NTT西日本グループは11月15日、エックス都市研究所、シンク・アンド・アクト、NISSHAの協力の下、京都府が公募する「平成29年度スマート・センサー活用リサイクル促進モデル効果検証等事業」の事業者に採択されたと発表した。

システム全体の概要図

これを受けて4者は、低消費電力で広範囲をカバーできるというLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークや多様なセンサを利用して産業廃棄物の効率的な収集を検証する実証実験を、10月20日から2018年3月30日までの予定で京都府内において開始した。

センサの設置イメージ

同実験では、排出事業者及び収集事業者も含めたステークホルダー全体を繋ぐIoTプラットフォームを構築し、廃棄物処理のコスト削減を狙う。具体的には、産業廃棄物の保管量が分かるセンサの設置、センサの通信環境の整備(LPWAと3Gネットワークの比較検証)、センサの情報を基に最適な収集運搬ルートを提示するシステムの導入を実施し、この環境下で行う廃棄物処理モデルの効果検証(処理費用の削減効果、CO2排出量削減効果など)を実施する。

同社は同実験の特長として、複数の排出事業者の廃棄物量の可視化、「実需連動型回収」の実現、最適なネットワークとセンサを組み合わせたトータルソリューションの3点を挙げる。

廃棄物量の可視化に関しては、排出事業者の保管所に計量センサーを設置し、IoTプラットフォーム上で各排出事業者の廃棄物量をリアルタイムに可視化するという。

実需連動型回収については、計量センサから収集したデータをAIにより分析することで、数日後の排出予測や最適な車両・走行ルートの選定が可能となり、効率的な回収計画の立案を支援する。

実需連動型回収のイメージ

トータルソリューションに関しては、保管所の環境に応じてLPWAや3Gなどの最適なネットワークとセンサーの組み合わせを実施するとしている。

同実験における各社の役割は、NTT西日本グループのNTTビジネスソリューションズは同事業におけるシステムおよびネットワークサービス一式、NTT西日本はセンサデータを収集・蓄積するプラットフォームの提供および収集・蓄積データの解析、NTTネオメイトはLoRaWANネットワークの構築・提供をそれぞれ担当する。

エックス都市研究所は産業廃棄物分野におけるコンサルティングと実施計画の策定および調査結果の分析、シンク・アンド・アクトは各事業者へのヒアリングに基づく産業廃棄物の実態調査、NISSHAはLoRaWAN使った廃棄物量計測センサの設計・開発および設置を担当する。

今後の展開としては、実証実験の結果を踏まえて、IoTを利用した産業廃棄物処理の一層の効率化を図るとともに有価物の回収効率化により、排出・収集・処理事業者一体となったリサイクル率向上に向けた新たな仕組みを構築していく考えだ。また、多様なエリアに展開し、適用範囲についても一般廃棄物への拡大を目指す。