今回、インタビューを依頼したのは20代男性。Twitterのアカウント名を「中村しゃん」といいます。彼のつぶやきではファッションなどが話題にあがり、現時点(2014年11月)で2,800人弱のフォロワーがいます。

たびたび盛り上がりを見せるのが『転職』にまつわるつぶやきです。彼は新卒で大手金融機関の内定をとって社会人となりますが、3年足らずで辞職します。その後、転職活動を経て、現在は大手IT企業に在籍しています。

抜群に離職率が高いと言われながらも、就活生の人気業界であり続ける『金融業界』。彼が合わなかったのはなぜなのか、お話を伺います。

「詰められる」ことについて

――働いてみてびっくりすることは多いですね。結果について何か言われることはありますか?

ありました。自分が詰められることもあり、周りでも誰かしら詰められてる人がいました。数字に対する罵声が多くて、具体的なアドバイスもなく「気合いが足りねえからできねえんだ」とかいう根性論がまかり通っていました。結構慣れちゃうものですけどね(笑)。

――どれくらいの期間で転職したのでしょうか

入社してから3年も経っていなかったので、枠としては第二新卒という感じになります。

自分でも転職活動に対する不安は感じていましたし、入ったときは、まさか自分がこんなに早く離職するとは予想していませんでした。

――そういう文化があるということは、詰められるほうが耐えられないと成り立たないですよね。体育会系の社風ですか

皆さんが持っているイメージ通りではないでしょうか。

職場にはゴリゴリの体育会系的な人が多くて、仕事終わりに「飲みに行こう!」っていう先輩からの誘いは週3回くらいありましたね。先輩には結構可愛がってもらっていたかと思います。

――どういう人に適性があると思いますか

少しのことはではへこたれない精神力を持っている人がいいと思います。業務上ではノルマなどもありますし、緊張感のある職場環境ですから。それと、資格取得なんかも多かったのでコツコツ努力できる人じゃないと難しいかもしれません。

――前職でよかったことはありますか

周りからちゃんとした人っていう目で見られることでしょうか。それと、自分自身の経験でいえば、必要としているお客さんに対して融資ができたときは、やっぱり嬉しかったですし、やっていてよかったと思いました。

自然体で仕事ができること

――話は変わりますが、転職はどういう方法でやりましたか

転職サイトとかエージェントを通して求人を探していて、その中に現職の企業がありました。エージェントも相性はあると思いますが個人的には使ってみてよかったです。もともと新卒で就活をしていたときは、あんまり「これがやりたい」っていうのはなかったんですが、今の仕事はやりがいを感じてやれています。自分で思っていた以上に転職時、年収はあがりましたし。

――転職してよかったと思いますか

一般的には3年は働けっていうじゃないですか。だから転職する時はメチャメチャ悩んだんですが、今は良かったと思ってます。前職とは文化も仕事内容もガラッと変わったこともあり、経験はあんまり活かせていないかもしれませんが、今は自然体で仕事が出来ているかなと思います。

――自然体で働けることは、すごく大事ですね。ところでご自身の経験をふまえ、「3年でやめる若者」についてどのように思いますか

自分が新卒だった当時も「3年で辞める若者が増えている」と言われていましたが、実際にはそんなに多くないでしょ、と思っていました。でも数年経って周りを見てみると、思っている以上に転職してる人はいます。みんな次の職場が決まって頑張っていますし、3年未満になるといって、あまり悲観的になる必要もないんじゃないかと思います。

――世の中の噂だけに縛られていてはいけないのかもしれませんね。大変なご経験をされたことから、「仕事とプライベート」についてどう思いますか

高給だけど仕事とプライベートの境界がないような状態っていうのは個人的には嫌です。仕事とプライベートと収入、それらのバランスが納得できるか水準かどうかが、仕事や就職する会社を選ぶうえで重要な視点だと思います。

――最後に、日本人の働き方についてどう思いますか

みんな、会社のために働き過ぎなんじゃないかと思います。もっと自分の身体や私生活を考えて働くっていう労働の在り方もあっていいのではないでしょうか。ワークライフバランスって最近よく言われていますが、労働者と企業間で相互に理解が進むことを切に願っています。

――ありがとうございました

後記

金融業界の恐ろしさが目立ちましたが、良い業界、悪い業界という仕切りはできません。個別の企業においても、長く続けられている人がいれば、それはそれぞれに適している環境かどうかでしか語ることはできません。無論、彼が離職をした企業で今なおバリバリ活躍している人材は数多くいるはずです。

若い会社員の方は、自分が適した企業にいるのかどうかを考えてみてはいかがでしょうか。その時期に「早すぎる」ということは、あまり無いのかもしれません。「自然体でいられているか」、これまでの人生よりも長い会社員人生では、大切なことです。

※画像は本文とは関係ありません


武野光
平成2年生まれ。「TOEIC未受験」「サークル未所属」「友達の数が片手未満」といった状況から就職活動に挑み、その体験から得た教訓をつづったブログ『無能の就活。』が大きな反響に。現在はサラリーマンと兼業で作家活動を行う。著書に『凡人内定戦略』『凡人面接戦略』(中経出版)、『就活あるある ~内定する人しない人~』(主婦と生活社)など。マイナビ2016でも、マンガ『キミ! さいよー』(石原まこちん/小学館)内で、一言コラム平成ベビーの就活用語辞典掲載