カイシャの歩き方 職場で使える処世術、賢いオフィス・コミュニケーションや便利な言いまわしを、くまなく伝授します。

Vol.8:断りの作法 「ノー」の言い方にも、色々ある

頼み事をされた場合、本当は断りたいのだけど、断ったら相手に気分を害されそうで気が重い……。誰にでもこういう状況はありますよね。それに、上司に頼まれたら、「ノー」とは言いづらいものです。こういった場合はまず、自分は本当に断りたいのか、それとも相手(特に上司)との関係を良好に保つため、何か他の方法があればそちらを取りたいのか、どちらか見極めてみたいものです。

代案を重ねて、間接的に「ノー」

もしあなたが相手とのいい関係を優先したい場合は、何らかの代案を示すことで、まず切り抜けられます。たとえば、「すみません、今は急いで処理せねばならない案件があるのですが、これが終わったらお手伝いできます。○時ごろなら手が空くと思うのですが、それではいかがでしょうか?」など。

しかし「いいですよ。じゃあ、○時にお願いします」と言われたら、相手のリクエストを聞かないといけないので、それは覚悟するべきでしょう。

さらに、相手が「こちらも急いでいて、○時まで待てない」とあくまでも強引に押してきた場合は? もう一度、代案を出してみましょう。「大変申し訳ありません。でも、○時までは本当に手が塞がっているのです。誰か他に手の空いている人を探していだだけますか?」と、あくまでも丁寧に。ここまで来たら、相手はあなたに(少なくとも○時までは)引き受ける意思がないことがわかるはずです。

直接的なノー

さて上記のように、直接断りにくい人に対して、代案を出しながら段階的に断る方法ではなく、最初から直接ノーという方法ももちろんあります。しかしその場合でも、相手の説明を自分がちゃんと理解していることを示し、その上で納得のいく理由を相手に話して、深くお詫びして断る、というルールは守りましょう。

もう一つ、自分の手に余る仕事、あるいは自分の専門分野ではないことを頼まれた場合には「大変申し上げにくいのですが、それは私には力不足です。ちょっとできそうもありません」あるいは「そういった仕事は、お引き受けすると、かえってご迷惑になると思います」と言って断ることができます。

体全体で、本気で断る

腕のいいセールスマンは、相手が契約を拒否しても、少しでも興味を示したらそれを突破口にして相手を説得し、最終的には契約を勝ち取ってしまうそうです。それと同じように、もし本気で断るつもりなら、相手に説得されそうな余地を残しておかないほうがいいでしょう。

そして、きっぱりと断った場合でも、相手がもし大切な人ならば、フォローアップをしておきましょう。「この間は本当にすみませんでした。本当に時間がなかったんですよ。今、何かお手伝いすることがあれば、おっしゃってくださいね」。これでだいぶちがうはずです。

(2007年6月15日)

PROFILE 朽木ゆり子(くちきゆりこ)

東京生まれ。国際基督教大学卒、同大学院修士課程修了後、ニューヨークのコロンビア大学大学院で学ぶ。帰国後、フリーランスのライター・編集者を経て雑誌エスクァイアの副編集長に。94年、家族と共にニューヨークに移住。著作にはアート関係のノンフィクション『盗まれたフェルメール』(新潮社)『パルテノン・スキャンダル』(新潮社)など。その他『はたらく女性のための英会話レスキューブック』(集英社)では、仕事を助ける英語コミュニケーションを解説した。

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