NTT西日本グループは、エックス都市研究所、シンク・アンド・アクト、NISSHAとの協力のもと、京都府が公募する「平成29年度スマート・センサー活用リサイクル促進モデル効果検証等事業」の事業者に採択されたことを発表した。10月20日より低消費電力で広範囲をカバーできるLPWAネットワークや多様なセンサーを活用して、産業廃棄物の効率的な収集を検証する実証実験を京都府内で開始している。実証期間は、2018年3月30日まで。

センサー設置イメージ図

現在、廃棄物の排出量の大半を占める産業廃棄物の処理コストは国内全体で年間約5.3兆円といわれ、その約半分を占める収集運搬にかかるコスト削減が、各地方自治体にとって大きな課題となっている。一方、産業廃棄物の収集・処理事業者においても、「ピストン回収」などの非効率な方法により、収集コストが高くなっている。

こうした非効率な運用実態に対して京都府は、IoTを活用した業務の効率化や収集運搬の最適化を検証する事業を公募し、NTT西日本グループの提案が採択され、2017年10月より実証実験を開始することになった。

実証実験では、排出事業者及び収集事業者も含めたステークホルダー全体を繋ぐIoTプラットフォームを構築し、廃棄物処理のコスト削減を狙う。具体的には、産業廃棄物の保管量が分かるセンサーの設置、センサーの通信環境の整備(LPWAと3Gネットワークの比較検証)、センサーの情報をもとに最適な収集運搬ルートを提示するシステムの導入、これらの環境下で行われる廃棄物処理モデルの効果検証(処理費用の削減効果、CO2排出量削減効果等)といった内容が予定されている。

これにより、複数の排出事業者の廃棄物量を視える化し、都度回収から「実需連動型回収」を実現すること、そして保管所の環境に応じてLPWA、3G等の最適なネットワークとセンサーの組み合わせを実施することが特長である。

システム全体概要図

なお、各社の役割は、NTT西日本グループが同事業におけるシステム、ネットワークサービス一式の提供(NTTビジネスソリューションズ)、センサーデータを収集・蓄積するプラットフォームの提供、および収集・蓄積データの解析(西日本電信電話)、LoRaWANネットワークの構築・提供(エヌ・ティ・ティ ネオメイト)。また、エックス都市研究所は産業廃棄物分野におけるコンサルティングと実施計画の策定および調査結果の分析、シンク・アンド・アクトは各事業者へのヒアリングに基づく産業廃棄物の実態調査、NISSHAはLoRaWANを使った廃棄物量計測センサーの設計・開発および設置としている。

この実証実験の結果を踏まえて、IoTを活用した産業廃棄物処理の一層の効率化を図るとともに、有価物の回収効率化により、排出・収集・処理事業者一体となったリサイクル率向上に向けた新たな仕組みの構築を目指すという。

また、今後はさまざまなエリアに展開し、適用範囲についても一般廃棄物への拡大を目指すとともに、IoT/AIを活用し広範な産業分野における社会課題の解決に貢献していくということだ。