今日の
ライター:
小川 たまか
小川 たまか
「すずらん通り」という通りの名前はどうして多いのだろう。唐突ですが、本日のお題はこれです。「すずらん通り」でググると、ずらずらと全国各地の「すずらん通り」がヒットする。「すずらん通りの由来、教えて!」というトピックだって出てくる。どうして多いんだろう、「すずらん通り」。気になるではないか。
早速、「神田すずらん通り商店街」の専務理事高野さんに聞いてみた。
「大正時代にはすでに『すずらん通り』という名前がついていたようです。名前の由来は正確にはわかりません。1937年(昭和12年)12月5日、南京陥落を伝える横断幕が商店街にかけられた写真に、すずらんの形をした街灯が写っています。でも、街灯にちなんで通りの名前がつけられたのか、通りの名前にちなんで街灯がつけられたのかは不明なのです」
―全国に『すずらん通り』という名前の通り、多いですよね。
「音の響きもいいし、清らかな雰囲気が好まれたのではないでしょうか。以前、東京新聞さんが記事にしたことがあります。調べたいならそれを見てみるといいかもしれません。2003年の11月22日、東京版の朝刊です」
―本当ですか、見てみます!
「ちなみに、『すずらん通り』という名前をつけたのは神田商店街が初めてのようですよ」
というわけで、国立図書館に向かった。しかし、神田すずらん通りが初めての「すずらん通り」って本当だろうか。「すずらん」の名の付く通りの中で神田に最初に取材をお願いしたのは、実は偶然。ほかのいくつかの商店街に電話がつながらなかったり担当者がいなかったりした後だったのだ。偶然、最初にお話を聞けた先が元祖なんて、そんな都合の良いことが……? 高野さんには申し訳ないが半信半疑で図書館に向かった。そして……。
ありました。東京新聞。「東京ミステリー」というコーナーで、見出しは「咲き乱れる すずらん通り」。東京に「すずらん通り」が多いことを不思議に思った記者が、その謎に迫っている。文字数などの都合上、あまり引用はできないが、かいつまむとこんな情報が。
■ 全国で「すずらん」が付く商店街の数は分かっているだけで33か所。そのうち東京が15か所で一番多い。続いて多いのは北海道の5か所。
なんと。「すずらん通り」は全国的に多いわけではなく、東京と北海道のみに多いらしい。もしかして、東京と北海道以外の方にとっては最初からピンと来ない話題だったのでしょうか。すみません。
■ そのうち、立川南口、椎名町、経堂にある「すずらん通り」の理由は「『銀座すずらん通り』にあやかった」というもの。
■ しかしここで銀座の理事長がひと言。「元祖はうちじゃないんですよ」。
■ この後、ついに神田すずらん通り商店街理事長が登場。「銀座は神田すずらん通りの繁栄ぶりにあやかって名付けたと聞いています」。
なんと。神田商店街が初の「すずらん通り」というのはどうやらかなり信用度が高いようです。ただ記事は、神田商店街に真の由来が隠されているかもしれないというところまで行きついたものの、「由来は結局ミステリーのまま」と締めくくっている。「街灯が先か名前が先か分からない」という高野さんのコメントも載っている。
由来はあいまいなままだった。
しかし。
実は、国立国会図書館に行ったついでに、「すずらん通り」や「通りの名称」に関連した論文がないか検索してみた。
「すずらん通り」で引っ掛かったものは昨年に発売された雑誌『東京人』に掲載されていたもので、現在のすずらん通りの様子をリポートしたもの。名称の由来については書かれていなかった。
「通りの名称」で引っ掛かった論文は1999年に発表された「『通り』の名称の特性および名称とまちのイメージとの相互作用に関する研究―現代の東京23区内における行政が命名した『通り』名称を対象として―」というもの。
この中に興味深い記述があった。論文の中では、都内の710の通りが、それぞれ「人文地理的特性」「自然地理的特性」「イベント」「町名」「イメージ」の5つの由来別に表になっている。残念ながら、「すずらん通り」がどこに分類されているのかの記述はないのだが、論文の執筆者は何らかの確証を持って分類を行ったはずだ。
ということは、論文の執筆者を訪ねれば何か分かるのでは……? 私は執筆者の名前を手帳にメモした……(続く、かもしれません)。
(小川たまか/プレスラボ)
【関連リンク】
神田すずらん通り商店街
東京すずらん通りサミット、というものもあるようです
街のたばこ屋さんはなぜ「角」に多いのか?
こちらも素朴な疑問から










コメント&トラックバック