はじめまして。金融関係の仕事をしている35歳の男性です。3年以上付き合っている32歳の彼女がいます。最近、私のほうから結婚の話をそれとなしに切り出したのですが、それから彼女が豹変してしまった気がします。

「結婚したら、会社を辞めて専業主婦になる。あなたのお給料はすべて私が管理し、お小遣いは3万円、私も同額いただく」と矢継ぎ早にいわれました。

私の両親は資産家というほどではありませんが、それなりの財産を持っています。彼女は何度か私の実家に遊びに来たときにそれに気づいたようで、「遺産相続の時にもめないよう、財産の分配もきちんと決めておいて」とも言われ、面食らっています。ちなみに私は長男です。

彼女との結婚が、次第に考えられなくなってきました。なぜこんなにもお金に執着するのでしょうか。

(35歳・男性・会社員)


相談者さんの彼女は、ある面ではとてもしっかり者で、結婚の現実をよく見ている人なのですね。

付き合っている2人の間で結婚するかしないかという話が浮上したとき、女性が現実的な問題で悩むのに対し、男性は結婚してからようやく彼女の言っていた現実が見える、というケースは多いものです。彼女のリアリストぶりにロマンティストな男性はガーンとショックを受けてしまったのかもしれませんが、それだけで「お金に執着」とか「金の亡者」と決め付けたりせず、まずは相談者さん自身の結婚の理想像を考えてみてほしいなと思います。

例えば、彼女は専業主婦になるというけれど、それは相談者さんも納得で同意できることなのか。彼女には仕事を続けてほしいのでしたら、家事は自分も協力できるのか。子どもはほしいのか。将来的に親(自分の親だけでなく、彼女の親御さんとも)との同居はあるのか。そういったもろもろの可能性について、考えてみてほしい。そうすることで、自分の理想の結婚スタイルがみえてくるはずです。

ただし、結婚は相手があってのことですから、自分の理想がすべて実現するとは限りません。お互いに譲り合い、希望に折り合いをつけて、両者が納得できる道をみつけていくのが結婚です。

今のところ、相談者さんの彼女には明確な結婚像があり、彼女の話を聞いた相談者さんは、そこからあれこれ悩み始めたのだと思います。個人的には、専業主婦になる、お小遣いが3万円という点に関しては、「どうして専業主婦になりたいのか。もしも僕がリストラされてしまったらどうする? 小遣い3万円の根拠は??」と彼女に聞いてみてもらいたいところです。

また、相談者さんのご実家の財産について彼女に意見を言われたのはショックだっただろうと思います。今から、親御さんが亡くなる前提で話をされたようで、悲しい気持ちになりますよね。しかし、財産を相続するのは、何のトラブルがない場合でも手続きに大変な手間と時間のかかる作業です。万が一、兄弟や親族の間で相続争いがあったら……。私の友人(女性)は年の離れた兄達と10年近くも裁判をしており、「仲がよかった兄達とあんなにもめると思わなかった」とよく涙を流しています。

知人の男性は、某有名企業役員だった父親が亡くなったとき、年賀状でしか知らなかった親戚までもが大勢家にきて驚いたそうです。しかも、葬儀の後に家に戻るとテレビから車からめぼしい家電、家具が一切なくなっていました。残っていたのは、「車、古いからもらっていきます。大丈夫ですよね」という類のメモだけ。夫を亡くして、ただでさえ落ち込んでいた上に、空っぽの家の中を見た衝撃のあまり泣き崩れる母に、友人はかける言葉がみつからなかったそうです。

信じられないような悲しい話ですけれど、こんな予想外のことが起こる可能性もあるわけです。そして、2人が結婚すれば彼女にも無関係な話ではなくなるのです。彼女が相続に関して直接意見を言わなくても、手続き等の事務作業をしなくても、トラブルがあったら話を聞いたり、疲れて帰ってきたら元気をくれたり、結婚相手は相談者さんの心の支えになってくれるはずです。

そういった意味で、彼女はまったくの無関係とはいえない。だから、今のうちから「もめるのはイヤよ。今からちゃんと家族で話し合っておいて」という気持ちがあったのかもしれません。彼女はお金うんぬん以上に、家族がもめることや争いごとが嫌いなのかもしれませんよ。彼女に直接会ったことはないけれど、何も言わずに黙って真っ黒なことを考えている人よりは、相談者さんに引かれる可能性もあるような意見を言う彼女は、正直でまっすぐでいいと、私は思います。

ただ「そんなに金に執着している人だったのか」と思うのでは、もう一度彼女とじっくり話し合って、真意を聞いてみる。それから彼女と結婚するかしないか、決めてみてほしいところです。話を一方的に聞く、言うのではなく「話し合い」をするためには、まず相談者さん自身の結婚観、結婚の理想・将来像が必要になります。そこをじっくり考えてから、彼女とすり合わせができるのか、折り合いをつけられるのか検討していってほしいです。相談者さんと彼女にとって、いちばんいい道がみつかることを祈っていますね。