これまで、、「業務フローの作成」、「ユースケース図の作成」、「コンテキスト図の作成」、「配置図の作成」という4つのステップに分けて、UML図を用いてUMLでシステム要求をモデリングする手順を説明しました。しかし、当然、UMLですべてのシステム要求をモデリングできるわけではありません。

UMLが得意としているのは図で表現することが向いている分野だけです。文章や表で表した方がわかりやすい分野は別途作成する必要があります。参考までにUML以外で記述すべきシステム要求を挙げます。

システム導入の目的

システム導入で狙っている業務・経営上の目的の説明は、文章での表現が適しています。

ユースケース記述

アクターから見たシステムの振る舞いをユースケース単位で記述したものを、ユースケース記述といいます。これはシステムの振る舞いを時系列に記述するため、アクティビティ図やシーケンス図でも可能ではありますが、文章による記述が一般的です。

ビジネスルール

システムで実現しなければならない業務上のルールの多くは、文章や数式、表などによって記述したほうがよいです。ただし、データに関するビジネスルールの記述の中にはクラス図の方が適しているものもあります。

非機能要求

ユースケース記述やビジネスルールなどでは定義できない非機能的な要求の記述には、文章が適しています。

次回からは、ユースケースを分析して、システムの仕様を詳細化するために、UMLをどのように使うかということについて解説します。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.3(2008年3月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。