Quoraは11月14日、知識共有プラットフォーム「Quora」(クォーラ)の日本語サービスを開始した。当日はQuoraの共同創業者 兼 CEOで、Facebookの初代CTO(最高技術責任者)としても知られるアダム・ディアンジェロ(Adam D'Angelo)氏の登壇する記者会見も開催され、国内でのサービスの展望について語った。

Quora共同創業者 兼 CEOのアダム・ディアンジェロ氏

Quoraは、質問と回答の投稿をベースにしたユーザー参加型のQ&Aサービス。「Yahoo!知恵袋」や「OKWAVE」に似たサービスといえば想像しやすいだろう。ユーザー登録することで、真面目な質問や専門的な質問から、素朴な疑問、くだらない質問まで、何でも投稿できて誰もが回答できる。優れた回答にはユーザー同士で高評価も付けられるし、Googleなどの検索結果に回答がヒットすることもある。

Quoraの大きな特徴は、実名登録による活動を推奨していること。回答者の名前や経歴、居住地などが表示され、評価も誰が付けたか残るため、いい加減な回答や評価は自然と少なくなり、マナーも守られやすくなる仕組みだ。

2010年からサービスを展開している米国では、Quoraの回答で信頼を得たユーザーが、大手出版社の編集長にスカウトされたり、ベンチャー企業の経営者が出資者を見つけたケースもあり、Quoraをステータス作りに活用しているユーザーも多いという。

日本語版の画面。PCとスマホの両方に対応する。すでにエンジニアや医師など専門家が回答する質問の例も見られる

Quoraでは、システムに機械学習を導入しているのも特徴だ。ユーザーの興味や関心に合うコンテンツを抽出したり、答えるのに適した質問が投稿されると回答を促す案内を出したりすることで、質問と適切な回答者をつないでいる。

例えば「東京はロンドンと比べてどうですか」という質問に対して、東京とロンドンの両方に住んだことのある人に回答をリクエストすれば、適切な回答の得られる可能性が上がるという訳だ。

「当社では、シリコンバレーの優秀な機械学習チームを結成して事業に活用している。過去の質問と回答のやり取りを興味がありそうなユーザーに見せたり、重複した質問をまとめたり、スパムや悪意のあるコンテンツの抽出・排除といったことにも、機械学習は大変有効だ」とディアンジェロ氏。

機械学習を質問と回答者のマッチングや、高品質な回答の検索、スパムの排除などに活用することで、サービスのクオリティアップにつなげている

米国では月間のユニークビジター数が2億人を超え、著名人や知識人の回答が多いのも魅力となっている。米国のバラク・オバマ前大統領や、ヒラリー・クリントン前国務長官が回答した例も。日本人では片付けコンサルタントの近藤麻理恵氏が英語版ユーザーの一人で、回答が読めるとのこと。

Quoraの著名ユーザーとして、カナダのジャスティン・トルドー首相、Facebookのシェリル・サンドバーグCOO、ヒラリー・クリントン前国務大臣、TEDのクリス・アンダーソンCEOなどが挙げられている

Quora日本語版への新規登録は、QuoraのWebサイト、またはQuoraのモバイルアプリから行える。新規登録の際は、氏名、メールアドレス、簡単な経歴などを記載して申し込む。Quoraの多言語展開は、スペイン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語と続いており、ヨーロッパ言語以外では今回の日本語が初めての対応だ。

ディアンジェロ氏は「日本語は1億2,500万人超の母語人口を持つ。過去に何度か来日したことがあるが、日本人は高品質好きな国民性。質問に高品質な回答が期待できるQuoraのサービスとは相性が良いと思う」と語る。

国内では9月からベータ版でのテスト運用を始めていたが、英語版の日本人ユーザーを中心に招待していたこともあり、海外旅行や海外生活に関する良質の回答が目立つそうだ。正式サービスへはベータ版ユーザーはそのまま移行し、質問と回答もそのまま残る。

なお、Quoraの日本語チームは、当面はカリフォルニアの本社に設置する。これは、スタート当初は開発チームと近い距離に居たほうが何かと都合が良いためで、将来は日本にチームを置くことも検討しているという。また、米国では画面に広告を表示しているが、スタートから5年は広告を表示せずにいた。日本でも数年は広告を表示しないで顧客基盤作りに集中するとのことだ。

日本コミュニティ責任者のフリーデンバーグ桃紅氏

ベータ版は海外居住者も多かったため、海外旅行の観光スポットや海外居住に関する質問への高品質な回答が目立つという