「配達予約プロジェクト」の目的

架空の宅配便会社「まいにち宅配便」では、お届け先不在が原因である荷物1個に対する配達回数が増えており、このしわ寄せから配達の遅延が発生したり、セールスドライバーを増員したりしなければならない状況に追い込まれていました。

この問題を根本から解決すべく発足したのが「配達予約プロジェクト」です。「配達予約」とは、依頼人から荷物を受け取ったら即座に届け先に配達予定日時を連絡し、受け取り人が配達日時を予約できるサービスのことです。このサービスを開発することで、届け先の不在件数を大幅に減らすことを狙います。

以下、このプロジェクトをモデリングするにあたって作成するUMLの図を、作成する順に従って説明していきましょう。

Step1:業務フローの作成

初めに作成するUMLの図は業務フローになります。業務フローは業務だけでなく、システム要求をモデリングするためにも欠かせません。システム要求をモデリングする場合は、何を目的として業務フローをモデリングするのかということを意識し、その目的に応じてモデリングの手順・範囲・詳細を計画することが重要になります。

ここでは参考までに、業務フローをモデリングする典型的な目的を挙げます。

システム化の対象業務を理解する

自分が理解すべき業務を把握するために、全体を俯瞰する業務フローをモデリングします。そして、誰が、いつ、どんな場合に、何を使って、何をする(何を作る)のかなど、業務フローを作成するために必要な情報を収集して、詳細な業務フローをモデリングします。業務フローが完成すれば、業務を理解できている証拠です。もし完成できなければ、収集した情報に不足があるか、理解が不十分であるということになります。なお、あくまで対象業務を理解することが目的なので、この業務フローには厳密さやわかりやすさは不要です。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.3(2008年3月発刊)
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