ラピスセミコンダクタは、農業法人や農業分野のICTサービスベンダ向けに、土壌センサと低消費電力マイコンの技術を活かした土壌センサユニット「MJ1011」を開発し商品化したことを発表した。これにより農業圃場管理において重要な、土壌環境情報の見える化が可能になる。

土壌センサユニット「MJ1011」

栽培や加工・流通情報などのデジタルデータ化や管理が進められる中、栽培工程は天候などの状況に左右されやすく、管理のボトルネックとなっていた。圃場環境情報をリアルタイムでモニタリングしたいというニーズに対し、従来は土壌の採取後に評価施設で分析する必要があり、数メートルで大きく変化する土壌環境のリアルタイム計測や広範囲の土壌情報を同時に取得することは困難であった。

こうした中、ラピスセミコンダクタは、半導体技術をベースにした土壌センサを開発。得意とする無線通信や低消費電力マイコン技術などと組み合わせ、農業IoTソリューション分野での実証実験の結果などを踏まえて、土壌センサユニット「MJ1011」開発した。

MJ1011は、pH測定にISFET方式を採用し、土壌や水中など測定対象に埋設し、先端に配置したセンサ部で地中や水中のEC (電気伝導度)、pH (酸性度)、地中温度、含水率といった土壌環境指標を同時にリアルタイムで測定することが可能。

半導体方式の土壌センサやAFE (アナログフロントエンド) チップ、16bit ローパワーマイコン ML620Q504Hなどラピスセミコンダクタオリジナルのチップセットを搭載。低消費電力と小型化を実現し、ソーラーパネルを使ったシステムにも有効だという。

また、専用のアナログフロントエンドLSIによって部品点数を削減し、122×42×42mmという小型化を実現している。先端部の土壌センサ実装部分(センサヘッド)はワンタッチの交換式で、別売りのセンサヘッドと交換できる。IP67の環境耐性防水規格に対応し、土壌、水耕、養液栽培などの各種栽培方式にも使用可能。各種施設栽培、露地、植物工場などさまざまな環境での使用が可能となっている。定量的にデータを蓄積することで、栽培や管理へのフィードバックができるため、経年データの比較や将来予測などによる生産性向上および品質管理への貢献や、スーパーなど販売店への安定した出荷などへの効果も期待できるとしている。

なお、同製品は、2018年1月末よりサンプル出荷を開始し、2018年4月末より量産出荷開始を予定している。