今日の
ライター:
つくしの万葉
つくしの万葉
毎夜、一日の疲れと世間の騒がしさから心と体を解放してくれるビール。それは命の水…ってちょっと大げさかもしれませんが、共感する人も多いはず。で、ビールといえば、やはりのどごしですよね。本日はそんなビールののどごしに情熱を注いだ男のストーリーです。
キリンホールディングス株式会社・フロンティア技術研究所の主任研究員、三浦裕さんは、ビールのおいしさを支える一人。昨年、飲料を飲む際の「のどごし」測定方法を開発したチームの代表である三浦さんの、研究内容と素顔に迫ってきました!(「情熱大陸」風に)
やって来たのは、神奈川県横浜市金沢区にあるキリンの研究所。こちらが、「『のどごし感』簡易測定方法」の論文を国際的に発表された三浦裕さんです。
三浦さん「『のどごし』というのは、飲食物がのどを通っていくときの感じのことで、ビールのおいしさにとって重要なファクターです。しかし実は『のどごし』という言葉は英語圏にはおろか、ビール大国のドイツにも存在しないんですよ」
え!? ビールと言えば「のどごし」なのに? あまりに感覚的なもので、分析的な研究はされてこなかったのでしょうか。
三浦さん「そうです。これまでのどごし感に関する研究例は世界をみてもほぼありませんでした。弊社の商品開発でも、経験値や実感を元にのどごしが測られていたんです。そんな“のどごし”の客観的な数値指標を研究で示せるようになりました」
測定法は、のどに心電図を測定する際に使用する電極をつけ、飲み込む際の筋肉の動きに伴い発生する微弱な電気の波形を周波数解析すると言うシンプルなもので、「飲み込むときの咽喉の疲れにくさ」から「のどごしの指標となる数値」を導き出したのだそうです。
では、「のどごし測定器」と分析方法を用いれば、のどごしの良いビール、すなわちおいしいビールが一目で明らかになるということなのでしょうか?
三浦さん「いいえ。ビールはのどにある程度のひっかかりが必要ですし、お客さまの判断する『のどごしの良さ』はご本人の嗜好性に寄る部分がかなりあるんですよ」
確かに。あまりにスムーズに飲めても、ちょっと物足りないと感じるかもしれませんね。
三浦さん「測定の結果、あるプレミアムビールと比べた場合『のどごし<生>』のような新ジャンルの飲料のほうが、のどの通りが良く、飲みやすいことを示す結果がでました。だからと言ってプレミアムビールののどごしが『悪い』というわけではなくて、わずかに感じられるかもしれないのどのひっかかりは『じっくり味わう』というプレミアムビールのコンセプトに合っていると言えます」
なるほど。測定値による結果はあくまで「のどの疲れにくさ」によるものであって、嗜好性の高い「のどごしの良さ」を測れるものではないんですね。三浦さんは「舌も人も、奥が深いなと思いました」としみじみ語っておられました。
この「のどごし感の研究」、準備から論文発表までに足かけ3年が費やされたそうです。そのかいあって論文は英国の「Chemical Senses」という学術雑誌にも掲載され、大きな成果を残したようですが…
三浦さん「まだまだ、こんなもんじゃ…。社内のマーケティングの者からは『お客さまの嗜好性まで含めて判断できないか』など、壮大なことを言われていまして(笑)」
それはまた大変な…。さて、そんな三浦さんの今後の抱負は?
三浦さん「商品とお客さまのことを理解させていただいて、これからもおいしさにかかわる仕事がしていきたいです」
こんな風に、真剣においしさの研究に向き合う三浦さんの存在が一口の快感を生み出し、世知辛い日々を泳ぐ大人たちを支えているのでしょう。ビールの複雑な旨みの中には、一見穏やかな、しかし決して冷めることのない三浦さんの情熱が、隠されているのかもしれません。それでは今夜も乾杯!
(つくしの万葉/プレスラボ)
【関連リンク】
キリン <飲料の「のどごし」を客観的に測定する方法を開発>
キリンのプレスリリースより。三浦さんたちによる、のどごしに関する研究内容をより詳しく紹介されております。
お酒の「新ジャンル」にふさわしい名前は?
三浦さんの研究結果から、「のどごしよ酒(さけ)」なんてどうでしょうか? 「のどごしよさげ」にちなんで……










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