次世代通信技術「5G」は、私たちの生活にどのような変化をもたらすのでしょうか? NTTドコモが日本科学未来館で開催したイベント「見えてきた、"ちょっと先"の未来 ~5Gが創る未来のライフスタイル~」は、5Gの特徴である高速・大容量・低遅延のモバイルネットワークを活用した、ユニークな展示にあふれていました。

東京都江東区の日本科学未来館にて

危険な地域で活躍するロボット

5G Experienceエリアで展示されていた「5G FACTORY III」は、人型ロボット遠隔操作システム。5Gの特徴である、「低遅延化・高信頼性」なネットワークを活用しており、人の動きを忠実にミラーリングできます。

操作者の上半身に取り付けた49個のセンサーによって、関節の角度をロボットで忠実に再現しているとのこと。これはVR分野で培ったモーションピクチャー技術を応用しているそうです。ロボットに取り付けた2台のカメラ画像は、操作者のヘッドマウントディスプレイに3D画像として表示されます。

人型ロボット遠隔操作システム「5G FACTORY III」。人の動きを忠実にミラーリング

ロボットハンドに取り付けた力覚センサーが、このソリューションのキモ。操作者に対して、指先のリアルな触感をフィードバックすることで、あたかも実際にモノに触っている感覚が生み出されるそうです。この日のブースでは、ロボットに背後から自分の肩を触らせるデモを行っていました。自分の肩を触った感触が自分の手に伝わるそうで、説明員も「これにより幽体離脱を体験できます」と冗談交じりに紹介していました。

【動画】音声が流れます、ご注意ください

5G FACTORY IIIは、何を目的に開発されたのでしょうか。開発したNSソリューションズは、新日鉄住金ソリューションズの100%出資会社。摂氏数百度という過酷な製鉄現場でも快適・安全に作業できるよう、ロボットを使えないかと発想したのだそうです。まだ開発段階のためロボットに腕力はなく、10kg未満のモノしか持てないとのこと。ただデモを見た限りでは、上半身を使った作業なら相当なところまで行えそうな印象でした。今後、危険な環境での作業で人の代わりとなり活躍してくれることが期待されます。

指先の器用な5G FACTORY III。首にはスカーフまで巻いており、ヒーローのようなたたずまいを見せています

5G FACTORY IIIの開発に際しては「人は、どうやったらロボットを自分の身代わりと感じることができるか」という研究を重ねたそうです。大学の研究では、わずか200ミリsecの遅延で「ロボットとの一体感が失われる」という結果が出たとのこと。そこで、筆者も素人なりに想像を膨らませてみました。自分が操作者だったら? たしかに反応がワンテンポ遅いロボットなら、イライラが溜まり、作業が一向にはかどらないことでしょう。

ドコモの提供する5Gモバイルネットワークの『高速・大容量・低遅延』な特徴が活かされていました

操作者が自分の手を見ると、そこにはロボット(5G FACTORY III)の手が見えるため「身体の拡張としてロボットが動いている」と感じることができ、ロボットに心が憑依するそうです。そんなレベルまで操作性を高めることができれば、作業も効率的に行えるようになりそうです。ブースの担当者とロボットの話をしていたつもりが、途中から心理学っぽい話になっていて驚きました。

ちなみに5G FACTORY IIIには、「録画と再生機能」があるとのこと。これを利用すれば、動きを1回だけロボットに教えて、あとは永遠に同じ動きを繰り返させることもできるそうです。そこで「ダンス教室のインストラクターが便利に使えそうな機能ですね」と担当者に話したところ、「だからね、ドコモさんにお願いしているんですよ。1回だけで良いのでPerfumeさんにセンサーを付けて踊らせてください、ってね」と、お茶目な笑顔が返ってきました。