【連載】
2回目以降の見積りを実施する際に注意しなければいけないことがあります。1つは、先を見るだけではなく後ろも振り返って見積りに反映することです。もう1つは、要求仕様の詳細化に合わせて見積り方法も詳細化していくということです。
例えば、要件定義終了時点で見積りをし直す場合、その先の工程の工数や期間、コストなどを見積もる際に、完了した要件定義での実施状況を反映する必要があります。要求仕様に対する齟齬はなかったか、設計書の品質は確保できたか、開発要員のスキルに問題はなかったかなどの観点から要件定義全体を振り返り、要因を分析します。その上で、次工程以降でも発生する可能性があるのであれば対策を考え、その後の見積りに反映します。
これはカーナビと一緒かもしれません。カーナビは、最初に目的地を設定すると予定所要時間を予測してくれます。さらに、選択したルートの混雑状況などを考慮し、予定所要時間を再計算してくれますよね。途中で渋滞にハマってしまい、その先のルートでも渋滞が続いているのであれば、その分所要時間が加算されます。すでに渋滞している場所を通り過ぎてしまったのであれば、その後の所要時間には影響ありません(図1)。
また、見積り方法を詳細化する理由は、いつまでも粗い見積り方法を使用していると状況の変化をキャッチできないからです。当初、要求仕様が不明確なため業務単位での見積りしかできなかったとしても、要求仕様が機能や処理へと詳細化していけば、おのずと詳細な見積りが可能となります。要件の詳細化に合わせて見積りの粒度を細かくしていかないと、見積りの精度は向上しません。
そのためには、要求仕様の詳細度に応じた見積り方法や実績データを整備していく必要があります。小石を選別するためには笊でも大丈夫かもしれませんが、粒子の細かい砂になったら笊ではなくきめの細かい網が必要になるということです。
執筆者プロフィール
藤貫美佐 (Misa Fujinuki)
株式会社NTTデータ SIコンピテンシー本部 SEPG 設計積算推進担当 課長。IFPUG Certified Function Point Specialist。日本ファンクションポイントユーザー会の事務局長を務める。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.4(2008年5月発刊)』
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。
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