反転増幅回路を理解する(その1) - 入力端子間電圧は小さい値

図2-6-1に、図2-5-4(a)での「帰還回路」をより意識した形で書き直したものを示します。

たとえば入力信号1Vが回路の入力端子に加わったとします。ここでOPアンプの+入力端子と-入力端子の差分が出力に現れること、またOPアンプ単体の増幅率はかなり大きい(たとえば100万倍)ことを思い出しましょう。

ここから大切なポイントです。OPアンプ自体は図2-5-3のように1mVを入れれば1000Vが出てくるようなものですから、このOPアンプの出力電圧が2Vとか3Vとか有限な大きさになってほしい場合には、+入力端子と-入力端子間の電圧は本当に小さい値である必要があります。

それを考えれば、図2-6-1の回路で出力電圧が有限な大きさになるためには、図中のように入力端子と出力端子間をつないでいる抵抗が、その中間点(つまり-入力端子)のところで、+入力端子の電圧と「ほぼ同じ大きさ」になっている-そのようにOPアンプの出力電圧が制御されバランスがとれる-必要があることがわかります(「出力電圧が有限な大きさになっているなら、2つの入力端子間の電圧は本当に小さい値」ということから)。

この抵抗の中間点(つまり-入力端子)の電圧ですが、+入力端子の電圧と「ほぼ同じ大きさ」であり、-ここでは+入力端子がグラウンドに接続されておりゼロVなので-抵抗の中間点(つまり-入力端子)イコール、ゼロVです。

繰り返しますが、2つの入力端子間の電圧がゼロになるように出力電圧が制御され、バランスが取れるわけです。

図2-6-1 OPアンプの反転増幅回路について基本動作を説明する

著者:石井聡
アナログ・デバイセズ
セントラル・アプリケーションズ
アプリケーション・エンジニア
工学博士 技術士(電気電子部門)