く入力できるという人にぴったりだ。

4種の入力方法が用意されている

標準の「ジェスチャー入力」ではフラワーで文字入力をサポート

「フリック入力」でも指を動かす方向がわかりやすいガイドが表示される

2段階目のパッドが表示される「2タッチ入力」も用意

追加辞書やマッシュルームで入力をサポート

ユーザー自身が行う辞書登録機能も用意されているが、特定の分野に偏った用語が必要ならば追加の辞書を入れるのもよいだろう。ユーザー向けに無料で芸能人の名前が入力しやすくなる辞書や、アニメ関連の言葉が収録された辞書、料理用語の辞書などいろいろなものが用意されている。

多彩な追加辞書で専門分野もカバー

さらにAndroidではおなじみの日本語入力アドオン「マッシュルーム」にも対応する。文字を入力されるアプリ側でも対応している必要があるのでどこででも使えるというわけにはいかないが、電話帳からの引用や現在時刻の入力など、いろいろなマッシュルームアプリを利用するとかなり文章作成が楽になる。

マッシュルームの利用も可能

PCでも使うならば連携&「ATOK Passport」も便利

PCですでにATOKを利用しているという人や、これからPCでも使いたいという人には連携機能「ATOK Sync」も便利だ。ユーザー辞書や学習結果をPCとスマートフォンで共有できるから、スマートフォンでもPCで使っているのと同じ言葉が入力しやすくなる。

また、PCで長く使い続けるにあたって最新版を使いたいという人は月額制の「ATOK Passport」を使っているかもしれないが、実はこの中にAndroid版のライセンスも含まれている。改めて「ATOK for Android」を購入しなくとも、同じ料金内でスマートフォン側でもATOKの利用が可能だ。

「ATOK for Android」
利用料金:1,500円
制作者:JustSystems