本連載は、未経験の人でもUMLを使いこなせるようになることを最終目標として、UMLについてゼロから解説しています。今回は、連載の締めとして、テストのインプットに利用可能なUMLのモデルについて説明します。

これまで、システム開発の工程(ビジネスモデリングから設計・実装工程まで)に沿ってUMLの使い方を解説してきました。そして、これまで作ってきたモデルは設計・実装工程の次の工程であるテスト工程でも、間接的ではありますが役に立ちます。

テストというものは、無計画に行っても期待通りの量と種類のバグを検出することはできません。事前にテストケースを作成し、テストケースに基づいてテストしなければいけません。テストケースは1つのテストに必要な情報(テストの入力値、事前条件、テスト手順、予想結果、事後条件)が盛り込まれたテストの仕様書です。UMLのモデルはテストケース作成のインプットとして活用できます。

例えば、ユースケースのテストケースを作成するには、ユースケースの振る舞いを定義した図であるロバストネス図が有効です。まず、ロバストネス図にはユースケースを実行した結果がもたらすすべての結果がまとめられているため、そのユースケースに関するテストケースを洗い出せます。また、ロバストネス図にはユースケースを操作する流れもまとめられているため、テスト手順を作成するインプットとしても利用できます。業務フロー図を業務フローのテストケース作成のインプットにした際にも、同様のアプローチが可能です。

ビジネスモデリングからテスト工程まで、システム開発の流れに沿ってUMLの基礎について学習してきた本連載は、今回をもって終了となります。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.6(2008年9月発刊)
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