ビジネスの可能性を飛躍的に広げることができることから注目を集めるIoTやロボット。だが、ものづくりとIT双方の領域と深く関わることなどもあり、なかなか手を出しにくい企業も多いことだろう。そうしたなか、こうした先端技術のハードルをなくし、誰でも活用できるようにするツールが続々と登場している。本連載ではこれらのツールを取り上げたい。まず紹介するのは、ソニーが開発した"IoTブロック"「MESH」である。

IoTを誰でも簡単、便利、自由に! ものづくりのソニーから生まれたイノベーションツールに迫る

MESHは、ブロック形状の「MESHタグ」(IoTセンサー)と、iOS/Androidのスマートデバイス上で動作する「MESHアプリ」(ビジネスフロー作成アプリ)とで構成されている。これらをつなげることで、人感による人の検出や、リモートコントロール、温度のモニタリング、通知やテキストメッセージなど、様々な機能を連携したIoTの仕掛けが簡単につくれてしまうのである。その画期的なコンセプトは社会的にも高く評価されており、「2015年度グッドデザイン賞BEST100・未来づくりデザイン賞」「iF Design Award 2016 Gold」など、国内外で数多くのアワードを受賞している。

ソニー 新規事業創出部I事業室(MESHプロジェクト) 統括課長 萩原丈博氏

MESHの生みの親である、ソニー 新規事業創出部I事業室(MESHプロジェクト)の統括課長、萩原丈博氏は言う。

「MESHはパーソナルなIoTのツールです。パーソナルという言葉には、プライベートの個人だけでなく、企業の中で働く個人も含めています。今はIoTで何かやろうとするとどうしても大掛かりとなってしまい、気軽にアイデアをかたちにすることができません。そこで、個人や中小企業なども含めて、もっと自由に身近な道具としてIoTを使えるようにできればという思いから、MESHを開発しました」

MESHによるIoTの仕組みづくりには、IoTプログラミングや電子工作といった知識は必要ない。MESHアプリ上でアイコン表示のMESHタグをドラッグ&ドロップつないで処理を選択していくだけで、スマートフォンの機能やインターネットを活用したスマートな仕掛けを簡単に実現できてしまうからだ。またIFTTTにも対応しており、350以上のスマートデバイスやホームオートメーション機器、Webサービスとつなげることが可能だ。「Facebook」や「Twitter」「LINE」などのサービスと連携した仕組みづくりも簡単に実現できるのである。

このようにMESHは非常に直感的に扱えるため、プログラミング教育の分野でも活用が広がりつつある。また、ビジネスの分野でも活用が期待されている。つながるサービスやデバイスの豊富さなどもあり、アイデア創出への活用や、インターネットを活用した実用的な仕掛けづくりまで、活用の領域はアイデア次第でどこまでも広がるのだ。

7種類のMESHタグと豊富なソフトウェアタグの組み合わせで、可能性は無限!

では、MESHタグの機能について簡単に紹介しよう。タグは全部で7種類あり、それぞれが綺麗な色とアイコンで識別されている。個々のタグの従量はわずか13グラムだ。

7種類のタグとその機能は以下の通り。

1 「LEDタグ」 タグ上部のLEDを、点けたり消したりする。光り方や光の色、明るさ、光る時間、光る周期などを変更可能。
2 「ボタンタグ」…ボタンタグが1回押されたら、長押しされたら、2連続で押されたら、以上3種類の押し方を判別し、アプリに伝える。
3 「人感タグ」 タグの前に人や動物がいるかどうかを判別し、アプリに伝える。感知する時間や待ち時間などが設定できる。
4 「動き(Move)タグ」 振られたら、ひっくり返されたら、振動を感知したら、向きが変わったら、以上4種類の動きを感知し、アプリに伝える。
5 「明るさタグ」 光の強さや変化を受け取り、アプリに伝える。明るさタグの前にものが置かれているかどうかをチェックすることも可能。
6 「温度・湿度タグ」 タグが感知した温度や湿度の変化をアプリに伝える。反応する温度の範囲や湿度の範囲を指定できる。
7 「GPIOタグ」 タグにつないだセンサーの値を受け取ったり、信号を送ったり、モーターなどを制御することができる。

最後のGPIOタグを用いることで、ハードウェアの拡張が可能だ。既にサードパーティから、音声検知基盤やコネクターの変換基板など、拡張のための各種製品が提供されており、今後さらに増え続けていく見込みだ。

GPIOタグ

続いて、MESHアプリについて簡単に説明しよう。MESHアプリは直感的なプログラミングアプリで、MESHタグと連携して様々なことを実現することができる。アプリでできることとしては、次のようなものが挙げられる。

・MESHタグ から情報を受け取ったり、送ったりする。
・マイク、スピーカー、カメラなどのタブレットやスマホの機能を使う。
・Philips Hue(ヒュー)などの他の機器をコントロールする。
・メールを出したり、インターネット上から情報を取得・送信する。

MESHアプリによるプログラミングは、前述の通りアイコン表示されたMESHタグをドラッグ&ドロップでつないで処理を選定していくことが基本となる。例えば「ボタンを押した時にLEDを点灯させたい」場合には、入力となるボタンタグのアイコンと、出力となるLEDタグのアイコンを画面下のリストからドラッグ&ドロップし、2つを"コネクター"でつなぐ。これだけで、ボタンが押された時に、LEDが点灯する仕組みが完成するのである。


MESHアプリには、MESHタグだけでなく数多くの「ソフトウェアタグ」も用意されている。ソフトウェアタグは大きく、「デバイス」、「ロジック」、「連携」される。このうちデバイスのソフトウェアタグは、タブレット・スマートフォンのカメラやマイクなどMESHアプリが起動しているデバイスの機能をMESHアプリ上で使用するためのタグとなっている。次のロジックは、同時に信号を受け取った時や、定期的に信号を送るなどの仕組みをMESHアプリ上で実現するタグだ。そして連携のタグは、Philips Hue(ヒュー)やGmailのような、外部のデバイスやアプリをMESHアプリ上で使用・制御・連携するための機能を提供する。

さらに、目的に合わせた独自のソフトウェアタグを開発できる「MESH SDK」も提供されている。MESH SDKは、ユーザーがオリジナルのソフトウェアタグ(カスタムタグ)を開発するための環境であり、少しのJavaScriptの知識があれば、誰でもソフトウェアタグを作成することが可能となっている。Webアプリケーションであるため、インターネット環境さえあればインストール不要で、手軽に利用することができるのも特徴と言える。既に、サテライトオフィスをはじめとするパートナー企業からは、基幹系システム&既存システム連携、G Suite連携、Office365連携機能、Dropbox Business連携、ビジネス版LINEのLINE WORK連携、など、様々なビジネス向けサービスとの連携機能を提供するカスタムタグが提供されている。

──誰でもIoTを簡単に形にできるMESHとはどのようなものか、おわかりいただけただろうか。次回は、MESHが生まれた経緯や、現在進むビジネスでの活用例、そして今後の展開などについて、萩原氏に聞いた話を紹介したい。

サテライトオフィス


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