心臓移植と言えば、ダメージを受けた心臓を取り出し、代わりにドナーから提供された、言わば新しい心臓に置き換えるというのが一般的な概念ですよね。しかし、今回はそういった概念を覆す、信じがたいような心臓移植手術を受けた女の子のお話です。

主人公の名前はHannah Clark(ハナ・クラーク)現在16才。彼女は生まれてたった八カ月で、心筋症の一種である「cardiomyopathy=心筋ミオパチー」と診断され、二歳の時に心臓移植手術を受けたのですが、それは前代未聞の手術でした。

「~ But instead of taking her own heart out, doctors added a new donated heart to her own when she was just two-years-old.( ~しかし彼女の心臓を取り出す代わりに、医師団は提供された新たな心臓を彼女自身のものへ追加した、彼女がたった2才のときに)」とあるとおり、医師団は彼女の心臓を取り出すどころか、そのまま残したと言うんです。

この手術法のことは「The so-called "piggyback" operation allowed the donor heart to do the work while Hannah's heart rested.」とあるように、「"piggyback " operation」と呼ばれたのだとか。この「piggyback」は直訳すると「豚の背中」ですが、実は英語で「おんぶ」のことを「piggy back ride(豚の背中乗り)」と言うので、この手術は言わば「おんぶ法手術」とでもなるのでしょうか。

そして時は経ち約11年後、Hannahには新たな試練が。移植した心臓の拒絶を押さえる薬がもう効かなくなって来てしまったんです。そこで医師団が下したさらなる驚くべき決断とは……「~ her doctors tried something that had never been done before: They took out the donor heart.」とあるように、またまた前代未聞「移植した心臓を取り出しただけ」ただそれだけなんです。

なぜなら「Doctors theorized that the donor heart had allowed Hannah's heart to rest, recover and grow back stronger.」とあるように、医師団は移植した心臓が働いてくれている間に、ハナ自身の心臓は休んで回復することができ、さらに以前より丈夫になっているはずと理論付けたから。そして「The doctors were right. Three years later, Hannah has no need for any drugs and has been given a clean bill of health. The operation was a success.」と、医師団の下した判断は正しく、手術は成功。その後3年が経過した今では、ハナは薬要らず、本人も心臓も元気そのものだと記事では伝えています。

これって医学の奇跡? それとも我々みんなが持ちうる人間の身体能力の驚異? 果たしてどちらなんでしょうね!?

因みに「a clean bill of health」は医者による「健康証明書」みたいなものを言いますが、多くの場合は口頭で告げられる「君は完全に健康になったよ」といった様なもので、書類のようなものが発行されるケースは希です。

全文を読んでみたいと思われる方は以下の方へリンクしてみてください。

Girl's heart heals itself 10 years after transplant - CNN.com
http://edition.cnn.com/2009/HEALTH/07/14/hannah.clark.heart/index.html?iref=newssearch

ではまた次回。