「冷房が強い」「給料が安い」「上司とウマが合わない」など、会社生活の悩みは尽きない。給料や上司との関係性はそう簡単に改善できないかもしれないが、中には解決できる悩みもあるかもしれない。本企画は、会社生活でのちょっとした悩みを、3Dプリンタを使って解決することに挑む。


仕事が終わり「さあ帰ろう!」と思ったら、突然の雨。そんなこともあろうかと会社にビニール傘を置いていたが傘立てに似たような傘がたくさんあってどれが自分のかわからず困る…そんな場面に読者のみなさんも一度は遭遇したことがあるのではないだろうか。

ゲリラ豪雨のリスクもあるこの季節、できればオフィスにいざというときのための傘は確保しておきたいところ。しかし、一発で自分の傘だとわかるような特徴的な傘を何本も持っている人は少ないだろうから、多くの場合はいつ買ったかもわからないビニール傘を置いておくことになる。ただ、なんの愛着もないビニール傘を他のビニール傘と見分けるのは至難の業だ。

編集部の傘立てはかなり悲惨な状況

自分のビニール傘を見分ける方法として、持ち手の部分にシールを貼ったりして目印をつけることはできるが、濡れたら剥がれてしまうし、特徴の無いシールだと自分は区別できても他人が区別できるとは限らないから誰かが持って行ってしまうかもしれない。予期せぬ雨にも動じずに対応するために、自分のビニール傘は明確かつ雨に強い目印をつけておくのがベターだろう。

そこでおすすめしたいのが「傘タグ」だ。傘をまとめるバンドの先端にオリジナリティ溢れる傘タグを着けておけば見つけやすいし、間違って持ち去られる心配も減る。素材にプラスチックやゴムを使えば水にも強い。問題はいかにオリジナルな傘タグを作るかということになってくるが、他にはない一品物を作るのに向いているツールといえば…そう、3Dプリンタだ。

オリジナル傘タグを作る

今回、XYZプリンティングの最新3Dプリンタ「ダヴィンチ mini w」をお借りして、オリジナル傘タグを製作してみた。3Dプリンタでモノを作るには3D CADで作った3Dデータが必要となるが、筆者には3D CADのスキルが無いのでCADコンサルタントの草野多恵氏に協力を仰いだ。

XYZプリンティングの「ダヴィンチ mini w」。コンパクトでオフィスでも使える。

傘タグのオリジナル感を確保するにあたり、モチーフが重要となる。星やハートなどありきたりな題材ではなく、他の誰にも真似を出来ない形状にしたい。ということで、我々はモチーフに当サイトの公式キャラクターである「マイナビベア」を選択した。この「マイナビベア」、テクノロジー分野と全く関係無いので、当チャネルの読者には馴染みが薄いだろう。しかし、「彼」の日常を切り取った「くまにっぽう」という1コマ漫画が2013年3月から2016年3月まで3年にわたり連載されるなど、密かな人気を獲得しており、連載が終了した現在でも実はサイトのあちこちに登場している。

意外と(?)人気がある「マイナビベア」 (C)平尾リョウ

そして「マイナビベア」の草野氏がイラストを見ながら作ってくれた3Dデータがこちら。傘のバンドへ取り付けるために頭の上にボールチェーンリングを通す穴を作ってもらった。この3Dデータを「ダヴィンチ mini w」で出力していく。

草野氏に作成してもらった3Dデータ

「ダヴィンチ mini w」は出力するときにプリントソフト「XYZware」で寸法や積層ピッチを設定する。今回は40×55×4mm、0.2mmピッチで出力。草野氏のデータのおかげで良い仕上がりになり、編集部の女性陣からもなかなか好評だった。

こちらが「XYZware」の画面

約35分で完成!

出力している様子 (32倍で再生)

この「マイナビベア傘タグ」を自分のビニール傘に着けておけば、もう安心。こんなかたちをした「傘タグ」が付いているビニール傘などこの世に1本しか無いのだ。ただ、これを付けた傘を差して良い歳のおっさん(筆者)が街を歩くことを考えると、モチーフはもう少し慎重に選んだほうが良かったかもしれない。

傘に装着するとこのような感じになる