【連載】
さて、それではここから最初に電気回路理論を説明していきましょう……、というと多くの人が昔、学校の授業中に見た難解な数式の悪夢を思い出して、「この記事も一緒か! もういいや!!」となる危険性がありますので、実験をベースにしたアプローチにより、少なくとも知っておいてもらいたいことを説明しましょう。
これから説明することは筆者は真剣に説明しています。皆さんも中学校の理科の授業で、豆電球と乾電池を用いて実験したと思います。ここでも電球の明るさがどう変わるか、図1-2-1のような豆電球を用いて実験をしてみたいと思います。図のように直列に抵抗がついていますが、これは実験で複数使う電球ごとのバラつきを吸収させる(光り方を平準化させる)ためのものです。
この「超単純」とも思われるような豆電球の実験は、連載でもところどころに出てくる、また実際にアナログ回路を理解するうえでの、「とても重要な基礎(回路理論)」になっているのです。
さすがに豆電球と乾電池だけでは、筆者であるアプリケーション・エンジニアとしての説明とはいえませんので、乾電池のかわりを図1-2-2のような安定化直流電源(回路実験で用いる電圧を可変できる装置)とし、実験と数式交えながら説明していきます。
繰り返しになりますが、アナログ回路の理解は基礎的な理解の積み重ねです。オームの法則は中学校で学んだ知識ですが、アナログ回路ではとても重要な基本です。より複雑な回路になった時でもきちんと応用できるように、基本的な回路が「どんな風に動くのか」をまずは大事な基本、電流の流れを目でみることで「体で」覚えてみましょう。最終的には直並列回路の動きを理解するところがゴールですが、それは次回以降となります。図1-2-3はオームの法則と実際の回路、そしてこの豆電球での実験回路との関係を示しています。
実験の基本的な前提として電球1個は一定量の抵抗量を持つものとします。また電球の明るさは電流量に応じて変化します(実際は二乗特性なのでより暗く、より明るくなる。実験なので変化が見やすい。この様子は図1-2-4(b)でも示す)。
なお「電圧」とは回路に加わる圧力のようなもので、「電流」とは回路というパイプに流れる水流のようなものと言えます。圧力(電圧)が高ければ流れる水流(電流)が大きくなる、と考えることができます。
図1-2-4(a)は電球に2Vの電圧をかけたものです。この電球の明るさを"基準"とします。図1-2-5にこの関係をオームの法則と関連づけたものとして示します。いずれにしても、これが"基準"です。
なお参考テストとして、先に「明るさが二乗特性……」と説明した件について、同じ電球に2V×√2=2.8Vの電圧をかけたものを図1-2-4(b)に示します。二乗特性なので電球の明るさが2倍になっています。
ともあれ「電流が大きければ明るい」というこの解説の原点のように、電圧を大きくすれば電流が増えることで明るく光ります。
著者:石井聡
アナログ・デバイセズ
セントラル・アプリケーションズ
アプリケーション・エンジニア
工学博士 技術士(電気電子部門)
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