地質時代の中で名前がなかった約77万~12万6千年前の1時期が初めて日本由来の「チバニアン(千葉時代)」と命名される見込みになった。国立極地研究所と茨城大学、千葉大学など22機関の共同研究グループが、千葉県市原市の地層「千葉セクション」を、この時期の地質時代区分境界を示す代表的地層(国際標準模式地、GSSP)に認定するよう国際学会「国際地質科学連合」に申請していたが、このほど同連合作業部会の1次審査を通過した。審査ではライバルだったイタリア南部の地層を上回る支持を得ての通過で事実上の内定で来年中に正式決定の見込み。国立極地研究所が14日明らかにした。

図 千葉セクションの場所(千葉県市原市)の位置(国立極地研究所、茨城大学、千葉大学など22研究機関の共同研究グループ提供)

写真 (a)(b)(c)とも 市原市田淵の養老川岸の地層「千葉セクション」で見つかった白尾火山灰(国立極地研究所、茨城大学、千葉大学など22研究機関の共同研究グループ提供)

地図と写真 「千葉セクション」のライバルだったイタリア南部の地層。右上がモンタルバーノ・イオニコ、右下がヴァレ・デ・マンケ (国立極地研究所、茨城大学、千葉大学など22研究機関の共同研究グループ提供)

国際地質科学連合は地質時代の区分の境界を最も観察しやすい地層をGSSPとして認定、登録している。新生代の中で約77万年前は更新世の前期と中期の境界とされるがGSSPは未認定で約77万~12万6千年前の時期の名前はなかった。国立極地研究所によると、ライバルだったのはイタリア南部のモンタルバーノ・イオニコとヴァレ・デ・マンケの2地層。国際地質科学連合作業部会の審査で「千葉セクション」はイタリアの2地層を大きく上回る支持を得たという。同連合は今後も審査を続けるが、今回厳しい学問的評価でライバルをやぶったことにより「チバニアン(千葉時代)」と命名されるのは確実と言えそうだ。

共同研究グループは国公立の各大学のほか国立の研究機関や博物館、企業など22の機関の32人で構成された。「千葉セクション」は市原市の養老川沿いの崖に露出している。この地層はかつて海底にあったころに積もり、その後に盛り上がって陸地になって崖となって現れている。

現在は北極がS極、南極がN極だが、過去360万年間に向きが11回逆転し、77万年前が最後の逆転とされている。この約77万年前に地磁気のN極とS極が反転したことを示す証拠となる火山灰(白尾火山灰)が研究、観察上良好な状態で残っているという。N極とS極は長い地球の歴史の中で不定期に反転を繰り返している。最後の反転が約77万年前とされている。

地球は約46億年の歴史を持ち、地質時代は地層の中から見つかった生物の化石などから推定される生物の絶滅や環境変化に基づいて「先カンブリア時代」「古生代」「中生代」「新生代」に大別されている。地質学の一番細かい分類では115に区分されている。

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