【連載】

航空トリビア

25 A380も787-8も同じ大型機!? 大型機・中型機・小型機の正しい基準って?

緒方信一郎  [2015/02/13]

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テレビや新聞、インターネットなどのメディアで旅客機の大きさの表現が微妙に違うことに気が付いたことはないだろうか。実際、大型機・中型機・小型機など大きさの区別は曖昧なのである。

エアバスA380は標準座席数525(シンガポール航空機)

747とA380とは文句なしの大型機

かつて日本国内線を飛びまわっていたジャンボジェットことボーイング747。それと総2階建てのエアバスA380。これらの飛行機は2階席があるくらいだから大型機としか呼ばれない。ワイドボディと称される2通路機で、エンジンが4基(4発機)なのも同じ。標準座席数は747が416~467席、A380は525席とどちらも自社最多だ。

これ以外の4発機にはA340シリーズがあるが、下がり気味とはいえ燃料代が経営を圧迫する現代の航空業界では、評判はそれほど芳しくない。燃油代が最もかさむ4発機であるのに関わらず標準座席数は平均で360席前後と747やA380よりも少なく、たとえ満席でも乗客からの運賃収入は単純計算で少なくなる。そのためA340は現在生産されていない。

ボーイング747-400は標準座席数416(カンタス航空機)

全長37mも10m未満も同じ小型機!?

大型機の次に大きいのはもちろん中型機だが、その前に分かりやすいので小型機の話をしよう。

小型機と聞いてまず思い浮かべるのはプロペラ機のATR72(標準座席70席前後)のほか、映画でセレブが乗っているガルフストリームなどのいわゆるプライベートジェット、あるいは小型プロペラ機の代名詞となっているセスナ社の軽飛行機ではないだろうか。これらの飛行機は見た目も小さく、誰もが小型機だと思うだろう。

ATR72の標準座席数は70席前後(英国・フライビー航空)

ところが、2012年から日本国内で運航をはじめた低コスト航空会社(LCC)が使っているA320や737も、一般に小型機と呼ばれている。しかし、A320や737の標準座席数は180席以上もある。見た目に分かりやすいのは機体の長さだが、例えばA320が全長37.57mなのに対し、ガルフストリームの最新機G500は29.4m、セスナ社のプロペラ機にいたっては10mに満たない機種もある。

LCCに乗る際、ボーディングブリッジ(搭乗橋)ではなく機体の下からタラップを上って搭乗することも多いが、A320などの小型機でも間近で見るとかなり大きく感じる人もいるだろう。

A320の標準座席数(エコノミーのみのモノクラス)は180席(ピーチ機)

737-800の標準座席数(エコノミーのみのモノクラス)は189席(春秋航空日本機)

新型機多数の中型機が一番複雑

では、その180席クラスの機種を中型機と呼べばいいかというと、それも難しい。それより一回り大きい機種に250~300席前後の767やA330があり、その上には近年777やA350-900/1000といった300席~350席クラスの機種も登場している。さらにややこしいことに、それらの中間規模の787-8/9やA350-800といった300席弱の新型機も生産されるようになった。

最近の旅客機は路線ごとの需要(旅客数)に細かく対応して設計・製造されるため、規模や大きさのバージョンがより細かく分かれるようになっている。

767-300の標準座席数は351(JAL機)

A330-300の標準座席数は295(フィンエアー機)

777-200の標準座席数は300(スクート機)

787-8の標準座席数は250(ANA機)

航空管制ではヘビー・ミディアム・ライトの3種

ちなみに、大型機・中型機・小型機を明確に区別する基準は一応ある。それは、航空管制で定める基準で最大離陸重量がもとになっている。

最大離陸重量とは機体そのものの重さ、積める乗客や荷物、そして燃料を合計した重さのこと。航空管制用語は全て英語で表現され、最大離陸重量30万ポンド/136t以上をヘビー、同1万5,500ポンド/7t~30万ポンド/136t未満をミディアム、1万5,500ポンド/7t未満をライトと称する。

これに前述の機種を当てはめると、747、A380、777、767、787、A330、340、350などの2通路機はヘビー=大型機、737や320、ガルフストリームG550などのナロウボディ(単通路)機はミディアム=中型機、セスナのプロペラ機などの軽飛行機はライト=小型機に、それぞれ分類されてすっきりはする。

ただ、前述した総2階建てのA380のような525席旅客機と787-8のような300席弱の旅客機が、同じ大型機というのも違和感がある。例えば、747やA380のような2階席が機種を"超大型機"、777やA350-900/1000のような300席以上の機種を大型機、787-8/9や767、A330、A350-800 などを中型機、737やA320、ATR72などを小型機、セスナ機などを"超小型機"と分類すればしっくりくるように思えるがどうだろうか。

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インデックス

連載目次
第26回 ボーイング独占の中、なぜエアバスは追いつけたのか?
第25回 A380も787-8も同じ大型機!? 大型機・中型機・小型機の正しい基準って?
第24回 ボーイングやエアバスの社名の由来は? なぜ飛行機は7○7、3○0なの?
第23回 MRJから遡ること50年、初の国産旅客機「YS-11」はなぜ消えた?
第22回 CAは「スマイル0円」ではない
第21回 一度は廃れた機内ネットサービス
第20回 座席の一番広い航空会社はどこ?
第19回 機内映画の吹き替えが変な理由
第18回 機内にシャワースパやラウンジ…エアバスA380がスゴすぎる
第17回 なぜLCCの旅は自由度が高いのか
第16回 CAの採用基準に「容姿端麗」はある?
第15回 鉄道用語や船舶用語を取り入れている航空業界
第14回 地上と機内では異なる味覚、繊細な味わいのワインはどう選ぶ?
第13回 トラブルの多い航空会社ほど安全!?
第12回 航空機事故の確率
第11回 LCCなのに"プレミアム"ってどういうこと??
第10回 実はある、「LCCなのに大手より高い」運賃逆転現象
第9回 エッチなシーンはカット? 航空会社ごとに違う機内映画の規定
第8回 機内が肌寒い理由
第7回 格安航空(LCC)なのに豪華革張りシート……なぜ?
第6回 CAの制服に隠されたヒミツ
第5回 国際線に"熟年CA"が多い理由
第4回 「機内食の味は航空会社で変わる」はウソだった!?
第3回 機内食のコストってどれくらい?
第2回 機内食の不思議「日本発より欧州発のオムレツがおいしい理由」
第1回 格安なエアラインほど定時に出発する理由

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