四大卒業後ブライダル会社の人事部で働いていたA子さん。ネイルもメイクもエビちゃん風に可愛らしくキメている、イマドキの女の子だった。こちらを訪ねてきたときも、フワッとしたラインの洋服とキレイに巻かれた髪の毛を揺らしながら、転職を希望する理由を話し出した。
「今の会社にいても将来がいまいち見えてこないんです」。
整然とした話し方やコミュニケーション力の高さで、彼女が頭の切れる優秀な人だということは察することができた。見た目は、仕事ができるイメージからは程遠かったが、彼女の能力があればこのブライダル会社にいてもいずれは出世できただろう。
残業が多いわけでもなく、福利厚生もしっかりしていて、就労環境としては悪くない。年収は350万円程度だが、実家から通っているので給与はまるまる自分の小遣い。今のままでも特に不自由はないそうだが、それでも彼女は「転職したい」と言う。
「このまま人事の仕事を続けていくのはどうだろうという不安もあって…。この環境にいるよりも、もっと優秀な人のいる環境の中で、自分のスキルを伸ばしていきたいんです。出世するよりも、もっと稼いでみたい」。
彼女は誰の懐にもスッと入っていけるような、人との垣根を感じさせない人だった。自分の意見をストレートに言っても反感を買わない雰囲気も持ち合わせていて、この個性を活かさないのはもったいないと思った。
そして僕は、彼女に合う仕事は営業職だと判断した。
転職活動で、自分の特性を知ることはとても重要だ。
「やりたい仕事がこれといってない」
「自分に何ができるのかよくわからない」。
そんな人こそ、業種や職種で絞り込まない適性重視の転職活動が向いている。自分の性格や特徴を活かした会社選びはチャンスをつかみやすく、働きがいも得やすいのだ。
僕が営業職を勧める理由を説明すると、彼女も納得。さっそくいくつかの案件の中から大手の人材会社に応募したところ、書類選考・面接と順調に進んで内定の連絡が届いた。1社目の応募であっさり決まり彼女は拍子抜けしていたが、スムーズに内定をいただけたのは、彼女の適性を先方が見極めた証拠だろう。
そして最後に、彼女へ最後のアドバイス。最初に会ったときから気になっていたことだったのだが…。
「服装とか髪型とか化粧とか、もう少しキャリアファッションにしたほうがいいよ。これからは人に会って信頼を得る仕事なわけだしね」。
そして今、彼女は周囲の優秀な人たちに刺激を受けながら、着々と営業成績を伸ばしている。350万円だった年収も600万円へと大きくアップ。クルクル巻いていた茶色い髪も落ち着いた雰囲気となり、ヤリ手のビジネスウーマン風になった。
彼女自身の資質を活かしたこの転職は、収入面でもやりがいという点でも大きなプラスだったに違いない。