今回は、機内食のコストについてお話しよう。まずは上級クラス。ファーストクラスは1食当たり8,000円~1万円程度で、ビジネスクラスが3,000円~4,000円程度。ただし、上級クラスの場合、高級なシャンパンやワインなどが提供され、エスプレッソマシンなどの特殊な装備の費用も加味すると、実際にはもっとかかっていることになる。ファーストクラスが高級レストラン、ビジネスクラスがちょっと小じゃれた店で食事するレベルと考えればいいだろう。

シンガポール航空の総2階建て旅客機、エアバスA380の上級クラスにあるバー・コーナー。こんなところにもコストがかかっているわけだ

機内食については残念な感想を聞くことが多いアメリカ系も、ビジネスクラスは別。デルタ便はデザートワインのセレクションに特に定評がある

エコノミークラス、なんと1食500円台の航空会社も……

では、読者のみなさんが最も関心があるであろうエコノミークラスのコストは、どれくらいか。

最もお金のかかっていなそうなエコノミークラスでも、ファミレスで食事したくらいのコストが業界の常識。つまり1,000円台ということになる。とはいえ、最近、特にエコノミークラスのコストは削られる一方で、1,000円を切る航空会社も少なくないだろう。

エコノミークラスの典型的な機内食。メインディッシュ、前菜、そば、フルーツ、デザート(お菓子)、それにパン&バターとコーヒーや紅茶。アルコール類は有料の航空会社が増えつつある(写真はANA便にて)

中でも、昔からコスト削減が激しいのがアメリカ系の航空会社。ミールチョイスはほとんどがビーフかチキンの2種類しかない上に、牛肉はアメリカから船便でどんぶらこどんぶらこと、1カ月ほどかけて運んでくる。もちろん冷凍で、「ゴムみたい」と評する人も多いように、肉も部位も残念な状態だ。

そして、そのコストに筆者は驚愕したことがある。あるヨーロッパ系航空会社の機内食工場(ケータリング会社)に取材に行った帰りのこと。その航空会社の機内食のコストを聞いたところ、「ファミレスのレベルですから、1,000円ちょっとですね」という想定内の返事が返ってきた。

ケータリング会社でつくられた機内食は一度カートに入れて冷凍され、機内で再加熱して提供される(写真はトルコ航空)

とある関係者に、「あるヨーロッパ系航空会社の機内食コストはエコノミーだと1,000円程度と聞きましが、今はなき某N社は? 」と聞くと、「直接聞いたわけではありませんが、その半分くらいかと」との返答。

え? ということは500円台!? 機内食は1~3カ月に一度見直され、かけるコストも頻繁に変わるのでずっと金額だったわけではないかもしれないが、それにしても想定外の返事だった。

同エアラインののエコノミーに乗ると、「酒を一気飲みして酔っぱらって味をごまかしながら食べる」とか、「一切機内食には手を付けず、いつも成田で買った寿司を持ち込んでいる」などと、自分でいろんな"工夫"をしている知人も多かった。

ちなみに、某N航空の名誉のために言っておくと、昨年の合併前頃には機内食のレベルはずいぶん改善されていた。ハワイ線によく乗ったが、韓国風の味付けをするなど趣向を凝らしたあとがあり、「頑張っているなあ」という感想を持ったものである。

さて、機内食の味の決め手となるのがコストの他にもう1つある。次回は、それをお話ししよう。

これはタイ国際航空で出た短距離路線のライトミール(軽食)。ハムが良い味だった