【連載】

PDF徹底活用術

57 Illustratorで作成したPDFのサイズを小さくする

 

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この連載を開始した頃に、PDFファイルを縮小する方法を紹介しました。しかし、PDFを作成したアプリケーションによっては、なかなか小さくならないこともあります。今回は、PostScriptファイルとDistillerを使ったサイズの縮小方法について紹介します。

ファイルサイズが小さくならないIllustratorで作成したPDF

この連載を開始してすぐの、第2回から、4回にわけてPDFのファイルを小さくする方法について紹介しました。

PDFのファイルサイズを小さくするには、以下がポイントとなります。

  • 新しいバージョンで保存
  • 画像の解像度を下げる(ダウンサンプルの設定)
  • フォントを埋め込まない
  • 不要な情報の削除

これらを行うために、Acrobatには、[サイズが縮小されたPDF]や[最適化されたPDF]といった機能が[ファイル]メニューに用意されています。

私事ですが、先日、10MBを超えているパンフレット用のPDFを、Webで配布するために2MB以下にする必要があり、いろいろと作業するうちに見つけた方法を紹介します。

今回、この原稿用に用意したIllustratorで作成したPDFは、ファイルサイズは26MBとかなり大きいです。

テスト用PDF。ファイルサイズは約26MB

このPDFをAcrobatで開き、[ファイル]メニューの[プロパティ]で、「文書のプロパティ」ダイアログボックスを表示し「概要」タブを開きます。このダイアログボックスで、PDFを作成したアプリケーションや、PDFへの変換を何で行ったかを確認します。 「アプリケーション」の表示で、PDFを作成したアプリケーションが「Adobe IllustratorCC(Windows)」であること、「PDF変換」の表示で「Adobe PDF Library 11.00」を使って変換されていることがわかります。

PDFが「Illustrator」で作成されており「Adobe PDF Library」で変換されていると、これから紹介する方法でPDFのファイルサイズ縮小はかなり有効となります。

「文書のプロパティ」ダイアログボックスの「概要」タブで、「アプリケーション」と「PDF変換」の表示を確認する

「Illustrator」とは、デザイナー御用達のグラフィックアプリケーションです。元々、PostScript対応のフォント生成ツールから進化してきたアプリケーションで、美しい曲線を表現できることなどから、多くのクリエイターに愛用されています。

Illustratorの、PDFの保存機能で作成したPDFは、かなりファイルサイズが大きくなってしまうようです。
カタログやパンフレットなど、比較的ページ数の少ない印刷物は、クリエイターさんはIllustratorで作成することが多いと思います。

ビジネスの現場では、このようなPDFをWebサイトに資料として掲載したり、メールで送ったりすることは頻繁にあると思います。
もし、ファイルサイズを小さくできずに困っているなら、今回の方法を試してみてください。

ちなみに、このPDFを[ファイル]メニュー→[その他の形式で保存]→[最適化されたPDF]を使い、プリセット「標準」で最適化したところ、ファイルサイズは16MBまでしか縮小できませんでした。

PostScriptファイルで保存する

ファイルサイズ形式を小さくするためには、一度PDFファイルからPostScriptファイルに書き出します。

[ファイル]メニューの[その他の形式で保存]から[その他のオプションション]→[PostScript]を選択します。

[ファイル]メニュー→[その他の形式で保存]→[その他のオプションション]→[PostScript]を選択

「名前を付けて保存」ダイアログボックスが表示されるので、元のPDFと同じ場所に保存します。ファイルの拡張子は「.ps」となります。
「設定」ボタンで設定を変更できますが、デフォルトのままでかまいません。

「名前を付けて保存」ダイアログボックスが表示されるので、元のPDFと同じ場所に保存

PostScriptファイルが書き出されました。ファイルサイズは、元のPDFよりも大きくなっています。
通常、PostScriptファイルは、元ファイルよりもファイルサイズが大きくなるので、気にする必要はありません。

書き出されたPostScriptファイル

Acrobat DistillerでPDFに変換する

Acrobat Distiller(以下Distiller)を起動します。

現在ではあまり使用されないので、知られていませんがDistillerは、PostScriptファイルをPDFに変換するためのアプリケーションで、Acrobatをインストールすれば同時にインストールされます。

Distillerを起動すると、下のような小さなウィンドウが表示されます。

DistillerもPDF生成アプリケーションなので、PDFの変換時の画面解像度やフォントの埋め込みなどの「Adobe PDF設定」を設定できます。ここでは「デフォルト設定」を「標準」のままにします。

Distillerを起動した直後の画面。「Adobe PDF設定」は「標準」のままでOK

書き出したPostScriptファイルを、Distillerのウィンドウ上にドラッグ&ドロップします。

PostScriptファイルを、Distillerのウィンドウにドラッグ&ドロップ

下のダイアログボックスが表示されます。
DistillerはPostScriptファイル名と同名のPDFを書き出します。PostScriptを書き出したPDFがAcrobatで開いているために表示されたダイアログボックスです。
そのまま[OK]をクリックしてください。

なお、同名のPDFがあり、Acrobatなどのアプリケーションで開いていない場合、自動で上書きされてしまいます。元のPDFを残しておくには、必ずコピーを取っておいてください。

[OK]をクリック

「PDFファイル名の指定」ダイアログボックスが表示されるので、ファイル名を指定して[保存]をクリックします。これで、PostScriptファイルは、「標準」のPDF設定でPDFに変換されます。

ファイル名を指定して[保存]をクリック

PDFへの変換が始まると、Distillerの画面にステータスバーが表示されます。

PDFに変換中のDistillerの画面

PDFが作成された、ファイルサイズを見てみましょう。
このテストで使用したPDFは、かなりサイズが小さくなり、1/10以下の約2.5MBまで縮小されたことがわかります。

Distillerで変換したPDF。ファイルサイズが約2.5MBになっている

Distillerで作成したPDFの「文書のプロパティ」を見てみましょう。
「アプリケーション」の設定はそのままですが、「PDF変換」の表示が「Acrobat Distiller11.0」に変わりました。

PDF変換の表示が、「Acrobat Distiller11.0」に変わる

PostScriptとDistiller

さて、今回の操作で使用したPostScriptとDistillerについて、かなり大雑把ではありますが説明しておきます。

PostScriptとは、現在では商用印刷で当たり前になっているDTPの根幹技術です。ページ記述言語と呼ばれ、アプリケーションで作成したデータを、PostScript対応プリンタから美しい出力をするために記述される言語で、PostScriptファイルとは、本来プリンタに送られるデータをファイルで保存したものです。

このPostScriptを、印刷用途だけでなく、画面出力に応用したのがPDFです。Distillerは、PostScriptファイルをPDFに変換するためのアプリケーションです。
PDFやAcrobatが登場した頃は、高品質なPDFはアプリケーションからPostScriptファイルを書き出して、Distillerで変換していました。

私の経験としては、このPostScriptファイルの書き出しがなかなかうまくいかず、Distillerでの変換でエラーを起こしたり、思ったようなPDFが作成できなかったこともしばしばありました。

やがてAcrobatが進化し、PostScriptファイルを生成しなくても、アプリケーションから直接PDFを作成するための「PDF Library」が登場しました。現在ではほとんどのPDFがPDF Libraryを使用して作成されています。

PDFによってはファイルサイズが大きくなることもある

今回は、Illustratorで作成したPDFを使って説明しました。
もちろん、PostScriptファイルとDistillerでのPDF生成は、他のアプリケーションで作成したPDFでも利用できます。
ただし、ファイルサイズが小さくならないこともあります。

Illustratorで作成したPDFは、ほとんど、今回の方法でファイルサイズが小さくなりました。
しかしWordから生成したPDFでは[最適化されたPDF]で最適化したほうが小さくなりました。
また、Distiller経由で作成したPDFは、「しおり」がなくなるなどの、使い勝手が悪くなることもあります。

読み手があってのPDFですから、TPOを考えてファイルサイズを縮小することを心がけてください。

Distillerの設定

最後ですが、Distillerの操作について簡単に説明します。
DistillerでPDFを生成するには、PostScriptファイルをDistillerにドラッグするだけです。

PDFの変換は、デフォルト設定で選択されたプリセットが使用されます。プリセットは、AcrobatやMicrosoft Officeアプリケーションで作成したプリセットと共通なので、使い慣れたものを選択できます。

また[設定]メニューの[Adobe PDF設定の編集]で、設定内容を編集できます。

「PDF設定」は、「デフォルト設定」から選択できる

[設定]メニューの[セキュリティ]で、PDFのセキュリティを設定できます。

[設定]メニューの[セキュリティ]で、PDFのセキュリティを設定できる

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インデックス

連載目次
第60回 テキスト編集とフォントの埋め込みの関係
第59回 PDFにフォントを埋め込まないとどうなるか?
第58回 検索機能を使いこなそう
第57回 Illustratorで作成したPDFのサイズを小さくする
第56回 PDFの画像を編集する
第55回 PDFのテキストを編集する
第54回 PDF作成時にセキュリティで保護するように設定する(2)
第53回 PDF作成時にセキュリティで保護するように設定する(1)
第52回 PDFに透かしを入れる
第51回 「PDF Pack」をAdobe Readerから使う
第50回 オンラインサービス「PDF Pack」を使う
第49回 PDFの内容を再利用する
第48回 ヘッダーやフッターに画像を入れる
第47回 ヘッダーとフッターを挿入する
第46回 ページ数の多いPDFを細かく分割する
第45回 Acrobatでのページ操作を使いこなそう(2)
第44回 Acrobatでのページ操作を使いこなそう(1)
第43回 FormsCentralで作ったPDFフォームを公開する
第42回 FormsCentralでPDFフォームを作成する
第41回 共有フォルダーを使ったPDFフォームの配布 -PDFフォームの配布(4)-
第40回 Acrobatからのメール送信によるPDFフォームの配布 -PDFフォームの配布(3)-
第39回 FormsCentralでの回収データの操作 -PDFフォームの配布(2)-
第38回 FormsCentralを使ったPDFフォームの配布と回収 -PDFフォームの配布(1)-
第37回 リセットボタンを付けよう -PDFフォーム(3)-
第36回 フォームフィールドを編集しよう -PDFフォーム(2)-
第35回 入力欄のあるPDFを作ろう -PDFフォーム(1)-
第34回 大切なメールをPDFにバックアップする
第33回 PDFにナビゲーション用のボタンを付けよう(2)
第32回 PDFにナビゲーション用のボタンを付けよう(1)
第31回 Webの情報をPDFで保存しよう
第30回 Acrobatのメニューバーとツールバーが表示されなくなったら?
第29回 スキャンしたデータのPDFを検索できるようにする
第28回 ひとつのPDFを並べて表示する
第27回 ツールバーをカスタマイズして使いやすくしよう
第26回 保護されたビューで安全にPDFを見よう
第25回 移動先を使ったリンクを作成しよう
第24回 特定ページへのリンクを作成しよう
第23回 他のPDFやWebページへのリンクを作成しよう
第22回 注釈の見た目を変更しよう
第21回 注釈の色を変更しよう
第20回 オリジナルのスタンプを作成しよう
第19回 AcrobatでPDF文書を比較する
第18回 プレゼンテーションにPDFを使う
第17回 PDFポートフォリオでPDFをフォルダーとして使おう
第16回 アクションを使ってセキュリティ設定を自動化しよう
第15回 配布用PDFのプロパティをチェックしよう
第14回 セキュリティ設定でPDFの内容を保護する
第13回 手作業で注釈データをやりとりする -PDFのレビュー(6)
第12回 注釈のリストを使い修正漏れを防止する -PDFのレビュー(5)
第11回 トラッカーでレビューを管理する -PDFのレビュー(4)
第10回 複数の校正担当者と注釈をシェアする共有レビュー -PDFのレビュー(3)
第9回 メールにPDFを添付して校正を依頼する -PDFのレビュー(2)
第8回 文書校正にはPDFが最適。簡単なルールで運用がポイント -PDFのレビュー(1)
第7回 ページ数の多いPDFには「しおり」をつけよう(2) 手動設定編
第6回 ページ数の多いPDFには「しおり」をつけよう(1) Microsoft Office編
第5回 PDF設定をカスタマイズしてオリジナルのPDF設定を作成する
第4回 PDFファイルの最適化設定をマスターする(2) - フォント設定編
第3回 PDFファイルの最適化設定をマスターする(1) - 画像設定編
第2回 他のユーザーが作ったPDFファイルのサイズを縮小する
第1回 ドキュメントの共有はPDFで!! - マルチデバイス対応&軽量なファイル形式

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