UMLを用いてシステム要求をモデリングする際の作業は4つのステップに分けられます。これまで、最初のステップの作業「業務フローの作成」、2番目のステップの作業「ユースケース図の作成」について説明しました。今回は、3番目のステップの作業として、「コンテキスト図の作成」を紹介します。

Step3:コンテキスト図の作成

DFD(データフローダイアグラム)の分野では、システムとシステム外部のデータのやりとりを俯瞰するためにコンテキスト図を用います。プロジェクトの新規メンバーにシステムを説明する際に、この図があると便利です。

コンテキスト図の例

従来のUMLでは、コンテキスト図に相当する図はありませんでした。ユースケース図ではシステムとシステム外部をモデリングできますが、データの流れはモデリングできません。アクティビティ図ではデータの流れをモデリングできますが、システムやシステム外部はモデリングできません。UML 2.0では、新しく情報フローという要素が追加されたため、これとユースケース図を組み合わせることで、コンテキスト図をモデリングできるようになりました。

以下がコンテキスト図の例です。アクターとサブジェクトはユースケース図と同じように記述します。アクターとサブジェクトの間に引かれている破線の矢印が情報フローです。データの送り元から送り先に向けて矢印を記述し、破線のそばに<>とデータ名を記述します。なお、情報フローはユースケース図だけではなく、UMLのすべての図で使えます。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.3(2008年3月発刊)
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