【連載】
前回はサーバライセンスについて取り上げたので、今回はWindowsサーバに独特のライセンスであるCAL(Client Access License)について解説しよう。ちなみにこれは「キャル」と読む。
CALとは、サーバライセンスとは別に、そのサーバを利用するクライアントに対して課金するものだ。CALの購入が必要になるのは、サーバからユーザー認証を受けた上で、サーバの機能を利用するクライアントとなる。だから、Active Directoryの利用に際しては、CALは必須と考えなければならない。
CALは、サーバライセンスとセットになっているほか、さらに足りない分を単品で追加購入する形をとる。たとえば、ユーザー数8名の小企業でWindowsサーバを導入する場合、CAL×5本が付属するWindows Server 2008のパッケージと、さらにCALを単品で3本、という具合になる。
ユーザー認証を必要とする場合にCALが必要ということは、裏返せばユーザー認証を行わなければCALは不要ということだ。具体的に該当するのは、Windows Web Server 2008を使ってインターネット向けに、ユーザー認証を行わないで不特定多数のユーザーがアクセスできるWebサーバを設置するケースだろう。
ともあれ、CALを購入するには、何本のCALを必要とするのかを明確にしなければならない。そうしないとソフトウェア購入予算の立案ができない。
WindowsサーバのCALを理解する際に知っておかなければならない考え方には、「ライセンスモード」と、「デバイスCAL・ユーザーCAL」の2種類がある。この両者で構成する順列組み合わせの中から、どれを採用するかを決定した上で、必要となるCALの数を計算するという流れになる。
ライセンス・モードとは、「同時使用ユーザー数ライセンス」と「接続クライアント数ライセンス」のどちらを選択するか、ということだ。サーバの台数の多寡と、サーバの利用形態によって、どちらが得になるかは違ってくる。
「同時使用ユーザー数ライセンス」は、1台のサーバに同時にアクセスできるクライアント数の上限を指定して、その数だけCALを購入するものだ。同時接続数を「5」に設定した場合には、購入するCALの数は5本となる。そして、サーバに同時にアクセスできるのは5ユーザーということになる。
同時使用ユーザー数ライセンスでは、クライアントPCの台数やユーザーの人数は直接的に制約しない。たとえば、クライアントPCが100台あったとしても、同時にサーバにアクセスする数が5台以内なら、それはライセンスの範囲内であり、違反にはならない。ユーザーについても同じことで、ユーザーが100人いても、同時にサーバにアクセスするユーザーがCAL購入本数の範囲内であれば問題ない。
一例を挙げると、シフト制を敷いて24時間フルタイム稼働しているコールセンターのような部署では、所属しているスタッフの全員が同時に勤務するわけではない。だから、同時に勤務する人数分のCALがあればよい、という考え方が成り立つ。
ただし、同時使用ユーザー数ライセンスで注意が必要なのは、サーバの台数が増えたときだ。このモードでCALを購入するときには、サーバ1台ごとに、それぞれのサーバに同時にアクセスするクライアントの数に合わせたCALが必要になる。つまり、サーバ1台について同時アクセス数が「5」でも、同様の条件を設定したサーバが3台あれば、CALの所要数は「5×3=15」となる。したがって、サーバの台数が多い場面でこのモードを選択すると、CALの費用が嵩む可能性がある。
一方、接続クライアント数ライセンスとは、サーバを利用するクライアントを単位にしてCALを購入するライセンスモードだ。こちらはサーバの台数に影響されず、クライアントの数によって決まる。そのため、このライセンスモードでCALを購入すると、ユーザーはライセンスの上では、どのサーバにでもアクセスできることになる。
単に「クライアントがこれだけいるから、CALもこれだけ」と計算できるのなら、何も難しいことはない。しかし実際には、ユーザーの数とクライアントPCの数が一致しない場合があるので、どちらを基準とするか、という問題が生じる。ユーザー数を基準にすると、複数のユーザーが同じクライアントPCを共用しているときにCALの所要数が膨れ上がるし、PCの数を基準にすると、同じユーザーが複数のクライアントPCを併用しているときにCALの所要数が膨れ上がる。
そこで、「ユーザーCAL」と「デバイスCAL」という考え方が登場する。
これはWindows Server 2003から登場した考え方で、CALを購入する際の単位として、ユーザーとデバイス(クライアントPCのこと)のどちらを選択するか、という違いだ。 デバイスCALは、クライアントPCを単位とする。一方、ユーザーCALはユーザーの人数を単位とする。そのため、1台のPCを複数のユーザーが共用していれば、PCの数がユーザーより少ないため、デバイスCALの方が得だ。反対に、同じユーザーが複数のPCを使用している場合には、ユーザーCALの方が得だ。
ユーザーCALとデバイスCALの選択は、CALの購入後に変更することができない。また、同じ組織の中でデバイスCALとユーザーCALを混用すると管理が難しくなることから、事前に検討した上で、どちらか一方に決めなければならない。
なお、ターミナルサービスを利用して、かつサーバ側でアプリケーション・ソフトを動作させてシンクライアント的な使い方をする場合、通常のCALに加えて、さらにターミナルサービスCALの購入が必要になる。ターミナルサービスCALの情報を管理するためのライセンス管理サーバを設置した上で、購入したターミナルサービスCALの情報をライセンス管理サーバに登録する仕組みだ。
このターミナルサービスCALについても同様に、デバイスCALとユーザーCALの選択が可能になっている。ターミナルサービスの利用を考えている場合には、このことも考慮しなければならない。
このように、CALに関する選択肢だけでもいろいろあって複雑なのだが、さらに、前述したライセンスモードの違いや、ボリュームライセンスによるまとめ買いといったファクターも絡んでくる。そのため、Windowsサーバのライセンスに詳しい販売店と相談した上で購入計画を立案して、無駄な費用を使わないように注意したいものだ。
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